佛本行集經卷第九
仏本行集経 巻第九
隋天竺三藏闍那崛多譯
隋の天竺三蔵僧侶、闍那崛多訳
從園還城品下
園から城に帰る 下
「爾時迦毘羅城,有諸釋種五百大臣,皆悉是於菩薩眷屬,還復造立五百精舍,擬菩薩坐。當於菩薩初入城時,各各立在自家門前,以歡喜心,合掌恭敬而作是言:『願天中天,入我精舍;願大船師,入我精舍;願身金色清淨眾生,入我精舍;願施一切歡喜心者,入我精舍;願名遠聞、無毀缺者,入我精舍;願德最尊、無等等者,入我精舍。』時淨飯王為如是等五百親眷,生憐愍故,將於菩薩,次第巡歷,入其精舍,悉皆周遍,然後始將入於自宮。
その時、カピラ城には、五百人の釈迦族の重臣たちがおりました。彼らは皆、菩薩の信奉者であり、それぞれが菩薩のために五百の精舎(修行の場)を建てました。菩薩が初めて城に入られた時、彼らはそれぞれ自分の家の門前に立ち、喜びの心で合掌し、敬意を込めてこう言いました。
「どうか天の中の天よ、私の精舎にお入りください。 どうか偉大なる導き手よ、私の精舎にお入りください。 どうか金色の身を持つ清らかな方よ、私の精舎にお入りください。 どうかすべてに喜びを与える方よ、私の精舎にお入りください。 どうか名高い方、欠点のない方よ、私の精舎にお入りください。 どうか最も尊く、比べる者なき方よ、私の精舎にお入りください。」
その時、浄飯王はこれらの五百人の親族に哀れみの心を起こし、菩薩を連れて順にすべての精舎を巡り、それからようやく自分の宮殿へとお連れしました。
「爾時菩薩當生之日,即有五百諸釋種子,同日而生,菩薩巍巍,最為初首。
その時、菩薩がお生まれになったその日に、五百人の釈迦族の子たちが同じ日に生まれました。 その中で菩薩はひときわすぐれて、最も優れた最初の者でありました。
「復有五百諸釋種女,亦同日生,耶輸陀羅而為上首。
また五百人の釈迦族の娘たちも同じ日に生まれ、耶輸陀羅(ヤショーダラー)がその中心となった。
「復有五百諸釋奴僕,亦同日生淨飯王宮,車匿為首。
また、五百人の釈迦族の召使たちも、同じ日に浄飯王の宮殿で生まれました。その中でもチャンナを筆頭としています。
「復有五百釋種婢媵,亦同日生淨飯王宮,侍衛太子。
また五百人の釋種(しゃくしゅ)の侍女たちも、同じ日に淨飯王(じょうぼんのう)の宮殿で、太子のお世話をするために生まれました。
「復有五百鮮白馬駒,亦同日生淨飯王厩,揵陟為首。
また、五百頭の真っ白な子馬たちが、同じ日に浄飯王の厩で生まれました。その筆頭はカンタカ(犍陟)でした。
「復有五百大香象王,色白如雪,齊有六牙,在王宮門,忽然而現。
また、五百頭の大きな香象の王が現れました。その体色は雪のように白く、それぞれ六本の牙を持ち、王宮の門のところに忽然と姿を現したのです。
「復有五百大巨伏藏,周匝四面,繞迦毘羅,自然而現。
そなたたち五百の大きな伏蔵が、カピラ城の四方を取り巻いて、おのずと現れ出でた。
「復有五百妙好園林,流泉浴池,種種花果,皆悉遍滿,並現在於迦毘羅城,四面周匝,悉是太子威德力故。
また、五百の美しい園林があり、さらさらと流れる泉や水浴びの池、さまざまな花や果実がすべてそこに満ちあふれていました。これらはすべて、カピラ城の四方を取り囲むようにして現れていました。これはすべて、太子の威光と徳の力によるものでした。
「復有五百大商賈主,積諸錢財,多饒珍寶,相隨來詣迦毘羅城。
さらに五百人の大商人がおり、財宝を数多く積み、共にカピラ城へとやって来ました。
「復有五百微妙傘蓋、五百金瓶,並是五百粟散諸王,遣使送來,上淨飯王,作如是言:『今以是物,奉獻大王,慶賀太子。』
また、五百の見事な傘蓋と五百の金の瓶がありました。それらは五百の小国の王たちが使者に託して、浄飯王のもとへ届けさせたものです。彼らはこう言って送りました。「これらの品々を、国王陛下に献上いたします。太子さまのご生誕を心からお祝い申し上げます。」
「復有五千諸婆羅門及剎利種大富長者,各持己女,將來奉上於淨飯王。時,淨飯王凡所須者,皆悉備具。
また、五千人のバラモンやクシャトリヤの種族の裕福な長者たちが、それぞれ自分の娘を連れて、浄飯王に差し出しました。その時、浄飯王は必要なものがすべて整っていました。
「時,淨飯王自心思惟:『我生太子,今作何名?』復更思惟:『彼生之日一切眾事,皆悉自成,今我可為太子立名,名為成利。』時,淨飯王即開藏出百億兩金,供養成利,為立名字。是故偈言:
時、浄飯王は自らこう思惟した。「わたしは太子を生んだが、今、何と名づけようか。」さらに思惟して「あの子が生まれた日、すべてのことが自然と整った。今、わが子のために名をつけるなら、『成利』としよう。」そこで浄飯王は宝物庫を開け、百億両の黄金を取り出し、成利という名をつけて供養した。それゆえ、偈にこうある。
「『如是王宮內, 眾事悉豐饒,
今作太子名, 應當名成利。』
「この王宮の中は、全てのものが豊かに満ちている。 今、太子の名を『成利(なりとし)』と定めるのがふさわしい。」
佛本行集經相師占看品第八上
第八品上 相師の占い
「時,淨飯王即召相師解占觀者,呼使前來,令看太子,作如是言:『汝諸相師婆羅門等,占是太子,在我族中,為好為惡?汝等好看吉凶之相。』
その時、浄飯王は相師や占い師たちを呼び寄せて、太子を拝見させ、次のように仰せになりました。「あなた方、相師やバラモンたちよ、この太子が我が一族にとって良いお方か、悪いお方かを占いなさい。よくよく吉凶の相を見極めなさい。」
「是時諸相師婆羅門等,聞王勅已,一心瞻仰太子形容,各依先聖所有諸論,共相量宜。量宜訖已,白於王言:『大王!今者大得眾利。何以故?此太子者,有大威德,是大眾生,今生王家。大王!當知,此太子身有三十二大丈夫相,凡有一人具三十二丈夫相者,於世間中,則有二種果報不差,更無餘異。何等為二?一若在家受世樂者,則得作於轉輪聖王,王四天下,護持大地,七寶具足,乃至不用刀杖化人,自然如法,遍於海內。若捨王位,出家學道,得成如來、應、正遍知,名稱遠聞,充滿世界。』
