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仏本行集経 (佛本行集經)


佛本行集經卷第十

『仏本行集経』 巻第十

隋天竺三藏闍那崛多譯

隋の天竺三蔵僧侶、闍那崛多訳

相師占看品下

相師占看品 下

「『大王!是童子音言語哀美清揚遠震。

「大王、この童の声は美しく、哀れを帯びて清らかに響き、遠くまで震え渡ります。」

「『大王!是童子口四牙廣大。

大王、この童子の口には、四本の大きな牙が生えています。

「『大王!是童子牙悉皆鋒利。

大王、この童の歯はみな鋭くそろっております。

「『大王!是童子牙不缺不破。

「大王、この童子の歯は欠けたり破れたりしておりません。」

「『大王!是童子鼻,端立圓直如鸚鵡鳥。

「大王よ、その童子の鼻は、まっすぐで円く、ちょうど鸚鵡のくちばしのようです。」

「『大王!是童子眉齊平而密。

「大王、この童子の眉は、ひとしいように生えそろい、きめ細かでございます。」

「『大王!是童子耳穿環垂埵。

「大王、この童子は耳に環を垂らしている。

「『大王!是童子耳不乖不戾。

「大王様、この若者は従順で反抗的なところがありません。

「『大王!是童子耳不麤不澁。

『大王よ、この童子の耳は、粗くもなく、ざらついてもおりません。

「『大王!是童子眼無有缺減。

「大王よ、この童の目は、少しも欠けるところがありません。」

「『大王!是童子眼無有傷損。

「大王よ、この童子の目には何の傷も欠損もございません。」

「『大王!是童子身諸根寂定。

「大王、この童子(どうじ)の身体は、感覚が静かに整っています。」

「『大王!是童子面額最勝上。

大王よ、この童子の顔は最もすぐれた顔立ちである。

「『大王!是童子髮純紺青色。

「大王様、この童子の髪の毛は、純粋な紺色で美しい青色をしています。」

「『大王!是童子頭髮色潤澤。

「大王よ、この童子の髪の毛は、色つやがよく潤っています。」

「『大王!是童子髮不麤不澁。

「大王よ、この童子の髪は、粗くもなく、ざらつきもありません。」

「『大王!是童子髮不稠而厚。

「大王様、この童子の髪は、薄すぎず、しかも豊かであります。」

「『大王!是童子髮齊而細密。

「大王、この童の髪は、きちんと揃い、細やかでございます。」

「『大王!是童子髮不缺不破。

「大王、この童子の髪の毛は、欠けもせず、切れてもおりません。

「『大王!是童子髮拳卷而旋。

王よ、この童子の髪は、くるりと巻いている。

「『大王!是童子髮圓而右旋狀如万字。

大王、この童子の髪は丸くて右巻きであり、その形は「卍(まんじ)」のようです。

「『大王!是童子頭其上肉髻猶如山頂。

大王よ、この童子の頭の上には、山頂のような肉の盛り上がりがあります。

「『大王!是童子頭顱顙堅䩕。

「大王よ、この童の頭蓋骨は非常に固いのです。

「『大王!是童子頂若人非人不可破壞。

「大王よ、この童子の頭頂は、いかなる人間であれ人間以外の者であれ、壊すことはできません。」

「『大王!是童子頂巍巍甚高無人能見(本闕三好)。

「大王よ、この童子の頂は非常に高く、誰もそれを見ることができません。

「『大王!若有一人,身體具足三十二大丈夫之相,復有如是八十種好,彼人一向決定得成阿耨多羅三藐三菩提,得菩提已,轉於無上最妙法輪。』

「大王よ、もしある人が、身体に三十二の大丈夫の相を備え、さらにこのような八十種の好も具えているならば、その人は間違いなく無上正等覚を成就し、悟りを得た後には、この上なく素晴らしい法の輪を回すことになるのです。」

「爾時,尊者阿私陀仙為王說已,作是思惟:『今此童子,幾時出家,得成佛道,轉於最上勝妙法輪?』彼作如是思惟之時,自心生智,即能知見,從今已去三十五年,此之童子,必得成於阿耨多羅三藐三菩提,轉於無上最勝法輪。時彼仙人,因此繫念思惟之時,復自見己諸根純熟,覆自呵責,如是歎言:『嗚呼嗚呼!我今在於如是童子法教之外,不值此時。』如是觀已,悲號啼哭,歔欷哽咽,淚流滿面。時,淨飯王見阿私陀仙人如是啼哭懊惱,不能自勝,王亦悲哀,失聲而哭;摩耶夫人既見是已,亦復流淚,鯁塞嗚咽。彼諸釋種大臣眷屬,皆各號咷,失聲叫吼;宮內大小,亦悉悲啼,流涕如雨。時,淨飯王涕淚交橫潸然滿面,白阿私陀大仙人言:『大德尊師!此之童子初欲生時,即有五百釋種童子同日而生,略說乃至五百童女同日而生,五百奴僕、五百婢媵、五百馬駒,五百白象皆悉六牙,一時同日,集宮門外。五百伏藏,自然湧出;五百園林,在迦毘羅城之四面,自然而現;五百商主,從諸方來迦毘羅城,五百傘蓋、五百金瓶,外方諸王,隣境珠珍,悉來送我,復跪拜我。復有一萬天諸童女,並在長者及婆羅門剎利家生。大仙尊師!童子生日,我一切利,皆悉得成,我心願者,皆滿具足。我喚國內諸善解相婆羅門等明吉凶者,悉皆召集。彼等見此童子形容,皆大歡喜,踊躍充遍,不能自勝。唯獨尊師,今見童子,何故悲啼?何故流淚?而令我等眷屬狐疑。大師!為我辯說此由,為我童子,有於災禍不祥事乎?為自身祟?為從外來?』

