慈氏菩薩略修愈誐念誦法卷上
慈氏菩薩略修愈誐念誦法 巻上
青龍寺山林院一切經
青龍寺山林院一切経
慈氏菩薩略修愈誐入法界五大觀門品第一(并)序
第一品:慈氏菩薩略修瑜伽入法界五大觀門<序>
大興善寺三藏沙門善無畏奉 詔譯
大興善寺三蔵 沙門 善無畏 勅撰訳
稽首𡲼嚕左曩佛, 一生補處妹怛唎耶!
四智四波羅蜜多, 八大有情摩訶薩,
五部諸明定慧相, 諸波羅蜜男女像,
十方護世天王眾, 我今盡皆稽首禮。
為利一切修愈祇, 速成慈氏大悉地,
為修無生說愈誐, 樂求有相兼說相,
有無二相同一體, 文字觀照實相智,
三種波羅壞無相, 身口意業成三密,
三密即成應化法, 五輪五智是五分,
五分盡攝法界輪, 是故我今禮愈誐,
愈誐即是慈氏尊, 是故我今修愈誐,
速證慈氏同一體。
(二合) 仏陀に敬礼し、弥勒菩薩に帰命す。 一生補処の尊よ、慈悲深き弥勒よ。 四智と四波羅蜜多、八大菩薩の聖者たち、 五部の明王、定慧の相、諸波羅蜜の男女の姿、 十方の護世天の王たち、今、私は皆に敬礼する。 全ての衆生の利益のため、この修法を行い、 速やかに弥勒の大成就を願う。 無生の教えを説くために、瑜伽を修行し、 有相を求めつつ、その相も説く。 有と無の二相は一体であり、文字・観照・実相の智慧、 三種の波羅蜜は無相を超える。 身・口・意の三業は三密となり、 三密は応化の法となる。 五輪と五智は五分であり、 五分は法界輪を全て含む。 ゆえに、今、私は瑜伽に礼拝する。 瑜伽こそが慈氏尊であり、 ゆえに、今、私は瑜伽を修行し、 速やかに弥勒と一体となることを証する。
若欲現世不捨色身,速證慈氏宮同會說法得大悉地者,必依此愈誐念誦,必獲無上大悉地。若欲依此法念誦,先觀淨法界心三昧耶,頂上智火輪狀如日初出,色赫奕,三角漫荼攞其形如左。...
もし現世においてこの色身を捨てずに、速やかに弥勒菩薩の宮殿で説法を共に聞き、大いなる成就を得たいと願うならば、必ずこの瑜伽(ゆが)の念誦に依らねばならない。そうすれば、必ず無上の大いなる成就を得られるであろう。
この法に従って念誦したいと願うならば、まず清らかな法界の心の三昧耶を観じ、頭頂には智慧の火の輪を観じる。その形は朝日が昇り始める時のように、色は赫奕と輝き、三角形の曼荼羅である。その形は左の通りである。
淨法界心真言曰:
浄法界の心の真言は、こう唱えます。
納莽三滿多𮪶駄腩(一)覽(二)(一遍)
南無帰命頂礼、三宝に満ち足りたる者、一切を救う導師よ。(一)一覧せよ(二)(一遍)
如頂上觀三角智火遍身燒盡,五蘊皆空唯有空寂。從中觀金剛座,腰已下紫磨方,金剛輪其形如左。...
頂上に三角の智慧の火が照らされ、その火が全身を焼き尽くすと、五蘊はすべて空となり、ただ空寂のみが残る。その中から金剛座を見る。腰から下は紫磨の方となり、金剛輪の形は左の図のようである。
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金剛輪真言曰:
金剛輪の真言は、次のように唱えます。
納莽三滿多𮪶馱腩(一)遏(二)(一遍)
清らかな行者よ、三つの完全なる門を通り、煩悩の獅子を調伏し、一切の毒を飲み干す。
(一) すべての存在を清める (二) 執着を超えて (一遍) このひとすじの道に
號曰金剛輪座。
その座を、金剛輪座(こんごうりんざ)と名づけるのです。
從金剛輪上觀水輪,色白如賞佉,其形如滿月圓形如左。...