時、すべての相師(占い師)であるバラモンたちは、王の命令を聞くと、一心に太子の姿かたちを仰ぎ見ながら、それぞれが先聖のすべての論に従って、互いに相談し合いながら見定めました。見定めが終わると、王に申し上げました。「大王よ、今、王は大いなる利益を得られました。それはなぜかと言いますと、この太子は大いなる威徳をお持ちで、すぐれた衆生(迷いの世の中に生きる者)として、王家にお生まれになったからです。大王よ、どうかお知りください。この太子のお身体には、三十二の大いなる男の相が備わっています。この三十二の大いなる男の相をすべて具えた者は、この世の中で、次の二つの結果が必ず現れ、他の例外はございません。その二つとは何か。第一に、もし家にいて世の中の楽しみを受けるならば、世界を治める転輪聖王となり、天下を統べ、大地を護り、七つの宝を備え、しかも武力や刑罰を用いることなく民を教化し、自然に正しい道に従って、世界中にその治めが行き渡ります。もし王位を捨て、出家して仏道を学ぶならば、如来・応供・正遍知(完全に目覚めた者)となり、その御名は遠くまで聞こえ、世界に満ち渡るでありましょう。」
「時,淨飯王聞是記已,復更重問婆羅門言:『太子何處是大丈夫三十二相?』婆羅門言:『三十二種大人相者:一者太子足下安立,皆悉平滿。二者太子雙足下,有千輻輪相,端正處中,可喜清淨。三者太子手指纖長。四者太子足跟圓好。五者太子足趺高隆。六者太子手足柔軟。七者太子手足指間具足羅網。八者太子踹如鹿王。九者太子正立不曲二手過膝。十者太子陰馬藏相。十一太子皮膚一孔一毛旋生。十二太子身毛上靡。十三太子皮膚細軟如兜羅綿。十四太子身毛金色。十五太子身體淳淨。十六太子口中深好可喜方正。十七太子頰車方正,如師子王。十八太子兩脛廣闊。十九太子身體上下縱橫正等,如尼拘樹。二十太子七處滿好。二十一者具四十齒。二十二者諸齒齊密。二十三者齒不疎缺不𪙉不齵。二十四者四牙白淨。二十五者身體清淨純黃金色。二十六者聲如梵王。二十七者舌廣長大柔軟紅薄。二十八者所食之物皆為上味。二十九者眼目紺青。其三十者太子眉眼𥇒如牛王。三十一者眉間白毫右旋宛轉,具足柔軟清淨光鮮。三十二者頂上肉髻高廣平好。大王!此是太子三十二種大丈夫相,如是具足。若有一人具足此等丈夫相者,是人所得二種果報,在家出家如上所說。』
その時、浄飯王はこの予言を聞いて、さらにバラモンに問うた。「太子のどこが大いなる人の三十二の相なのか?」バラモンは答えた。「三十二の大人の相とは、次の通りです。
第一に、太子の足の裏は平らで、地にしっかりと置かれていること。 第二に、両足の裏には千本の輻を持つ輪相があり、端正で清らかであること。 第三に、太子の指は細く長いこと。 第四に、太子の踵は丸く美しいこと。 第五に、太子の足の甲は高く盛り上がっていること。 第六に、太子の手足は柔らかいこと。 第七に、太子の手足の指の間には、網のように繋がった相があること。 第八に、太子のふくらはぎは鹿王のように美しいこと。 第九に、太子がまっすぐに立つと、両腕を曲げずに膝に届くこと。 第十に、太子の陰部は馬の陰部のように隠れていること。 第十一に、太子の皮膚の毛穴は一つ一つから一本の毛が右巻きに生えていること。 第十二に、太子の体毛は上に向かって靡いていること。 第十三に、太子の皮膚は細かく柔らかで、兜羅綿のようであること。 第十四に、太子の体毛は金色であること。 第十五に、太子の身体は清らかで濁りがないこと。 第十六に、太子の口の中は深く美しく、端正であること。 第十七に、太子の頬車は獅子王のように端正であること。 第十八に、太子の両腋は広く開いていること。 第十九に、太子の身体の縦横の長さは等しく、尼拘樹のようであること。 第二十に、太子の七つの部位は満ち足りていること。 第二十一に、太子の歯は四十本あること。 第二十二に、すべての歯は整って密であること。 第二十三に、歯は疎らでも欠けてもおらず、食い違いも揺れもないこと。 第二十四に、四本の牙は白く清らかであること。 第二十五に、身体は清らかで純金の色であること。 第二十六に、声は梵天のように美しいこと。 第二十七に、舌は広く長く柔らかで、赤く薄いこと。 第二十八に、食べる物はすべて最上の味であること。 第二十九に、眼は紺青色であること。 第三十に、太子の眉とまつげは牛王のようであること。 第三十一に、眉間の白毫は右に旋回し、柔らかく清らかで光り輝いていること。 第三十二に、頂上の肉髻は高く広く、平らで美しいこと。
大王、これらが太子の三十二の大人の相です。このように全てを備えています。もし一人の人が、これらの大いなる人の相を全て備えているならば、その人が得る結果は二つあり、在家であれば転輪聖王、出家すれば仏陀となることは、先に申し上げた通りです。」
「時,淨飯王聞諸相師說是語已,心大歡喜,遍體踊躍,不能自勝,即出種種百味飲食,設彼相師婆羅門等,令其自恣隨意飽滿。復以種種雜妙衣服,種種諸寶及餘資財,而布施之。時,淨飯王於迦毘羅大城之內,四衢道頭及諸街巷,處處遍滿,立無遮會,凡所須物,皆悉給與,須食與食,須飲與飲,須衣與衣,須香與香,須床敷與床敷,須房舍與房舍,須資財與資財,須駄乘與駄乘,所有功德,皆悉迴施,並為資益於太子身。
時に、浄飯王は相師たちの言葉を聞いて、心から大いに喜び、全身に歓喜が溢れ、自らの喜びを抑えきれませんでした。そこで、さまざまな百味の飲食を用意し、その相師であるバラモンたちをもてなし、思うままに十分に満腹させるようにしました。また、さまざまな美しい衣服や、さまざまな宝、その他の財産を施しました。
その時、浄飯王はカピラ城の大通りや街路の至る所に無遮の施しの会を設け、必要なものはすべて与えました。食べ物を求める者には食べ物を与え、飲み物を求める者には飲み物を与え、衣服を求める者には衣服を与え、香を求める者には香を与え、寝床を求める者には寝床を与え、家を求める者には家を与え、財産を求める者には財産を与え、馬車を求める者には馬車を与えました。これらの功徳のすべてを太子の身に生じる利益として、皆に廻向したのです。
「是時菩薩,在天臂城嵐毘尼園,從於母胎初出生時,正憶正念,放大光明,遍滿世界,又此大地,六種震動,備十八相。爾時,地居諸天諸仙,見此瑞已,歡喜遍身,不自勝持,揚聲叫喚,發大語言:『今日閻浮嵐毘尼中菩薩出生,為於一切天人世間作大安樂,為諸無明黑闇眾生作大光照。』時四天王,聞彼地居諸天諸仙發大聲已,其四天王所在諸天,傳聞此語,復大歡喜,發大音聲,戲弄衣裳,作如是言:『今於人中,菩薩出生,為諸世間,安樂明故。』三十三天,聞四天王叫喚音聲,亦大歡喜。如是乃至須夜摩天從忉利聞,至兜率陀從夜摩聞,化自樂天從兜率聞,他化自在從化樂聞,展轉復至色界梵天從他化聞,梵眾天從梵天處聞,梵輔天從梵眾天聞,大梵天從梵輔天聞,光天從彼大梵天聞,少光從彼光天處聞,無量光天從少光聞,光音天從無量光聞,淨天從彼光音天聞,少淨天從淨天處聞,無量淨天從少淨聞,遍淨天從無量淨聞,廣天從彼遍淨天聞。從於廣天至少廣天,從少廣天至無量廣,從無量廣至廣果天,從廣果天至於熱天,從於熱天至無熱天,從無熱天至無比天,從無比天至善現天,從善現天如是次第,一剎那頃,乃至到於阿迦尼吒。一切諸天,各各唱言:『今日菩薩,生於世間,為於天人作大安樂,為於黑暗盲冥眾生作大燈明。』