その時、尊者アスィタ仙は王にそう告げた後、こう思案した。「この童子は、いつの日か出家し、仏道を成就して、この上なく勝れた妙なる法輪を転ずるのであろうか?」 そのように思いを巡らせていると、自らの心に智慧が生じ、すぐに知り得た。すなわち、今より三十五年後、この童子は必ずや無上正等覚(アヌッタラ・サンマー・サンボーディ)を成就し、無上にして最も勝れた法輪を転ずるであろう、と。

その時、仙人はこのことに心を留めて考えた際、自らの諸根がすでに熟して衰えているのを自覚し、自らを責めて、次のように嘆いた。「ああ、ああ! 私は今、このような童子の教えの外におり、その時(教えを聞く機会)に遇うことができない。」 このように観じて、彼は声を上げて泣き、すすり泣き、嗚咽し、涙が顔中に流れた。

その時、浄飯王はアスィタ仙人がこのように泣き悲しみ、自分を抑えられないのを見て、王もまた悲しみのあまり声をあげて泣いた。摩耶夫人もそれを見て、涙を流し、喉を詰まらせて嗚咽した。彼らの釈迦族の臣下や親族たちも皆、大声で叫び泣き、宮中にいる老若男女も皆、悲しみの涙を雨のように流した。

その時、浄飯王は涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら、アスィタ大仙人に申し上げた。「大徳の尊師よ! この童子が生まれようとした時、まず五百人の釈迦族の童子が同じ日に生まれました。同様に、五百人の童女、五百人の奴婢、五百人の侍女、五百頭の子馬、そして五百頭の白象が皆、六牙を備えて、同じ日に宮殿の門外に集まりました。五百の埋蔵物が自然に湧き出で、五百の林園がカピラヴァストゥの四方に自然に現れました。五百人の商団の長が諸方からカピラヴァストゥに至り、五百の天蓋と五百の金瓶を、隣国の諸王たちが珍宝と共に私のもとに送り、私に跪拝しました。また、一万の天の童女たちが、長者やバラモン、クシャトリヤの家に生まれました。大仙尊師よ! 童子が生まれた日、私の一切の利得は全て成就し、私の願いは全て満たされました。私は国内の相術に秀でたバラモンたち、吉凶を明らかにする者たちを皆呼び集めました。彼らはこの童子の姿を見て、皆大いに喜び、踊り上がらんばかりで、自分を抑えきれませんでした。ただ尊師だけが、童子をご覧になって、どうして悲しみ泣かれるのですか? どうして涙を流されるのですか? それによって、私たち一族は困惑しております。大師よ! その理由を私どもに説き明かしてください。我が童子に、災いや不吉な出来事があるのでしょうか? それとも、御自身の障りでしょうか? 外から来るものでしょうか?」

「時阿私陀見淨飯王,涕淚交瞼愁憂悵怏,而白王言:『大王今者莫愁莫憂。所以者何?我今非是見於童子有災有變,亦不見有諸餘苦惱,不見身內及外不祥。大王!當知,今此童子長壽巍巍,有大威德,端正可喜,黃白金容,頂如傘蓋,鼻若截筒,身體洪滿,支節自稱,猶如金像。身有三十二丈夫相,大王!此之童子兼有八十微妙種好,大王!如是諸相,非是轉輪聖王之種。大王!如是相者,皆是諸佛菩薩之相。大王!是故我見童子,決定得成阿耨多羅三藐三菩提,轉於無上清淨法輪,為彼諸天世間人等說法,安樂一切眾生。而彼法寶,初中後善,乃至說於清淨梵行,若於是邊聽受法已,應生眾生即斷生法,應老眾生即斷老法,應病斷病,應死斷死,憂悲苦惱一切眾生,皆蒙解脫。大王!我今自恨,年耆根熟,衰朽老邁,當於爾時,不得覩見,失此大利,是故我今悲惋自傷;非彼不吉。』即為大王而說偈言:

舎衛国の王である浄飯王にお会いした阿私陀は、涙を流し、顔は憂いと悲しみに沈み、王にこう申し上げました。

「大王よ、どうかお嘆きくださいませぬよう。なぜなら、私はこの御子に何か災いや変事があるのを見たわけではなく、また何か苦しみや悩みが身に迫るのを認めたわけでもありません。身体の内にも外にも不吉な兆しはございません。