金剛輪の上に水輪を観じます。その色は白く貝のようであり、その形は満月のように丸く、左の図のようであります。
水輪真言曰:
水輪の真言(マントラ)は、次のように唱えます。
納莽三滿多𮪶馱引腩(一)𭤚(二)(一遍)
南無麻曇三満多 莫訶南無 誐
號曰水輪。
それは「水輪(すいりん)」と呼ばれています。
又從水輪上當心中想智火輪,三角,赤色,尖頭向上,號曰一切智心。其形如左。...
さらに、水輪の上、心臓の真上にあたる場所に智火輪を観想します。それは三角形で、赤色をしており、先端が上を向いています。これを「一切智心」と呼びます。その形は左図の通りです。
火輪真言曰:
火輪の真言(マントラ)
納莽三滿多𮪶駄引腩(一)囕(二)(一遍)
ナム・フ・マンダ・ボダ・ギャテイ ナム・ソ・マンダ・チュー・ギャブ・シー・ゴー イチベン
又於眉上觀半月仰輪狀,若黑風靉靆垂雲。又其形如左。...
また、眉の上に半月が仰向けになった輪のような形を観じます。それは、黒い風が雲を垂れ込めるように立ちこめている様子に似ています。その形は左の図のようです。
風輪真言曰:
風輪の真言はこう唱えます。
納莽三滿多𮪶駄引腩(一)含去聲(二)(一遍)
[原文欠番]。 「一遍(いっぺん)」と読む。
又於頂上觀欠字為虛空,具一切色。其形如左。...
次に、頭頂の上に「欠」の字を虚空として観じます。これはあらゆる色をそなえています。その形は左の通りです。
虛空輪真言曰:
虚空輪の真言は次のように説かれています。
納莽三滿多𮪶駄引腩(一)𭕽(二)(一遍)
仏に帰依し、法に帰依し、僧に帰依します。(一)これを(二)度(一遍)唱えます。
圖五輪形如左。...
五輪の形を図示すると左の通りである。
觀五輪及以法界眼圖如上。以五智輪嚴身,普通真言、一切佛心印加持五支,即成金剛不壞無漏智清淨法身。以定慧為日月,安置於眼界。以用法界眼觀,眼遍照十方界。既身如是,此漫拏攞亦然。以此法界觀五輪,先觀智火燒除漫拏攞地一切穢惡。其形如左。...
五つの輪と法界の眼を観ずる図は上記の通りである。五智の輪をもって身を厳(おごそ)かにし、普通真言と一切仏心印によって五支を加持すれば、たちまち金剛不壊・無漏智の清浄法身となる。定と慧を日や月として、眼界の内に安置する。そして法界の眼をもって観ずれば、眼は十方の世界を遍く照らす。このように身がそうであるならば、この曼荼羅(まんだら)もまた同じである。この法界の観法によって五輪を観じ、まず智慧の火をもって曼荼羅の地にある一切の汚れや悪しきものを焼き清める。その形は左の通りである。
智火真言曰:
智慧の火の真言は、こう説かれている。
納莽三滿多𮪶馱引腩(一)囕(二)(一遍)
懺悔し、帰依し、全て満ち足りた境地へと導く(一) 私達の迷いを清める(二)(一遍)
燒除地穢已,下唯有虛空。於虛空中又觀空輪。其輪形如左。...
觀虛空輪真言曰:
虚空の輪を観じる真言は、次のように唱えます。
納莾三滿多𮪶馱引腩(一)𭕽(二)(一遍)
納めよ、三つ満ち多き導きの師、一小となりて二を遍くせよ。
又從虛空輪上觀風輪,形如仰月,黑色。其形如左。...