その時、菩薩は天臂城の嵐毘尼園で、母の胎内から初めてお生まれになった時、正しく思い、正しく念じ、大いなる光明を放って世界中に満ち渡らせました。またこの大地は六種に震動し、十八の相を備えていました。その時、地に住む諸天や仙人たちは、この瑞相を見て歓喜に満ち、自らを抑えきれず、叫び声をあげて大声で宣言しました。「今日、閻浮提の嵐毘尼園で菩薩がお生まれになった。これはあらゆる天人・世間にとって大いなる安楽をもたらし、無明の闇に覆われた衆生にとって大いなる光明となる」。四天王は、地に住む諸天や仙人たちの大声を聞き、その四天王のいる諸天たちもこの言葉を伝え聞き、さらに大いに喜び、大声を上げて衣をひるがえし、こう言いました。「今、人間界に菩薩がお生まれになった。これは諸々の世間に安楽と光明をもたらすためである」。三十三天も四天王の叫び声を聞いて大いに喜びました。このようにして、須夜摩天は忉利天から聞き、兜率陀天は夜摩天から聞き、化自楽天は兜率天から聞き、他化自在天は化楽天から聞き、さらに転じて色界の梵天に至るまで他化天から聞きました。梵衆天は梵天から、梵輔天は梵衆天から、大梵天は梵輔天から、光天は大梵天から、少光天は光天から、無量光天は少光天から、光音天は無量光天から、浄天は光音天から、少浄天は浄天から、無量浄天は少浄天から、遍浄天は無量浄天から、広天は遍浄天から聞きました。広天から少広天へ、少広天から無量広天へ、無量広天から広果天へ、広果天から熱天へ、熱天から無熱天へ、無熱天から無比天へ、無比天から善現天へ、善現天から、このように次第に、一刹那のうちに、ついには阿迦尼吒天に至るまで、すべての諸天がそれぞれに唱えて言いました。「今日、菩薩が世間に生まれた。これは天人に大安楽をもたらし、闇に閉ざされた盲いた衆生に大いなる灯火を与えるためである」。
「爾時,有一阿私陀仙,在三十三天上安居,見彼諸天,歡喜踊躍,不能自勝,或弄衣裳,揚聲如前。見已即問彼諸天言:『仁者大德!三十三天今以何故,歡喜踊躍,遍滿身中,不能自勝,復大叫喚,手弄衣冠?』說是語已,三十三天報彼仙人阿私陀言:『阿私陀仙大德不聞,今人世間閻浮提地,當於北方雪山之下,有釋種城,名迦毘羅。彼城有王,名為淨飯。彼王最大夫人生子,極大端正,可喜絕殊,身色黃金,頭如傘蓋,鼻高圓直,兩臂下垂,形體端嚴,六根具足,處處皆充,如鑄金挺,具三十二大丈夫相,備八十種微妙之好。大仙!彼之菩薩決定得成阿耨多羅三藐三菩提,成已決定轉於無上清淨法輪。而彼菩薩能於一切天人魔梵、沙門婆羅門等諸世間中,自證諸通。證諸通已,闡揚正法,其法祕密,初中後善,義味深妙,具足說於清淨梵行。彼說法時,所有一切諸眾生等,以聞法故,有生法者,斷絕生法;受老法者,斷其老法;受病法者,得斷病法;受死法者,得斷死法;憂愁苦惱,悉得斷除,滅其根本。』阿私陀仙從彼三十三天聞已,心生重信,即於彼天,隱身來下,現增長林。
その時、阿私陀という仙人が三十三天(忉利天)で夏安居をしていました。ある日、彼は天の衆たちが、声を張り上げたり衣を振り回したりして、抑えきれないほど喜び踊っている様子を見ました。そこで彼は天の衆たちに尋ねました。
「皆さま、大徳よ。三十三天(須夜摩天)はいったい何ゆえに、これほどまでの歓喜に満ち、身の内に溢れ、自制がきかず、大声を上げ、衣や冠を手で弄っているのですか?」
天の衆は阿私陀仙人に答えました。
「阿私陀仙よ、あなたはまだお聞きになっていませんか。今、人間界の閻浮提(南瞻部洲)で、雪山(ヒマラヤ)の麓に、カピラ(迦毘羅)という釈迦族の都があります。そこには浄飯王(スッドーダナ王)という王がおられます。その王の第一后が御子を産まれました。その御子は非常に端正で、この上なく美しく、肌は黄金の色、頭は傘の蓋のよう、鼻は高く丸く真っ直ぐで、両腕は垂れ下がり、姿は整い厳かで、六根(六感)は完全に具わっております。全身がまるで黄金で鋳固めたかのような、三十二の大丈夫相(特徴)と、八十種の妙なる好(微細な美しさ)を備えておられます。
大仙よ、かの菩薩は必ずや無上正等覚(アヌッタラ・サンマー・サンボーディ)を成就されます。そして、成就された後は、必ずや清らかな最上の法の輪(法輪)を転じられます。その菩薩は、一切の天、人、魔、梵天、沙門(修行者)、婆羅門(司祭)などの世間において、自ら神通を証得されます。そして、その法は甚深で、初め・中・終わりの全てが善く、意味と味わいは深妙で、清らかな梵行(聖なる生き方)のすべてを説き明かされます。
その説法を聞いた衆生は、生まれるべきものは生を断ち、老いるべきものは老いを断ち、病むべきものは病を断ち、死ぬべきものは死を断ち、憂いや苦しみのすべてを断ち切って、その根本を滅ぼすことができるのです。」
阿私陀仙人は、三十三天でこの言葉を聞き、深い確信を抱きました。そして、その天から身を隠し、下界に降り立ち、出現増長林(ルンビニーの園)に現れました。
「爾時,復有說如是言:南天竺地,有一城名優禪耶尼,去城不遠,山名頻陀,於其中間,更有一山,名阿私陀。是時仙人,於彼山居,以彼山故,即稱仙人,名阿私陀。其仙人從忉利天下,在彼山時,阿私陀仙將一侍者,名那羅陀,從彼山中,隱身來此迦毘羅城,去城不遠下而立住,作是思惟:『我昔於此迦毘羅城,聞眾國師及婆羅門云:「淨飯王生菩薩子,彼是天人及我等師,不得輕忽。」若我今於迦毘羅城,現神通入,無有此理。何以故?迦毘羅城,不同往昔。今日若往,應當更現其餘異相。我應敬彼如事尊神,我寧步行,入彼城內。』時阿私陀及其侍者那羅陀身徒步共入迦毘羅城,從小巷裏,私竊欲向淨飯王所,到宮門前。時迦毘羅人民稠閙,處處遍滿,間無有空,為菩薩故,作大莊嚴。