大王よ、よくお聞きください。この御子は長寿で崇高な威徳を備えており、その姿は端正で愛らしく、黄金のような肌をしておられます。頭頂は傘の蓋のようで、鼻は筒を切り詰めたように整い、身体はたくましく均整がとれ、あたかも黄金の像のように見えます。この御子の身には三十二の大人の相が備わっております。

大王よ、この御子にはさらに八十の微妙な好相もそなわっております。大王よ、これらの相は、決して転輪聖王の種姓によるものではありません。大王よ、これらの相はすべて、諸仏・菩薩の相にほかなりません。

そこで大王よ、私はこの御子が必ずや阿耨多羅三藐三菩提(最高の悟り)を成就し、無上の清らかな法の輪を転じ、天や世の中のすべての人々のために説法し、一切の衆生を安楽に導くと確信しております。その教えは初めも中も終わりも善く、清らかな行いについて説き、それを聞く者は生まれるべき者が生を断ち、老いるべき者が老いを断ち、病むべき者が病を断ち、死ぬべき者が死を断ち、憂い悲しみ苦しみ悩む一切の衆生が、みな解脱を得るのです。

大王よ、私はただ自らのことを嘆いております。年老いて根が衰え、朽ちて老いさらばえた身であるため、その時に立ち会ってこの大利を目にすることができず、その徳を失うことになるからです。これは決して不吉なことではございません。」

こうして阿私陀は王に偈を捧げました。

「『自恨我有大顛倒, 不值此當得道時,
空過一生無所聞, 豈非是我失大利。
我今年老根純熟, 死時將至不復奢,
念此生分得遭逢, 所以一喜一憂懼。
大王釋種方興盛, 誕此童子福德人,
一切諸苦逼世間, 此悉能令得安樂。』

「ああ、私は大きな間違いを犯していた。 この悟りを得るべき時に出会いながら、 むなしく一生を過ごし、何も聞き及ばなかった。 これこそ、大きな利益を失ったのではないか。

私はもう年老い、根機は鈍り、 死の時が迫り、もはや望みはない。 しかし、この身で尊い縁に巡り合えたことを思うと、 喜びと恐れが胸に涌く。

大王の一族(釈迦族)は今、栄えている。 このお子は多くの福徳を備えた方である。 あらゆる苦しみに悩むこの世を、 すべて安楽へと導いてくださるであろう。」

「『大王!無量無邊諸眾生等,為貪恚癡諸火惱時,此當能滅,能與微妙甘露法水;無量無邊諸惡眾生,已入邪見曠野澤中,不見正道迷惑之時,此當能與淳直涅槃平坦好道;無量無邊諸苦眾生,閉在煩惱牢獄之中,此當能解一切業縛;無量無邊愚暝眾生,長夜昏闇覆翳重盲,此當為生大智慧眼;無量無邊染著眾生,以被煩惱毒箭所射,此當拔濟令免其苦。我今年垂,身心退敗,慨恨彼時不見此法,是以啼泣。大王!如優曇花,無量無邊億千萬年,時一出現;諸佛如是,無量無邊千萬億劫,出世甚難。大王!今此童子,決定得成阿耨多羅三藐三菩提,決定轉於無上法輪。我自傷過不值此時,今當背彼,是故悲泣。大王!彼等眾生,大得財利,大得福業,若能見此大聖童子在彼地方菩提樹下,坐降四魔,能得覩者,彼等眾生,大得善利,大得度脫。大王!若能見此大聖童子得菩提已,漸漸至於波羅㮈國,當轉無上最妙法輪,一切眾生,大獲勝果。大王!此之童子,莊嚴清淨是閻浮提,諸聖沙門,皆悉教令得阿羅漢,作其弟子。是故我啼。大王!彼等眾生,善得人身,善來此世,大得財利,大種福業。又復得見童子,至於三十三天諸天圍遶,乘七寶梯,而下彼處,無量無邊眾生,禮拜大王,王今亦善得此人身,大得財利及以法利。若王當見自子得道,於天人中說是妙法,獲證無疑。』