さらに虚空の輪の上に風輪を観ずれば、その形は仰ぎ見る月の如く、黒色である。その形は左の通りである。
觀風輪真言曰:
風輪を観じる真言は次のように唱えます。
納莽三滿多𮪶馱引腩(一)含(二)(一遍)
南無摩訶般若波羅蜜多<br>(一)含<br>(二)(一遍)
又從風輪上想火輪,三角,赤色。其形如左。...
さらに風輪の上に、火輪を観想します。それは三角形で、赤色です。その形は左の図の通りです。(図参照)
觀智火輪真言曰:
観智の火輪の真言は、こう唱えられます。
納莽三滿多𮪶駄引腩(一)囕(二)(一遍)
ナム・フ・マンダ・ボダ・ギャテイ ナム・ソ・マンダ・チュー・ギャブ・シー・ゴー イチベン
又從火輪上想水輪,號曰大悲水輪,白如雪乳色,形如圓月輪。其形如左。...
また、火輪の上に水輪を思い描く。これを大悲水輪と名づける。その色は雪や乳のように白く、形は満月のようである。その形は次の通りである。 [图片: ../figures/T/T20p0590_12.gif]
觀水輪真言曰:
水の輪を観じる真言は、次のように唱えます。
納莽三滿多𮪶駄引腩(一)𭭹(二)(一遍)
南無三満多没駄曩 引 喃(一)婆(二)(一遍)
又從水輪上觀金剛輪,方形,黃色。其形如左。...
次に、水輪の上に金剛輪を観じます。これは方形で、黄色です。その形は左の図の通りです。
觀金剛輪真言曰:
金剛輪の真言を観じて曰く、
納莽三滿多𮪶駄引腩遏(二)(一遍)
納摩 莽 三満 多 没 駄 南 遏(二)(一遍)
如上觀五輪了,即以普通真言及印加持於地上,即成真實金剛輪。
以上のように五輪を観想したなら、普通真言と印でもって大地を加持せよ。そうすれば、真実の金剛輪となるのである。
又觀愈誐海會聖眾。漫拏攞圖形如左。
さらに、涅槃経の経典に登場する聖なる僧侶たちを観想しましょう。その曼荼羅の図形は以下の通りです。
如上觀五輪及漫拏攞海會已,便誦普通真言,以普通印加持地,便成真實金剛輪大愈誐漫拏攞海會。普通真言曰:
上のように五輪と曼荼羅の海会を観想したならば、普通真言を唱え、普通印で地を加持する。すると、たちまち真実の金剛輪・大瑜伽曼荼羅の海会となる。普通真言は次の通りである。
納莽三滿多𮪶駄引腩(一)薩囉𭭯二合他上欠𪄥捺蘖二合底(二)薩破二合囉醯𤚥誐誐曩撿薩𭭯二合引賀(三)
ナモ・サンマン・ダボダ・ナン・ソッタヤ (一)ボーサツ・チャンダラ・タハ・ク・ネリ・ナンディ (二)サハ・ラ・ケイ・マカ・ヤ・ヤ・ナ・ケン・サッカ (三)
此真言亦於供養中而成普通供養真言,於五部之中為普供養。其普通手印相者,以定慧二手十輪相叉齊度,即是普通印。若用此印加持身,即成金剛不壞之身也。若加持地上,便成金剛地漫拏攞。如此五輪如上。略觀慈氏菩薩修愈誐漫拏攞大圓明內,更觀九圓明、八金剛界道。其中圓明慈氏菩薩,白肉色,頭戴五智如來冠,左手執紅蓮花,於蓮花上畫法界塔印,右手大拇指押火輪甲上,餘指散舒微屈風幢,種種寶光,於寶蓮花上半跏而坐。種種瓔珞天衣、白帶鐶釧莊嚴。於八圓明中安四智三昧耶等,下漫拏攞品中一一分明。如上觀以,便作三昧耶辟除護身結界等事,次第而作之。