その時、またこのような言葉を語る者がいた。 「南インドの地に、優禅耶尼という名の都がある。都を遠く離れず、頻陀という山がある。その間に、さらに阿私陀という名の山がある。その時、仙人はその山に住んでいた。その山ゆえに、その仙人は阿私陀と呼ばれた。 その仙人は忉利天から降り、その山にいた時、阿私陀仙は一人の侍者、那羅陀を連れて、その山中から姿を隠し、この迦毘羅城にやって来た。都から遠くない場所に降り立ち、こう思案した。 『私はかつてこの迦毘羅城で、多くの国の師やバラモンたちがこう言うのを聞いた。「浄飯王に菩薩の子が生まれた。その方は天や人々、そして我々の師である。軽んじてはならない」と。 もし今、私が迦毘羅城に神通力をもって入るならば、それは道理にかなわない。なぜなら、迦毘羅城は昔とは違うからだ。今日、もし行くならば、さらに別の異相を示すべきである。私は彼を尊い神のように敬うべきだ。むしろ歩いてその都に入ろう。』 その時、阿私陀とその侍者那羅陀は、共に歩いて迦毘羅城に入った。裏通りからひそかに、浄飯王の宮殿へと向かい、宮門の前に到着した。 その時、迦毘羅の民は非常に賑わい、至る所に満ち溢れ、隙間もないほどであった。菩薩のために、見事な荘厳が施されていたのである。」
「時諸大眾,見彼仙人步行而來,入迦毘羅,復從小巷,趣向淨飯大王宮門,見已無量無邊人民,雲雨而集隨逐仙人,心生驚愕,怪不敢問。以何義故?仙人致此。時彼大眾,城內人民,或在自家門前而立,或在窓邊,或倚构欄,或在臺頭,或在屋上,觀彼仙人,各相謂言:『往昔此仙,來入迦毘羅婆城時,乘大神通騰空而行,到於淨飯大王宮中。今日步行而來入城,我等不知。以何義故,步涉而來?』
時に、大衆はその仙人が歩いてやって来て、カピラ城に入り、小路を通って浄飯王の宮殿の門へと向かうのを見た。それを見た無数の人々は、雲や雨のように集まり、群れをなして仙人の後を追ったが、心に驚きと怪しみを抱き、あえて尋ねることもできなかった。「何の理由で、仙人がこのように来られたのだろうか」と。その時、城内の民衆は、ある者は自らの家の門前に立ち、ある者は窓辺に、ある者は欄干に寄りかかり、ある者は屋上にいて、その仙人を見つめ、互いに言い合った。「昔、この仙人がカピラ城に来られた時は、大きな神通力に乗って空を飛び、浄飯王の宮殿に到られたものだ。今日は歩いて来られ、城に入られた。我々にはわからない。何の理由があって、歩いて来られたのだろうか?」と。
「時阿私陀至淨飯王宮門前已,語當門人,作如是言:『我婆羅門,久來耆耄,猶如祖父,今日步行,翻似年少二十小兒,及那羅陀童子而來,其那羅陀,年始八歲,汝可為我白淨飯王。』時守門者,語仙人言:『如尊者教,我當奉諮。』即入宮門,漸漸而行,到於王前,具以白王。時淨飯王聞此語已,心大敬仰,歡喜無量,即從座起,語彼通事守門人言:『汝急疾引仙人將來,勿使淹遲。』時守門者還仙人所,而作是言:『大仙知時,宜速入宮。』時阿私陀聞彼語已,即共侍者那羅陀入淨飯王宮。時,淨飯王遙在殿,見阿私陀仙漸漸而行將至王所,是時大王即從座起,詣仙人所,承事迎接,扶持其腋,將好最勝最妙第一希有寶座,安置令坐,坐已禮拜,口唱是言:『我今恭敬禮拜尊者。』是時仙人,口即呪願淨飯王言:『唯願大王!常得安樂。』
ある時、阿私陀仙人は浄飯王の宮殿の門前に到り、門番にこう言いました。「私は婆羅門である。長年歳を重ね、祖父のように老いたが、今日歩いて来た様子は、まるで二十歳の少年や童子の那羅陀のようではないか。その那羅陀はまだ八歳だ。私のために浄飯王に取り次いでほしい。」
門番は仙人に言った。「尊者のお言葉のまま、お伝えいたします。」そう言って門の中に入り、徐々に進みながら王の前に到り、詳しく王に報告した。
浄飯王はこの言葉を聞くと、心から敬い慕い、限りない喜びを抱き、すぐに座を立ち、取り次ぎの門番に言った。「すぐに仙人を連れて来なさい。遅らせてはならない。」
門番は仙人の元へ戻り、こう言った。「大仙よ、時は適しています。すぐに宮中にお入りください。」
阿私陀はこれを聞き、侍者の那羅陀と共に浄飯王の宮殿に入った。その時、浄飯王は遥か彼方の殿から、阿私陀仙人が徐々に歩み寄り王の元へ近づくのを見て、すぐに座を立ち、仙人の元へ赴いた。そして敬意を込めて迎え、その脇を支え、最も優れ、最も素晴らしく、第一であり、希有な宝座に彼を座らせた。座らせた後、礼拝してこう言った。「私は今、尊者を敬い礼拝いたします。」
その時、仙人はすぐに浄飯王のために呪願して言った。「願わくは、大王よ。常に安楽であられますように。」
「時,淨飯王白仙人言:『尊者何求故屈到此?為須衣耶?為須食乎?為復求須其餘諸事?須者但道,我悉備具,必與不違。』時阿私陀,諮白王言:『大王!當知,今我來者,無所乏少,不求衣食,一切諸事,悉所不須。然我今者故從遠來,欲見大王最勝童子。大王慈恩,願當示我善勝童子。』是時童子,在於寶座,睡臥眠寢。淨飯王語阿私陀言:『尊者大仙!少時留心,童子今眠,猶未覺寤,願待須臾。』時阿私陀即白王言:『大王!莫說如是語言,稱童子睡。何以故?我等雖寤,猶如睡人。大王!童子久來斷除,無復眠睡,晝夜恒為諸眾生等,得安樂故、大利益故,而入禪定。』
時に浄飯王は仙人に申し上げました。 「尊者よ、何を求めてわざわざここへおいでになったのですか。衣が必要なのでしょうか。食物が必要なのでしょうか。あるいは他の何かをお求めなのでしょうか。お求めのものがあれば、おっしゃってください。私はすべて準備して、必ずお与えし、違えることはありません。」
その時、阿私陀は王に申し上げました。 「大王よ、お聞きください。私が今日ここに来たのは、何一つ欠けるものがあるからではありません。衣服や食物を求めているのでもなく、すべての事柄について、私は何も必要としておりません。しかし、私は今、遠くからわざわざ参りましたのは、大王の最も勝れた童子にお目にかかりたいからです。大王の慈愛の心で、どうか私にこの善勝の童子をお示しください。」
その時、童子は宝座の上で眠りにお入りになっていました。浄飯王は阿私陀に申し上げました。 「尊者なる大仙よ、しばらくお心をお留めください。童子は今、眠っておられ、まだお目覚めになりません。どうかしばらくお待ちください。」
その時、阿私陀は即座に王に申し上げました。 「大王よ、そのような言葉をおっしゃってはなりません。童子が眠っているとおっしゃってはなりません。なぜなら、私たちは目が覚めていても、まだ眠っている者のようなものだからです。大王よ、童子は遠い昔から眠りを断ち切っておられ、もはや眠ることはありません。昼も夜も常に、すべての生きとし生けるものが安楽を得、大きな利益を得るために、禅定に入っておられるのです。」