「大王、この世の無数の諸々の衆生が、貪り・怒り・無知という煩悩の火に苦しめられている時、この方はその火を消し止め、微妙な甘露の法水を与えてくださるでしょう。無数の悪しき衆生が、誤った見解という荒野に迷い込み、正しい道を見失って惑っている時、この方は純直な涅槃への平坦な良い道を示してくださるでしょう。無数の苦しむ衆生が、煩悩という牢獄に閉じ込められている時、この方はすべての業の束縛を解いてくださるでしょう。無数の暗愚な衆生が、長い夜のように昏く覆われ、重い盲目にある時、この方は大きな智慧の眼を開かせてくださるでしょう。無数の執着する衆生が、煩悩の毒矢を射られた時、この方はその苦しみから救い出してくださるでしょう。私は今や年老い、身心共に衰えてしまいました。あの時、この法に出会えなかったことを深く悔やみ、嘆き悲しんでいるのです。大王、例えば優曇華(うどんげ)が無数億千万年の時を経てようやく一度現れるように、諸仏もまた無数千万億劫の長き時を経ても出現することは極めて難しいのです。大王、今この童子は、必ず無上正等覚(アノッターラ・サンミャク・サンボーディ)を成就し、必ず無上の法輪を転じるでしょう。私は自らの過ちで、その時に巡り会えなかったことを嘆き、今この方と別れることになり、それゆえに悲しみ泣いているのです。大王、あの衆生たちは、大きな財産と大きな福徳を得るでしょう。もしこの大聖なる童子がかの地の菩提樹の下に坐し、四魔を降伏する様子を目にすることができれば、その衆生たちは大きな善利を得、大きな解脱を得るでしょう。大王、もしこの大聖なる童子が悟りを得られた後、徐々に波羅奈国に至り、無上にして最も妙なる法輪を転じられるのを見ることができれば、一切の衆生は大きな勝れた果報を得るでしょう。大王、この童子は閻浮提(ジェンブ洲)を清らかに荘厳し、諸々の聖なる沙門をすべて教え導き、阿羅漢と成らせ、その弟子とするのです。それゆえに私は泣いているのです。大王、あの衆生たちは、よく人として生まれ、よくこの世に来たものであり、大きな財産を得、大きな福徳を積むでしょう。また、この童子が三十三天の諸天に囲まれ、七宝の梯子に乗ってあの場所に降り立たれるのを見るでしょう。無数の衆生が王を礼拝するでしょう。大王、あなたもまたよくこの人身を得、大きな財産と法の利益を得られました。もし王が自らの子が悟りを得られ、天人のうちでこの妙法を説き、証を得られるのをご覧になれば、疑いなく深く納得されることでしょう。」

佛本行集經私陀問瑞品第九

私陀の問いと瑞相の章 第9

「時,淨飯王從彼仙人阿私陀邊聞此語已,生大歡喜,即從座起,整理衣服,右膝著地,合十指掌,向於仙人,歡喜倍常,得未曾有。遍身毛竪,頂禮其足,却住一面,將二十具上妙衣裳,布施仙人。時阿私陀,於所施衣二十具中,唯受一具稱己用者而為受之,受一具已,自餘諸衣,還持迴施於淨飯王,而作是言:『大王!當知,我出家人,婆羅門種,無多威德,少欲無求,應須知足。大王!國主賜賚處寬,財物有限,當任意用,自他已然。大王!童子在於母胎,希有之事,理應無邊。生育已前,所有瑞相,唯願大王為我盡說。我得聞已,是大布施,令我歡喜,踊躍充遍,不能自勝,此則是我大得財寶。』時,淨飯王白仙人言:『聖師諦聽!專心諦受,我為聖師次第而說,童子在胎希奇之事、未曾有法,及童子生所有異相,我悉說之。大仙尊師!我念一時童子之母,在於樓上臥妙床敷,睡眠之中,安庠覺起,而語我言:「大王聽我夢所見事,今向王說。我於昨夜,夢見有一白象六牙,身鮮頭赤,七支拄地,形體端嚴然其六牙,皆是金裝,飛行虛空,從北方來,入我右脇。入已我身即受快樂,快樂希有,於世間中無物可喻,耳不曾聞,又快樂來,於世間事我心不樂,亦不更願共於大王一處受樂,一切五欲皆悉願捨。」

その時、浄飯王は仙人アシタの言葉を聞いて大いに喜び、直ちに座を立ち、衣服を整え、右膝を地につけ、合掌して仙人に向かい、いつもにも増して歓喜し、未曾有の体験をした。全身の毛が逆立ち、その足に額づき、しばらく傍らに控えて、二十領の上等な衣服を仙人に布施した。するとアシタは、施された二十領の衣服のうち、自分の身に合う一領だけを受け取り、残りの衣服は浄飯王に返して、こう言った。「大王よ、お知らせします。私は出家者であり、バラモンの生まれです。大きな威徳はなく、欲は少なく求めず、足ることを知るべきです。大王は国の主として余裕をもって与えられますが、財物には限りがあります。どうかお心のままにお使いください。それは我が身も同じこと。大王よ、あの王子が母胎に宿ったこと自体、稀有な出来事であり、その瑞兆は計り知れません。お産の前に現れたすべての吉兆を、どうか私のために詳しくお話しください。それを聞くことが、私にとっての大きな布施となります。それを聞けば、私は喜び勇み、体中に満ち溢れ、自分を抑えきれなくなるでしょう。これこそが私にとっての大いなる財宝なのです。」

そこで浄飯王は仙人に申し上げた。「聖師よ、よくお聞きください。心を集中してお受け取りください。私が聖師のために順を追ってお話しいたします。王子が胎内にいた時の稀有な出来事、未曾有の現象、そして王子が生まれた時のすべての異相を、余すところなくお話しいたしましょう。大仙よ、尊師よ、私はかつて次のように聞きました。ある時、王子の母后が高楼の美しい寝床に横たわり、眠りの中から静かに目覚めて、私にこう言ったのです。『大王、私の夢で見たことをお聞きください。今、王に申し上げます。昨夜、私は六本の牙を持つ白い象を夢に見ました。体は白く、頭は赤く、七つの肢が地を支え、姿形は端正で厳かでした。その六本の牙はすべて金で飾られ、虚空を飛び、北の方から来て、私の右脇腹に入りました。入った後、私はすぐに至福を感じました。その至福は稀有で、世の中のどんなものにも例えられず、耳にしたこともありません。そしてその至福が訪れてからは、世の中のことに心が向かず、大王と共に楽しむことさえ望まず、すべての五欲を捨てたいと思うようになりました。』」