この真言も供養の作法の中で、普遍的な供養の真言として用いられ、五部においては「普供養」と呼ばれます。 その普通の手印の形は、静かさと智慧の二つの手の十の指を交差させ、指先を揃えることです。これが普通の印です。この印を用いて自身に加持すれば、その身は金剛不壊の身となります。また、地面に加持すれば、たちまち金剛の地の曼荼羅となります。 以上の五輪は、先述した通りです。簡略に慈氏菩薩が修行する瑜伽曼荼羅の大円明の中を観じ、さらに九つの円明と八つの金剛界の道を観じます。 その中の中央の円明には慈氏菩薩がおられます。菩薩は白い肉色で、頭には五智如来の宝冠を戴き、左手には紅蓮華を持ち、その蓮華の上に法界塔の印を描いています。右手の親指は火輪の甲に当て、残りの指は散らし伸ばし、わずかに風幢を曲げています。種々の宝の光を放ち、宝蓮華の上に半跏趺坐で座しておられます。種々の瓔珞や天衣、白い帯、腕輪や足輪で荘厳されています。 八つの円明の中には、四智や三昧耶などを安置し、下の曼荼羅の品(ほん)の中に、一つ一つ明らかに示されています。以上のように観想したならば、すぐに三昧耶を行い、魔を払い身を守り結界するなどの作法を、順序に従って行うのです。
次說三昧耶真言曰:
次に、三昧耶の真言を説き明かします。
鄔𤙖二合𭭯躭囉二合耽履三莽也
空にして静かな境地に留まり、 悟りに向かう道を歩みなさい。 その清らかな歩みは、三つの世界を超え、 煩悩を消し去るのです。
其手印相,以智定二手十輪相叉合掌,誦明五遍加持五處,便成三昧耶身,此名一切佛心三昧耶印。因以此印生一切印故,先作三昧耶印。
**印の形は、智慧の手と定の手、両手の十本の指を組み合わせて合掌します。** **この印で真言を五回唱え、五つの場所を加持すれば、三昧耶身が成就します。** **これを「一切仏心三昧耶印」と言います。** **この印からすべての印が生まれるため、まずこの三昧耶印を結びます。**
金剛部三昧耶真言曰:
金剛部の三昧耶真言に曰く、
鄔𤙖二合𭭯躭囉二合滿陀怛喇二合吒(一)
だからこそ、真理に目覚めた方々は、このような悟りの境地に達したのです。
其印相,作前金剛合掌印,便成合作拳,繫置心上。當繫心腑時,誦明一七遍,散其合拳雙下三繫。此名結金剛界印。三繫心已,由是真言及印力故,能淨三業堅固母地心。
印の形は、前金剛合掌印を作り、そのまま組んだ拳にして、心の上に置く。心に結びつける時、真言を七回唱え、組んだ拳を両方とも下ろして三度結ぶ。これを金剛界印と名付ける。三度心に結びつければ、この真言と印の力によって、三業を清め、母地の心を堅固にすることができる。
次於持誦處遣除穢觸及為障者。凡獻香花塗香末香并諸供具,辟除去垢,清淨光現增威作金剛界。結諸方界護身及伴、護居住處,如上所說。有未詳,臨事要須一一皆誦真言作印護持,能使成就無諸障難。當用降三世尊明王真言及手印而作加持,各能成辦諸事業等。
次に、読経・念誦を行う場所において、汚れや触れるべきでないもの、および妨げとなるものを取り除きます。香・花・塗香・末香をはじめとするすべての供物を捧げ、汚れを払い清めます。そうすると、清らかな光が現れ、威力が増し、金剛界が顕現します。
四方の境界を結び、自分自身と仲間を護り、住む場所を守ります。これは上に述べたとおりです。もし詳しくわからない点があれば、その場に臨んで、必ず一つ一つ真言を唱え、印を結んで護持すれば、成就させることができ、障害はなくなります。
その際には、降三世尊明王の真言と手印を用いて加持を行うべきです。そうすれば、それぞれの事業がすべて成し遂げられます。
次誦降三世尊明王真言曰:
次に降三世尊明王の真言を唱えます。
鄔𤙖二合𩕳三婆上(一)𭭯耽囉二合(二)虎𤙖二合(三)
シャカムニ ホトケ タル ヨク シタガエ セイ ル キ テン オン ソー ホーツ キ ヨク
此名降三世明王真言,成辦諸事者。其印相,以智定二手各為拳,竪其風幢,掘大空輪入掌內,以地水火輪三輪押之即成。其印以定手印置在心上,以智手印用觸諸物,及結地界四方四隅乃至上下等方,右轉三遍,指上下便成。結十方界訖,次警覺本尊及一切諸世尊四智四波羅蜜多,從三昧耶起觀瞻愈𬿠者,愍念懃苦憶昔本願降赴道場。
これが降三世明王の真言であり、さまざまなことを成し遂げるものです。その印の組み方としては、智慧の手と定の手の両方をそれぞれ拳にし、風指(人差し指)を立てて、大空指(親指)を掌の中に引き入れ、地・水・火の三本の指で押さえることで印が完成します。この印のうち、定の手で作った印を心の上に置き、智慧の手で作った印を用いて様々なものに触れたり、また地の結界を四方や四隅、さらには上下などの方向に施し、右に三度回してから上下を指すことで結界が完成します。十方の結界を施した後、次に本尊や一切の諸世尊、四智や四波羅蜜多を目覚めさせ、三昧耶の状態から立ち上がり、慈しみの眼差しで見守り、苦しみに励む者を哀れみ、過去の本願を思い起こして道場に降り立つよう促します。
警覺真言曰:
目を覚ましなさい、という真言があります。
鄔𤙖二合𭭸耽羅二合(一)𭙪瑟吒二合(二)
ナモ・ラーセー・トーラーヤ(一)
其手印相,以智定二手地輪鉤鎖相連,屈其大空令入掌中,以水輪及以火輪雙押大空輪,風幢向前相著,以掌向上,便誦真言七遍。以印從下發起請本尊,是名發起本尊之印也。
* **手印の形**:智慧と定力を表す両手(右と左)の地の指を絡めて結びつけます。親指(大空)を曲げて掌の中に入れます。水の指と火の指で、その親指を両側から押さえます。風の指(人差し指)を立てて前に向け、互いに触れ合わせます。掌を上に向けて、真言を七回唱えます。 * この印を下から上に掲げるように動かし、本尊をお招きします。これが本尊を招く印(発起の印)です。
發請本尊真言曰:
本尊を請じる真言(まことのことば)を唱えます。
鄔𤙖二合𭭯耽囕二合糝忙耽急重呼之(一)
イアク ニゴウ マニ タンラ ニゴウ サマンタ マ ダン ジキジュウコノ((一))
其手印相,以智定二手相叉作金剛拳,不解此拳以智風幢撥智大空,定手亦然。如是三彈指,誦明一七遍,即成發請。凡請諸尊定法,心想本尊在覩史陀宮珊瑚殿上,普現色身三昧耶起,從珊瑚殿上白寶階道場降臨道場。其形如左。
【印の結び方】 両手をそれぞれ金剛拳に組み、その状態を解かずに、右手の人差し指(智風幢)で右手の親指(智大空)を軽くはじき、左手も同様に行います。これを三回指を鳴らすように行い、真言を七回唱えると、お招きが成立します。
【諸尊を招く定めの作法】 心の中で、本尊が兜率天(とそつてん)の珊瑚殿にいらっしゃり、すべての姿を現す三昧耶(さんまや)の状態から、その珊瑚殿の白宝の階段を降りて、道場に降临される姿を思い浮かべます。その形は左の通りです。
大圓明內更有五圓明,四隅四半月輪、八寶塔、四金剛輪、四金剛杵界道。其中圓明,本尊慈氏菩薩。次四面智波羅蜜多菩薩,四隅四內供養等菩薩。其圓明外邊,旋智火光焰從空而降其聖者等,皆頭戴五智如來冠,各執本印契,半跏而坐。其慈氏等尊亦如上說,左手執紅蓮華,於華上置法界塔印,右手作說法之印,如上是也。莊嚴如上,想已便迎請本尊。