「時,淨飯王知童子眠寤時欲至,即入宮內,勅令莊嚴宮舍殿堂,淨水灑地,掃除糞穢,香水重灑,花散其上,在在處處,安置香鑪,燒雜妙香。復懸種種繒綵幡蓋,垂諸旒蘇,竪大寶幢。復懸無量真珠瓔珞真珠羅網,種種寶鈴,垂覆其上,懸眾雜寶,猶如日月星宿之光。復掛種種妙寶衣裳,喻如飛天,手持花瓔。復懸雜色朱紫紅黃種種眾毦。諸如是等,挍飾精麗莊嚴宮中,如乾闥城一種無異。復召釋種內外眷屬,最大最勝威德尊者,令來入宮,使共摩耶夫人一處。是時摩耶詣童子所,至已持手抱童子頭,令向仙人擬如禮拜仙人之足;是時童子威德力故,其身自轉,足向仙人。時,淨飯王更復共扶迴童子頭,令拜仙人;童子力故,足還自轉,向彼仙人。時,淨飯王復迴童子,頭向仙人,還復轉足,如是至三。其阿私陀遙見童子,是時童子,放常光明照觸大地,童子威德,端正可喜,色純黃金,頭如寶蓋,鼻直而圓,脩臂下垂,支節正等,無缺無減,具足莊嚴。
時に、浄飯王は童子が眠りから覚める時が来たのを知り、宮殿の中に入って、宮殿の部屋や殿堂を荘厳するよう命じた。まず清水で地面に水をまき、汚れや塵を掃き清め、さらに香りの水をまいて、その上に花を散らした。至る所に香炉を置き、さまざまな妙なる香を焚きなえた。また、様々な絹の布や幡(はた)や天蓋をかけ、多くの房飾り(ふさかざり)を垂らし、大きな宝の幢(とう)を立てた。さらに数え切れないほどの真珠の瓔珞(ようらく)や真珠の網をかけ、様々な宝の鈴を垂らして覆い、日月や星宿の光のように輝く多くの宝飾品をかけた。また、様々な妙なる宝の衣を、まるで天人が花の瓔珞を手に持つように掛けた。さらに紫、紅、黄などの様々な色の飾り房をかけた。これらのように、宮中は精巧に美しく飾り立てられ、まるで乾闥(けんだつ)の城のように、少しも違いがなかった。
さらに、釈迦族の内外の親族で、最も偉大で勝れた威徳を持つ尊者を召し出し、宮殿に入らせて、摩耶夫人と一堂に会させた。そこで摩耶は童子のもとへ行き、その手で童子の頭を抱え、仙人に礼拝するようその足の方へ向けようとした。すると、童子の威徳の力によって、その体が自然に回転し、足が仙人の方を向いた。浄飯王は再び童子の頭を支え、仙人に礼拝させようとしたが、童子の力で、また足が自ら回って仙人の方へ向いた。浄飯王が三度、童子の頭を仙人の方へ向けようとしたが、またも足が回った。それを三度繰り返した。
その時、阿私陀(アシタ)は遠くから童子を見た。その童子は常なる光明を放って大地を照らしていた。童子の威徳は、端正で喜ばしく、その肌の色は純金のようで、頭は宝の蓋のようであり、鼻はまっすぐで丸く、長い腕は垂れ、肢節は正しく揃い、欠けるところも減るところもなく、荘厳さを具えていた。
「時阿私陀即從座起,白於王言:『大王!莫將童子聖頭迴向於我。何以故?彼頭不合頂禮我足,我頭應當頂禮彼足。』復唱是言:『希有希有!大人出世,最大希有,大人出世!我本從天所聞之者,即此童子!真實定是,如彼不異。』時阿私陀整理衣服,偏袒右臂,右膝著地,伸其兩手,抱持童子,安其頂上,還復本座。本座坐已,還下童子,置於膝上。是時摩耶國大夫人即白大仙阿私陀言:『仁者尊師!當令童子禮大仙足。』阿私陀仙報夫人言:『國大夫人!莫作是語。今是童子,不應禮我;我及一切諸天世人,應當接足禮拜童子。』
その時、阿私陀はただちに座を立ち、王に申し上げた。 「大王よ、どうかこの聖なる童子の頭を私の方へ向けないでください。なぜなら、彼の頭が私の足を礼拝するのにふさわしくなく、むしろ私の頭が彼の足を礼拝すべきだからです。」
そしてさらにこう言い立てた。 「ああ、まれなるかな、まれなるかな!この世に偉大な方がお生まれになった。最もまれなることだ。偉大なお方のご降誕だ。私は以前、天で聞いていた。この童子こそ、まさにその方に違いない。少しも違わず、その通りだ。」
その時、阿私陀は衣を整え、右肩をあらわにし、右膝を地につけて、両手を差し伸べて童子を抱き、自分の頭の上に安置してから、再び元の座に戻った。座につくと、童子を下ろして自分の膝の上に置いた。
すると、摩耶国の大夫人が阿私陀仙人にこう言った。 「尊者よ、師よ、どうかこの童子に、仙人の足を礼拝させてください。」
阿私陀仙人は夫人に答えた。 「国の大夫人よ、そのようなお言葉をおかけになってはいけません。この童子は、私を礼拝すべきではありません。私も、すべての天や世の人々も、この童子の足もとに出向いて礼拝すべきなのです。」
「時淨飯王即持種種雜妙珍寶,以用嚫施阿私陀仙。時阿私陀,持自澡罐,以水洗手,受此施物,受已即持迴奉童子。時淨飯王白阿私陀大仙人言:『尊者大仙!我以此物,施於尊者,唯願納受。』仙人報言:『大王施我,我今迴施最勝童子。』淨飯王言:『我知大仙福田勝故,供養大師。』阿私陀仙,復報王言:『我今見是勝因緣故,迴施童子。』淨飯王言:『大聖尊仙!我今不解尊師此意。』仙人復言:『大王!當知,我今身心,深自歸伏於此童子。』淨飯王言:『何因何緣?願為解釋。』時阿私陀即報王言:『大王諦心,善聽是義,我當為王說其本末。大王!當知,我昔在於忉利天上,安居行道,忽見忉利一切諸天,歡喜踊躍,充遍其身,不能自勝,舞弄衣冠,跳躑悅豫。我時於彼,即便問言:「諸天仁者!何因何緣,歡喜騰躍,不能自勝,執持衣冠,舞弄躑䠱?」作是語已,忉利諸天即答我言:「大德仙人!汝今知不?於下世間北方地內雪山之下,有釋種城,名迦毘羅,彼城有王,名為淨飯。彼王最大第一夫人,產一童子,端正可喜,人所樂見。身黃金色,頭圓鼻直,足滿臂長,猶如金像,備具三十二大人相、八十種好,必定得成阿耨多羅三藐三菩提,當轉無上清淨法輪。今此童子,相貌具足,決是無疑。今此童子,以自神力,能知此世及以過去未來世等,天人魔梵、沙門婆羅門等,一切世間,自證知已,分別法相,乃至略說種種苦惱,可解脫者令得解脫。」大王我於彼時,聞是語已故,來至此觀看童子。』時,淨飯王報仙人言:『若如是者,大憐愍我,大饒益我,無覆憂愁。更有何法,過四種行,四行過已,能勝能最。今此童子,既人所生,能於未來,得無上道。』阿私陀仙,復白王言:『大王!當知,彼等一切諸婆羅門,在在處處,云何得勝而證知耶?』時,淨飯王復更諮白於仙人言:『我今在於大仙之前,願為解說,令我樂聞。』時阿私陀答言:『大王!如我相傳婆羅門家,四毘陀經說,往昔有一婆羅門名曰羖羊,復有婆羅門名拔迦利,復有婆羅門名拔伽婆,復有婆羅門名末檀地,復有婆羅門名迦吒囉唎,復有婆羅門名般適尸棄,彼等皆得阿修羅王算計之法,得勝得上。復有仙人名阿帝利耶,復有一王名鉢囉摩檀那,復有一王名闍那迦,此等諸人,皆得除滅身苦方便。大王!當知,如是如是,今此童子,雖生人間,而過於人,得勝人法。大王!往昔復有一王名婆伽羅,大海奔濤,波浪如山,甚難得渡,非祖非父,彼身能渡。大王!諸如是等,雖生人間,有大威德,以威德故,過諸天人。』