「『大仙尊師!我於彼時,即廣召喚諸婆羅門有能占相,善諳先典,依經據書,而教變出,即語之言:「我大夫人!夜所夢見,事相如前,果報云何?為我解說。」是時一切諸婆羅門,即依先書諸聖所說,占此夢相,而白我言:「大王!今可特意歡喜,是夢大善,大有吉祥。此大夫人,必生童子,於世間中,大得名聞,天下最尊,無有雙正。」時我聞是諸婆羅門如是語已,設大美食,持好財寶,布施彼等,而發遣之。我於彼時,在此城內,所有街陌,四衢道頭,或復坊巷,隨有處立大無遮會,所有財寶,皆悉布施,須食與食,乃至資生五行調度,皆令滿足,願此功德,迴施童子,莊嚴其身。

「大仙、尊師よ。その時、私はすぐに多くのバラモンを招集しました。彼らは占いや祖先の教典に精通しており、経典に基づいて吉兆を解釈することができました。私は彼らにこう言いました。『私の大后が昨夜見た夢の様相は先に述べた通りです。その果報はどのようなものか、私に説明してください。』すると、すべてのバラモンたちは、先人たちの聖典に従ってこの夢の相を占い、私にこう述べました。『大王よ、どうか特に心から喜んでください。この夢は大変吉で、大いなる吉祥をもたらします。この后は必ず男児を産み、世の中で大いに名声を得、天下で最も尊ばれ、比類なき者となるでしょう。』その時、私はこのバラモンたちの言葉を聞いて、盛大な美食を設け、良き財宝を取り出して彼らに施し、送り出しました。私はその時、この城内のすべての街路、四辻の道端、あるいは路地や町並みに至るまで、随所に大無遮会(だいむしゃえ)を設け、あらゆる財宝をことごとく布施しました。食べ物を求める者には食べ物を与え、生活に必要な五行の調度品に至るまで、すべて満たしました。この功徳をかの童子に回向し、彼の身を荘厳せんことを願いました。」

「『復次大師!童子在胎,有四天王來至我家,在於四方,各嚴守護童子之母。

また、大師よ。幼子が胎内にいた時、四人の天王が私の家に来られ、四方にそれぞれ立ち、幼子の母をしっかりとお守りになりました。

「『復次大師!童子在胎,童子之母受大快樂,身體敷愉,無疲無惓。

さらに、大師よ。童子が母の胎内にいる間、その母親はこの上ない喜びを受け、身体は柔らかく快く、疲れもだるさもありませんでした。

「『復次大師!童子在胎,母常持戒,諸根調伏,無有瞋恨。

さらに、大師よ。太子がお腹の中にいるとき、母は常に戒律を守り、感覚は穏やかに整えられ、怒りや恨みの心はまったくありませんでした。

「『復次大師!童子在胎,童子之母,無有欲心,亦不曾為欲心所惱,身口唯行清淨梵行。

また、大師よ。童子が胎内におわすとき、童子の母には欲心がなく、欲心に悩まされることもなく、身も口も清らかな梵行のみを実践しました。

「『復次大師!童子在胎,童子之母,不患寒熱,不苦飢渴。

さらに、大師よ。童子が胎内にいる間、その母親は寒さや暑さに悩まされることなく、飢えや渇きに苦しむこともありません。

「『復次大師!童子在胎,其母庶幾所有錢財珍奇寶物人所須者,恣意與之,心生歡喜,不生慳悋。

また、大師よ。童子が胎内にいるとき、その母は持っている財産や珍しい宝、人が必要とするものを望むままに人に与え、心に喜びを生じ、けちけちした心を起こしません。

「『復次大師!童子在胎,其母恒行慈悲,憐愍於一切命。

また、大師よ。童子が胎内にいる間、その母は常に慈悲の心をもって、すべての命あるものをいつくしみ、あわれみました。

「『復次大師!童子在胎,童子之母,端正可喜,世無有雙,先時光澤,倍更增進轉勝於前。

さらに、大師よ。童子が胎内にいるとき、その母親はたいへん美しく、世に並ぶものがないほどでありました。以前にも増して肌の輝きはさらに増し、以前よりはるかにすぐれたものとなりました。

「『復次大師!童子在胎,其母欲觀童子之時,即見童子在於胎內,身體洪滿,諸根完具,可喜端正,猶如淨鏡見其面像。母見此已,生大歡喜,踊躍遍身,不能自勝。

さらに、大師よ、菩薩が母の胎内におられたとき、その母が菩薩を観ようと思えば、胎内の菩薩の姿がはっきりと見えました。その体は大きく満ちており、すべての感覚器官が完全に備わり、愛らしく端正でした。まるで清らかな鏡に自分の顔が映るようにです。母はこれを見て大いなる喜びを生じ、全身に喜びが満ちあふれ、どうしようもなくなりました。