大いなる円相の中に、さらに五つの円相がある。四隅には四つの半月輪、八つの宝塔、四つの金剛輪、四つの金剛杵で境界線が描かれている。その中央の円相には、本尊である慈氏菩薩(弥勒菩薩)がいらっしゃる。次に、四方には智波羅蜜多の菩薩、四隅には四内供養などの菩薩がおられる。その円相の外側には、智慧の火光が渦を巻きながら空から降り注いでいる。これらの聖者たちは皆、五智如来の宝冠を頭に戴き、それぞれが固有の印契(いんげい)を結び、半跏趺坐の姿勢でお座りになっている。慈氏菩薩などの尊い方々も同様に、左手には紅蓮華を持ち、その蓮華の上に法界塔の印を置き、右手は説法の印を結んでおられる。以上がその様子である。荘厳も上述の通りである。このように観想したならば、本尊を招請するのである。
請本尊真言曰:
次のように、本尊の真言を唱えます。
鄔𤙖二合𭭯耽𠻴二合引俱捨耽急重呼(一)
迦羅迦唎 倶舎利 ダンジ キリキリ</note>
其手印相,以智定二手各作金剛拳,竪二風幢,以智腕置定手腕上,向外作鉤形。而作此印已,誦明一七遍。三召請既蒙來赴,次請入道場。
① 両手で智拳印を結びます。両手それぞれで金剛拳を作り、人差し指だけを立てて鉤(かぎ)の形にします。右手(智慧の手)の手首を、左手(定の手)の手首の上に重ね、外側に向けて鉤の形を作ります。この印を結んだまま、真言を七回唱えます。
② 三度の召請によって、仏はすでに来臨してくださっています。次に、仏を道場にお招き入れします。
請入道場真言曰:
請入道場真言: 「オン、サンマヤ、サトヴァン」
鄔𤙖二合𭭯耽羅二合簸捨虎𤙖二合(一)
グル・バイ・ダラ・ホンバ・シャ・ケン・コウ
其手印相,以智定二手作金剛拳,竪二地輪,二大空交結右押左。既奉請入已,誦明一七遍,便辟除尾曩夜迦,示三昧耶依請而住。
両手で金剛拳(こんごうけん)の印を結び、人差し指(地輪)を立て、両方の親指(大空)を交差させ、右手を左手の上に重ねます。 こうして仏を招き入れたなら、真言(しんごん)を七回唱えます。すると、障りとなる魔(尾曩夜迦)は退けられ、三昧耶(さんまや)の誓いに従って、招かれた者はその場に留まります。
請住真言曰:
真言を唱えなさい。
鄔𤙖二合𭭯耽囉二合健引吒惡(一)鈴也
𠷌(にごる)ベータン タラ・ケン チャ アク(一) リンヤ
其手印相,以智定二手作金剛拳,竪二地輪,屈二大空輪雙入掌中。上來發請乃至歡喜,令堅固而住,真言一七遍。
印を結ぶには、知恵と定の両手で金剛拳を作り、二本の地の指を立て、二つの大空の指を曲げて掌の中に重ねて入れます。こうして請願を発してから歓喜が生じるまで、堅固に保ちながら真言を七回唱えます。
堅固真言曰:
堅固真言(けんごしんごん)は、次のように唱えます。
鄔𤙖二合𭭯耽囉二合塞普二合吒𭭹(一)鎖也
サヤ
其手印相,智定二手相拍,便成堅固印。
指の組み方としては、智慧の手と定の手を合わせるようにして打つと、それで堅固な印が完成する。
次應灌沐本尊及己身。灌頂真言曰:
次に、本尊と自身に灌頂を行います。灌頂の真言は次のとおりです。
鄔𤙖二合𭭯耽囉二合𭷢迦姹(一)
ブッダガヤ(仏陀伽耶)(一)
其手印相,以智手水輪與大空輪相捻,餘輪直竪按水器上,想沐浴本尊,以印灑尊及己身頂上。奉獻遏囉伽(二合)香水,想灌本尊頂,用此印并誦真言三七遍。