「時淨飯王は、さまざまな珍しい宝を取り出して、阿私陀仙人に布施しました。阿私陀は自分の澡罐を取り、水で手を洗ってから、この施し物を受け取り、受け取るとすぐにそれを童子に差し出しました。浄飯王は阿私陀大仙人に申し上げました。『尊者大仙よ。私はこれを尊者に差し上げます。どうかお受け取りください。』仙人は答えました。『大王が私に施しを与えられましたが、私は今、これを最も勝れた童子に差し直します。』浄飯王は言いました。『私は大仙が福田として勝れていることを知っておりますゆえ、大師として供養いたしました。』阿私陀仙人は再び王に答えました。『私は今、この勝れた因縁を見ましたので、童子に差し直すのです。』浄飯王は言いました。『大聖尊仙よ。私は今、尊師のこのお心をお察しすることができません。』仙人は重ねて言いました。『大王よ、おわかりください。私は今、身も心も深くこの童子に帰依しているのです。』浄飯王は尋ねました。『どのような因緣によるものですか。どうかお釈きください。』その時、阿私陀は王に答えました。『大王よ、よく心を留めて、この意味をお聞きください。私は王にその始まりと終わりを申し上げましょう。大王よ、おわかりください。私はかつて忉利天にいて、安居の修行をしておりました。すると突然、忉利天の全ての天人が、喜び勇み、その身体中に喜びが満ち溢れ、自ら抑えきれず、衣冠を弄び、跳ね回って楽しんでいるのを見ました。私はその時、彼らに尋ねました。「天人の方々よ。どのような因緣によって、このように喜び勇み、自ら抑えきれず、衣冠を弄び、跳ね回っておられるのですか。」このように尋ねると、忉利天の天人は私に答えました。「大徳仙人よ。あなたはご存じないのですか。この下の世間の北方の地、雪山の麓に、カピラ城という釈迦族の城があります。その城に浄飯という王がいます。その王の第一夫人が一人の童子を生みました。その童子は端正で愛らしく、人々に見られることを喜ばれます。身体は黄金色、頭は円く鼻は真っ直ぐ、足は満ち、腕は長く、まさに金の像のようです。三十二の大人相と八十の好を備え、必ず阿耨多羅三藐三菩提を成就し、無上の清浄な法輪を転じられるでしょう。今この童子は、相好を具え、そのことは疑いありません。この童子は、自らの神力によって、この世、および過去・未来の世、天人・魔・梵天、沙門・婆羅門など、一切の世間を自ら証知し、諸法の相を分別し、乃至、種々の苦しみを略説し、解脱すべき者を解脱させるでしょう。大王よ、私はその時、この言葉を聞いたがゆえに、ここに来て童子を拝観したのです。』その時、浄飯王は仙人に答えました。『もしそうならば、大いに私を憐れみ、大いに私を利益し、もはや憂いはありません。さらに、四つの行を超え、それらを超えて勝れ、最も勝れた法がありましょうか。今この童子は、人として生まれながら、未来において無上の道を得ることができるのです。』阿私陀仙人は再び王に申し上げました。『大王よ、おわかりください。あらゆる婆羅門たちは、至る所で、どのようにして勝れていると証知するのでしょうか。』その時、浄飯王は再び仙人に問いました。『私は今、大仙の前におります。どうかお釈きください。私に聞かせてください。』その時、阿私陀は答えました。『大王よ、私が伝え聞く婆羅門家の四ヴェーダ経典によれば、昔、羖羊という婆羅門がおり、また拔迦利という婆羅門、拔伽婆という婆羅門、末檀地という婆羅門、迦吒囉唎という婆羅門、般適尸棄という婆羅門がいました。彼らは皆、阿修羅王の計算の方法を得て、勝利し、勝れていました。また、阿帝利耶という仙人、鉢囉摩檀那という王、闍那迦という王がいました。これらの人々は皆、身体の苦しみを除く方便を得ていました。大王よ、おわかりください。このように、この童子は、人として生まれながら、人を超え、勝れた人法を得ているのです。大王よ、昔、婆伽羅という王がいました。大海の荒波は山のようで、渡ることが非常に難しく、祖父や父も渡れなかったのを、その王は自らの身体で渡りました。大王よ、このように、人として生まれながら、大きな威徳を持ち、その威徳によって天人を超える者があるのです。』」
「時淨飯王報仙人言:『若如尊師所宣說者,我無有疑,但我愛子,其心狹劣,故生驚恐。』阿私陀仙復語王言:『大王所有心狐疑者,今可諮問,悉為決之。』時淨飯王白言:『大師我實懷疑,如彼往昔,有調浮王、多羅求王、知離婆王、達離波王,諸如是等,不曾得見、不曾得知。我此童子,云何得知得見此事?願說因緣。』時阿私陀復報王言:『大王!我亦知王有是疑惑,不得言無。何以故?大王但聞他所說事,以意消息,籌量取之,用自決疑;凡其前後,所作諸王,未必一向有於證驗。大王!彼等諸王,子及父祖,勝劣不同,是故,大王!不可種姓獨取其勝,不可以家獨取其勝,不可以先生故而勝、後為不如;或有後出而勝先生。大王!譬如天曉之時,先現明相,然後出日。論其明相,未能照明,其日後出,普光大地,破一切闇,無有遺餘。大王!世間如是如是,或時生子勝父勝祖。』
時に、浄飯王(じょうぼんのう)は仙人に答えました。「もし先生のおっしゃる通りなら、私に疑問はありません。しかし、我が子を愛するあまり、その心が狭く、ただ驚き恐れているのです。」
すると、阿私陀(あしだ)仙人はさらに王に言いました。「大王よ、あなたが心に疑いを抱いておられるなら、今すぐお尋ねください。すべてをお答えしましょう。」
そこで、浄飯王は申し上げました。「大師よ、私は実に疑いを持っております。昔、調浮王(ちょうふおう)や多羅求王(たらぐおう)、知離婆王(ちりばおう)、達離波王(だつりはおう)といった王たちがおりましたが、このような者たちは、一度も見たこともなく、知ることもありませんでした。それなのに、この幼い子が、どうしてそのようなことを知り、見ることができましょうか。その因縁をお話しください。」