「『復次大師!童子在胎,諸有病人,來欲到於童子母所。其童子母,以手摩觸,或以草葉,或持樹葉,送於彼邊。彼等眾生,皆得安樂,身體無患,無諸苦惱。大師!童子在胎,有如是等無量種種希奇之事未曾有法。

「さらに大師よ、童子在胎のとき、多くの病人たちが、童子の母のもとにやって来ようとしました。その童子の母は、手で触れたり、あるいは草の葉や木の葉を使って、それを彼らのもとに届けました。それらの人々はみな、安らぎを得て、体に患いがなく、様々な苦しみもありませんでした。大師よ、童子在胎のときには、このような数え尽くせないさまざまな希有な出来事、かつてなかった法がありました。

「『復次大師!時童子母摩耶夫人父善覺釋,遣使語我:「大王知時,我女懷孕,此勝眾生,威德甚大,若彼出已,我女不久,必取命終。我意今者欲喚自女來向我園嵐毘尼中,共我相娛受於快樂,亦望是處得保吉祥。唯願大王!善好發遣。」我聞彼使如是語已,即時宣告嚴駕發遣摩耶夫人,乃至從此迦毘羅城,到彼天臂兩城中間,耘除一切荊棘砂礫、種種糞穢,皆令清淨。香湯灑地,持諸妙花而散其上。飾童子母,以諸妙香諸種花鬘莊嚴其身,作諸音樂,持王勢力,持王威神,及其宮內,一切婇女,前後圍遶,乘大白象,歸向善覺天臂城中。其童子母摩耶夫人,遙見迎來,即持種種無量無邊莊嚴之具,相隨共入嵐毘尼園,逍遙娛樂。時童子母摩耶夫人,從白象下,宮內婇女,左右圍遶,前後侍衛,安庠進入嵐毘尼園,觀視林樹。從此樹下,如是次第,到波羅叉樹下之時,伸舉右手,攀彼樹枝,安庠而息。是時童子,見於其母摩耶夫人手攀枝已,從彼胎中,一心正念,安庠徐起,從右脇出;其母右脇,亦無疼痛,亦無患難,不劈不裂。是時童子,右脇生時,身放大光,照曜世間。大師!是名童子在母胎內初生之時,有如是等希奇之事未曾有法。

さらに、大師よ!当時、童子の母である摩耶夫人の父、善覚という釈迦族の者が、使いを私のもとに送ってこう言いました。「大王よ、今こそお分かりいただきましょう。私の娘が身ごもっております。この勝れた衆生は、その威徳が非常に大きく、もし生まれ出たならば、程なくして私の娘は命を終えるでしょう。私は今、娘を我が庭園、嵐毘尼園に招き、共に楽しみ、喜びを分かち合い、その場所で吉祥を願いたいのです。どうか大王よ、よく整えてお送りください。」私はこの使いの言葉を聞くや、ただちに摩耶夫人の出発を厳かに整えさせました。そして、このカピラ城から天臂城との間にある道のりを整え、あらゆる茨や砂利、大小の塵芥を取り除き、すべてを清らかにさせました。香り高い水を地にまき、様々な美しい花を散らしました。童子の母を飾り、様々な妙なる香りや花鬘でその身を荘厳し、音楽を奏でさせ、王の勢力と威力を示しながら、宮中のすべての女官たちに前後を囲ませ、大きな白象に乗せて、善覚の天臂城へと向かいました。童子の母である摩耶夫人は、遠くから迎えられ、無量無辺の荘厳の具を持って、共に嵐毘尼園に入り、ゆったりと楽しみました。その時、摩耶夫人は白象から下り、宮中の女官たちに左右を囲まれ、前後を守られながら、安らかに嵐毘尼園に入り、林の木々を眺め渡しました。そして、そのようにして次第に波羅叉樹の下に至った時、右手を伸ばしてその枝を掴み、安らかに休息されました。その時、童子は母である摩耶夫人が枝を手に取るのを見て、その胎内から心を一つに正念し、安らかにゆっくりと立ち上がり、右脇から現れ出ました。母の右脇には痛みも苦しみもなく、裂けることも破れることもありませんでした。童子が右脇から生まれた時、その身からは大いなる光が放たれ、世の中を照らし出しました。大師よ、これが童子在胎の母において初めて生まれ出る時、このような希有で未曾有の出来事があったのです。

「『復次大師!童子在胎,不憂不愁,從其胎內,安庠徐起,身體鮮淨,不為種種涕唾痰癊、屎尿淤血之所穢污。

さらに、大師よ。童子は胎内におるときも、憂えず悲しまず、その胎内から安らかにゆっくりと起き上がります。その身体は清らかで、様々な鼻水や痰、唾、屎尿、うっ血などによって汚されることはありません。