その時、阿私陀はさらに王に答えました。「大王よ、私もあなたにそのような疑いがあることを知っています。それがないとは言えません。なぜでしょうか?大王は、ただ他人から聞いた話を、自分の心で推し量り、判断して、自らの疑いを晴らそうとされています。しかし、これまでのさまざまな王たちは、必ずしもすべてに確かな証拠があるわけではありません。大王よ、それらの王たちも、その子や父祖も、優れた者も劣った者もあり、同じではないのです。ですから、大王よ、ただ家柄だけをもって優れていると決めつけることはできません。また、家だけをもって優れているとすることもできません。また、先に生まれたからといって優れ、後に生まれたから劣るというものでもありません。時に、後に生まれた者が、先に生まれた者よりも勝ることがあるのです。
大王よ、譬えば、夜明けの時に、まず明るさの兆しが現れ、それから太陽が昇ります。その明るさの兆しは、まだ十分に照らすことはできませんが、後に昇る太陽は、大地を満遍なく照らし、すべての闇を破り、残すところがありません。大王よ、世の中もまた、このようなものです。時に、子が父や祖父よりも優れて生まれることがあるのです。」
「時,淨飯王白仙人言:『大德尊師!善以譬喻證明於事,慰解於我,令得決疑,心大安隱。大仙尊師!善攝受我。』時阿私陀復白王言:『大王!當知,我齒衰邁,餘殘無幾。今此童子,幼稚少年,春秋方盛,長大成就,當向山林出家學道;恨我朽耄,不覿慈顏。』時,淨飯王白仙人言:『大仙尊師!今是童子,決出家耶?』阿私陀仙報於王言:『大王今者不須疑慮。』時淨飯王迴頭顧視看國師面,時阿私陀問於王言:『大王內心欲作何語?』淨飯王言:『大德尊仙!此我國師婆羅門等,曾語我言:「今此童子,必定得作轉輪聖王。」』阿私陀仙復白王言:『大王!如我意者,終不虛妄,我今所語,誠實至真。』時淨飯王聞是語已,復更白言:『大仙尊師!若審然者,乃令我心,更大憂愁,切割我心,肝腸惱沸。』時阿私陀復報王言:『大王智慧,勿作是言。大王往昔高曾祖父,以行福業功德緣故,得度眾生到於彼岸,如是匠導,託作王兒,不但獨為治化人民,令得安樂而為王子。』時淨飯王復白仙言:『大師!我意亦然,思惟如是。今此童子,種我王世,荷負重擔,代我所憂,我至老年,出家入山,當修古道。』
時に浄飯王は仙人に申し上げた。「大徳尊師よ、よく譬えを用いて道理を明らかにし、私の思いを慰め、疑いを晴らしてくださり、心が大いに安らぎました。大仙尊師よ、よく私をお導きくださいました。」 そこで阿私陀は王に告げた。「大王、お聞きください。私は老いて歯も衰え、残りの命もわずかです。この童子は今まさに幼く若く、春のように盛りで、成長すればやがて山林へ出家して修行の道に入るでしょう。私は老いて衰え、その慈しみ深き御姿を拝することもかないません。」
浄飯王は仙人に尋ねた。「大仙尊師よ、この童子は必ず出家するのでしょうか?」 阿私陀仙人は王に答えた。「大王よ、今さらご心配には及びません。」 浄飯王が振り返って国師の顔を見やると、阿私陀は王に問うた。「大王は心の中で、何をおっしゃろうとされているのですか?」 浄飯王は言った。「大徳尊仙よ、わが国の師であるバラモンたちがかつて私にこう言いました。『この童子は必ずや転輪聖王となるでしょう』と。」
阿私陀仙人は再び王に告げた。「大王よ、私の見るところ、決して虚偽はありません。私の今述べたことは、まことに真実そのものです。」 浄飯王はこれを聞いて、さらに申し上げた。「大仙尊師よ、もし確かにそうであるならば、私の心はより一層憂いを深め、心を切り裂かれ、肝も腸も沸き立つように苦しみます。」
そこで阿私陀は再び王に答えた。「大王、賢明でいらっしゃるあなたが、そのようなお言葉を発してはなりません。大王の遠い先祖たちは、福徳の行いを積まれた功徳のゆえに、衆生を救って彼岸へ導き、その導き手として、この王子としてお生まれになったのです。ただ人々を治め、民に安楽をもたらすためだけに王子となられたのではありません。」
浄飯王は再び仙人に申し上げた。「大師よ、私もそのように思います。この童子は、私の王家に生まれ、重い荷を担い、私の憂いを代わり、私が年老いて山林へ出家し、古の道を修行するようになるでしょう。」
「時淨飯王復白仙言:『大師!我意欲令我子常在,云何方便?及今幼年,勿使捨我。』阿私陀仙復白王言:『大王!我實不能專正決定說是方便,令作障礙。』
その時、浄飯王が再び仙人に申し上げました。 「大師よ、私はわが子がいつまでもそばにいてくれるよう願っております。どのような方法があるでしょうか。どうか、幼い今のうちに、私のもとを離れぬようにしていただけないでしょうか。」
阿私陀仙人は王に答えました。 「大王よ、私は実は、確かに彼の旅立ちを妨げるような方法を、はっきりとお示しすることはできません。」
「時淨飯王復語仙人,作如是言:『大師善聽!我今當作種種方便,設方便已,不令我子,從今幼稚,及到盛年,不聽暫離,捨我出家。』阿私陀仙即問王言:『大王今者因何事故,說如是語?』時淨飯王報彼仙人阿私陀言:『尊師當知!如我國內,所有相師婆羅門等,皆語我言:「若是童子,在家當作轉輪聖王。」以是因緣,我如是語。』阿私陀仙復白王言:『大王!當知,彼等相師,皆大妄語。何以故?如是勝相,非是轉輪聖王之相。今此童子,有百善相,八十隨形,挺特殊好,分明炳著,皆悉具足。』時淨飯王問仙人言:『大師何等是此童子八十隨形之好?』時阿私陀具白王言:
「時に浄飯王は、再び仙人に向かってこう仰いました。『大師よ、よくお聴きください。私は今、様々な方法を講じます。その方法を講じたならば、わが子が幼い頃から青年に至るまで、一時たりとも私のもとを離れ、出家して修行に出ることはさせません。』
これを聞いて阿私陀仙人は王に問いました。『大王よ、どのような理由でそのようなお言葉を発せられるのですか?』
浄飯王は阿私陀仙人に答えて申しました。『尊師よ、ご存知の通り、わが国にいる全ての占い師やバラモンたちは、私にこう言うのです。「この王子が在家であれば、転輪聖王となるでしょう。」そのような因縁により、私はそう申したのです。』
阿私陀仙人は再び王に申し上げました。『大王よ、知ってください。彼ら占い師たちは、大きな誤った話をしているのです。なぜなら、このような勝れた相は、転輪聖王の相ではないからです。この王子は、百の善き相と八十の随形好を備え、際立って特別に優れ、はっきりと明らかに、全てを具えています。』
そこで浄飯王が仙人に尋ねました。『大師よ、この王子の八十の随形好とは、どのようなものなのでしょうか?』
その時、阿私陀は詳しく王に説明しました。」
「『大王當知,今此童子兩手掌內有金剛文。
「大王、ご承知ください。この童児の両掌には金剛の相があります。」
「『大王!今是童子諸指爪甲薄而且軟。
「大王様、この御子様の指の爪は薄く、そして柔らかでございます。」
「『大王!今是童子諸指爪甲其色赤紅猶如銅鍱。
大王よ、この童子の指の爪は、その色が赤く、まるで銅板のようでございます。
「『大王!今是童子諸指爪甲悉皆潤澤。
「大王、この童は、すべての指の爪がみな潤っているのです。
「『大王!今是童子諸指妙色。
大王、この童子の指は、実に見事な色合いをしております。
「『大王!今是童子諸指皆𦟛。
「大王様、この童子の指は、みなふっくらとしています。」
「『大王!今是童子踝骨不現。
「大王よ、今この童子の踝の骨は現れておりません。」
「『大王!今是童子兩膝團圓有大光液。
大王、この童子の両膝はまるくふくらみ、大きな光のしずくがございます。
「『大王!今是童子進止雍容安詳徐步。
「大王、この童子の歩みは、実にゆったりと落ち着き、しとやかで、安らかなものです。」
「『大王!是童子行如師子王。
「大王、この童子の振る舞いは、獅子王のようです。」
「『大王!是童子行猶如牛王。
「大王様、この童子の歩き方はあたかも牛王のようです。」
「『大王!是童子行猶如鵝王。
「大王よ、この童子の歩みは、まるでガンの王のようです。」
「『大王!是童子行安詳徐步猶如耳璫。
大王よ、この童子の歩みは実に優雅で、ゆったりと進むさまは、あたかも耳飾りの揺れるかのようです。
「『大王!是童子行安庠如住。
「大王よ、この童子は、安らかで落ち着いた振る舞いをしています。まるで(修行の境地に)安住しているかのようです。」
「『大王!是童子身形體挺直。
大王、この童子は、その姿かたちがすっきりとして、たくましくあります。
「『大王!是童子身形體柔軟。
大王よ、この童の身体はとても柔らかであります。
「『大王!是童子身形體滑澤。
大王、この童子のからだはなめらかで美しい。
「『大王!是童子身膚體上充。
「大王、この童子は、からだの皮膚や肉がしっかりと満ちております。」
「『大王!是童子身出妙熏香。
「大王よ、この若者の身からは、すばらしい香りが漂っております。」
「『大王!是童子身膚體無上。
大王、この童子のからだはこの上なく美しい。
「『大王!是童子身膚體整肅。
大王、この童は身体がたいへん均整がとれております。
「『大王!是童子身支節分解,各自分明。
「大王、この幼い者の体の節々は、それぞれがはっきりと分かれています。」
「『大王!是童子身膚體顯現如大梵王。
大王よ、この童は身体に大梵王のような姿を現しています。
「『大王!是童子身膚體無戾。
大王、この童子のからだは、どこもかたくなではなく、なめらかであります。
「『大王!是童子身膚體清淨無有黑䵟(古汗切)。
「大王、この童は身体の肌が清らかで、一点の黒いほくろもありません。
「『大王!是童子身無有諸病。
「大王、この童子は病がまったくありません。」
「『大王!是童子身圓滿正等。
「大王様、この童女のからだは、見事に整い、満ち足りております。」
「『大王!是童子身七處齊滿。
「大王、この童子の身体は、七つの場所が均整よく整っております。」
「『大王!是童子身具足諸好。
「大王、この童子は、見事なほどのあらゆる美しい姿を備えております。」
「『大王!是童子身遍體端正。
大王、この童子の身体は、全身が端正であります。
「『大王!是童子身行處淳淨。
大王、この童子の身の振る舞いは、純粋で清らかでございます。
「『大王!是童子身最勝無垢諸毛清淨。
「大王!この童身(子ども)は最も優れ、汚れがなく、その毛の一本一本が清らかです。」
「『大王!是童子身無有垢障能出淨光。
「大王、この童子の体には汚れも障りもなく、清らかな光を放つことができます。
「『大王!是童子身常光一尋。
「大王、この童子の体は、常に一尋の光を放っております。」
「『大王!是童子腰猶如弓弝(百雅切)。
「大王、この童子の腰は弓の端のように彎曲しております(百雅切)。」
「『大王!是童子腹無有破壞(謂其皮不皺欇等)。
「大王様、この童子の腹は破れておりません。 (つまり、その皮膚にしわやたるみがないということです。)
「『大王!是童子䐡深隱妙好。
「大王よ、この少年のへそは深く美しく隠れています。」
「『大王!是童子䐡團圓不散。
「大王よ、この幼子の臍の緒はしっかりとつながっており、ほどけておりません。」
「『大王!是童子䐡猶如車輪。
大王、この童子の臍は、まるで車輪のようでございます。
「『大王!是童子䐡分明右旋。
大王よ、この童子のへそは明らかに右に巻いております。
「『大王!是童子手不麁不澁。
大王よ、この童子の手は、荒くもなく、滑らかでもありません。
「『大王!是童子手如兜羅綿。
大王、この童子の手は、綿のように柔らかいのです。
「『大王!是童子手掌心之中文理畫深。
「大王様、この童子の掌には、深く刻まれた模様が描かれております。
「『大王!是童子手文理冊畫柔軟光澤。
大王、この童子の手は、手のひらの線がはっきりとしていて、皮膚は柔らかく滑らかで、美しい輝きを放っています。
「『大王!是童子手文不破散。
大王、この童子の手の紋様は破れることなく、はっきりと現れています。
「『大王!是童子手所有冊文分明次第。
「大王よ、この童子の手にある書物には、順を追って明確に記されております。」
「『大王!是童子手兩腕闊大。
「大王、この童子の両腕は広く大きいのです。」
「『大王!是童子頭猶如踝骨。
「大王様、この童児の頭は、まるでくるぶしの骨のようです。
「『大王!是童子口脣色猶如頻婆羅果。
大王、この童子の唇の色は、まるで頻婆羅果(びんばらか)のように美しいのです。
「『大王!是童子面顏貌寂靜。
「大王様、この童子の御顔はとても落ち着いて、静かな様子でございます。」
「『大王!是童子舌薄而且長如赤銅色。
大王、この童子の舌は薄くそして長く、赤銅の色をしている。
「『大王!是童子聲深而清亮。
「大王よ、この童の声は深く澄んで遙かに響きます。」
佛本行集經卷第九
『仏本行集経』 巻第九