「『復次大師!童子初從胎內出時,一切諸天,以迦尸迦,纏裹其身,懷抱執持,將向母前,而語母言:「大德夫人!今應歡喜,夫人今日,生於聖子,天人中尊。」

「また、大師よ。童子がはじめて母の胎内から出てこられた時、すべての天人がガシカの衣でそのお体を包み、大切に抱きかかえて母のもとへ連れて行き、こう申し上げました。『尊い御夫人よ。今こそ喜びなさい。あなたは今日、聖なる御子、天と人の間で最も尊いお方を産まれました』と。」

「『復次大師!童子初生,無人扶持,住立於地,各行七步,凡所履處,皆生蓮花。顧視四方,目不曾瞬,不畏不驚,住於東面,不似孩童呱然啼叫,言音周正,巧妙辭章,而說是言:「一切世間,唯我獨尊,唯我最勝,我今當斷生老死根。」

さらに、大師よ。太子がお生まれになられた時、誰の助けもなく、大地に立ち上がられ、七歩を歩まれました。その歩まれた場所には、すべて蓮の花が咲き出でました。四方を見渡され、そのまなざしは一瞬たりとも揺るがず、恐れも驚きもなさらず、東の方向にお立ちになりました。幼子のように泣き叫ぶこともなく、明瞭で美しいことばをもって、こう宣言なさいました。「あらゆる世の中において、わたしのみが尊く、わたしのみが最も優れている。わたしは今まさに、生・老・病・死の根源を断ち切るであろう。」

「『復次大師!童子生時,即於是處,忽有二池,一暖一冷,隨童子母,恣意取用。上界虛空,復流二水,冷暖如前,洗浴童子。

また、大師よ。童子がお生まれになったとき、その場に、たちまち二つの池が現れました。一つは温水、もう一つは冷水であり、童子の母が思いのままに使うことができました。さらに、上の虚空からも二つの水が流れ降り、その水もまた同じく温かさと冷たさを有しており、童子の身体を洗い清めました。

「『復次大師!童子生時,有真金榻,坐童子身,令童子浴。

また、大師よ。童子がお生まれになった時、真っ金の寝台があり、そこに童子を座らせて、沐浴させました。

「『復次大師!童子生時,身放光明,翳障一切諸寶火焰一切光明。

さらに、大師よ。童女が生まれた時、その身から放たれる光明が、あらゆる宝の炎やあらゆる光を覆い隠しました。

「『復次大師!童子生時,身放光明,蔽日月光,狀如星宿。

さらに、大師よ。王子がお生まれになった時、その身体から放つ光が太陽や月の光をおおい隠し、まるで星々のように輝いておりました。

「『復次大師!童子生時,一切樹木,隨時敷榮,花果茂盛,非時諸樹亦復開鮮。

さらに、大師よ。童子がお生まれになった時、すべての木々が本来の季節に美しく花咲き、実り豊かになりました。また、季節外れの木々までもが花を咲かせ、鮮やかによみがえったのであります。

「『復次大師!童子生時,虛空諸天,持其白蓋,真金為柄,覆童子上。

さらに、大師よ、童子がお生まれになるとき、虚空の天々が白い傘を捧げ持ち、その柄は純金でできていて、童子の頭上にさしかざしました。

「『復次大師!童子生時,虛空諸天,復持白拂,摩尼為柄,拂童子上。

さらに、大師よ。童子がお生まれになった時、虚空の天々が再び白い払子を取り、その柄は摩尼宝で飾られ、童子の上を払いました。

「『復次大師!童子生時,虛空清淨,無雲無霧及諸烟塵,但聞雷聲。

さらに、大師よ。童子が生まれた時、虚空は清らかで、雲も霧も煙や塵もなく、ただ雷の音だけが聞こえました。

「『復次大師!童子生時,虛空無雲,而下細雨,清淨妙水,八味具足。

さらに、大師よ。童子がお生まれになった時、空には一片の雲もなく、細やかな雨が降りました。その雨は清らかで素晴らしい水であり、八つの味わいを備えておりました。

「『復次大師!童子生時,一切諸方,涼風忽起,其風調適,不為惱患,諸方清淨,無有烟雲及諸氛翳。

さらに、大師よ。童子がお生まれになった時、あらゆる方角から涼やかな風が吹き始めました。その風はほどよく調和し、決して人を苦しめることはなく、あらゆる場所は清らかで、もやや雲、そしてあらゆるかすみもありませんでした。

「『復次大師!童子生時,於上空中,出大梵聲,非人所作,自然而響。

さらに、大師よ。童子がお生まれになった時、虚空の上から大いなる梵音が聞こえてまいりました。それは人の手によるものではなく、自然に響き渡ったのです。

「『復次大師!童子生時,於童子上,自然而有無量音聲,非人所作。復聞無量歌樂之聲,復雨無量種種花香,日光所照,常鮮不異。

また、大師よ。童子が生まれた時、その童子の上に、自然と無数の音声が現れました。それは人の手によるものではありません。また、無数の歌や楽器の音が聞こえ、無数の様々な花や香りが降り注ぎました。日差しが照らす場所は、常に生き生きとして変わることはありませんでした。

「『復次大師!童子生時,於上虛空,一切諸天,雨於種種天諸妙花,優鉢羅花、分陀利花、拘物頭華、波頭摩華。復持無量種種末香,復持無量種種殊妙最勝華鬘,散童子上,散已更散。

また、大師よ。童子がお生まれになった時、虚空には全ての天人が様々な見事な花を降らせました。青蓮華、白蓮華、黄蓮華、赤蓮華です。さらに、無数の香粉や、何よりも素晴らしい花飾りを、童子上に振りまき、それを繰り返し振りまきました。

「『復次大師!童子生時,自然忽有無量無邊諸天玉女,持種種香及種種油,塗香末香,天妙衣服,種種天樂,或歌或舞,出種種聲,漸漸而行,詣向摩耶童子母前,而問訊言:「善生童子!得無疲惓。」

また、大師よ。童子がお生まれになるとき、自然と無数に多くの天女たちが現れました。彼女たちは様々な香りや油、塗香や抹香、天の美しい衣、そして様々な天の楽器を持ち、歌い踊り、様々な音を奏でながら、ゆっくりと摩耶夫人、すなわち童子のお母様の前に進みました。そしてこうお尋ねしました。「よくお生まれになりました童子よ、お疲れではありませんか。」

「『復次大師!童子生時,於此大地,六種震動,十八相具。

さらに、大師よ。童子がお生まれになった時、この大地は六種に震動し、十八の相を現しました。

「『復次大師!童子生時,三千大千一切世界諸眾生等,一時受樂。

また、大師よ。童子がお生まれになった時、三千大千世界のすべての生きとし生けるものが、一時に至福を味わいました。

「『復次大師!童子生時,我得成就一切大利種種吉祥,隨我心願,莫不具足。

「また、大師よ。童子がお生まれになった時、私はあらゆる大きな利益と様々な吉祥を成就し、心の願いに従って、何一つ欠けることがありませんでした。

「『復次大師!彼時我臣婆私吒子摩訶那摩,來向我邊,而語我言:「唯願大王!常尊常勝,國大夫人,產生清淨最勝童子。」

「また、大師よ。その時、私の家臣である婆私吒子摩訶那摩が、私のもとに来て、こう言いました。『王よ、どうか長く尊く、常に勝者であられますように。后妃が、清らかで最も勝れた王子をお生みになりました。』と。」

「『次有人來,復語我言:「唯願大王!常勝一切,家室隆盛,於諸釋種眷屬之中,復各生於五百童子。」

ある人が来て、また私にこう言いました。「どうか大王よ、常に全てに打ち勝ち、家が栄え、また、すべての釈迦族の親族の中に、五百人の童子が生まれますように」と。

「『次有人來,復語我言:「唯願大王!常滿一切,今日釋種眷屬之中,復各生於五百童女。」

次に、またある人が来て私に言いました。「どうか大王様、全てのものを常に満たしてください。今日、釈迦族の眷属の中にも、新たに五百人の童女が生まれました。」

「『次有人來,復語我言:「乃至宮中,一時產生五百奴僕。」

「次に誰かが来て、さらに私にこう言いました。『ついには、宮殿の中で一度に五百人の召使いが生まれました』」

「『次有人來,復語我言:「乃至產生五百婢媵。」

次に、ある人がやって来て、さらに私に言うのです。「ついには五百人の女中を産みました。」と。

「『次有人來,復語我言:「乃至產生五百馬駒。」

さらに別の人が来て、私にこう言うのです。「なんと、五百頭の子馬が生まれました。」と。

「『次有人來,乃至自然五百香象,身白如雪,齊有六牙,在宮門外。

ある時、もう一人の者が現れ、五百頭の香象が自然とやって来た。その象たちは雪のように白く、六本の牙を持ち、宮殿の門の外にいた。

「『次有人來,乃至五百金藏隱伏,自然顯現。

次に人が来ると、五百もの金の隠し財宝が自然と現れるようになるのです。

「『次有人來,乃至此處,迦毘羅城,自然而有五百園林,忽爾出現。

そこで、ある人がやって来て、この場所(カピラ城)に至ると、自然と五百の園林が忽然と現れ出たのです。

「『次有人來,乃至他方五百商主,多齎財寶,來至於此迦毘羅城。

さて、ある人々、さらには他国から五百人の商人たちが、多くの財宝を携えて、このカピラ城にやって来ました。

「『次有人來,乃至將於五百白蓋,五百金瓶,粟散諸王,送來奉獻,并復遣人,諮白我言:「我等皆待大王教命,依勅而行。」

次に、ある人が来て、五百の白い蓋と五百の金の瓶を持ち、王たちに穀物をまき散らしながら、捧げ物として贈ってきました。そして、使いの人を遣わして、私にこう伝えました。「私たちは皆、大王の命令をお待ちしております。おおせのままに従います。」

「『次有人來,而語我言:「願王常勝,有萬童女,在於剎利及婆羅門長者家生。」大師!我於爾時,如是思惟:「我作何乘,將我童子安隱還向迦毘羅城?」是時空中,有一天輿,七寶所成,非人工造,忽然而現,端正可喜,種種莊嚴。

「そこへ、ある人が来てこう言いました。『王様が永遠に栄え給いますように。一万もの娘たちが、クシャトリア(武士階級)やバラモン、裕福な家々に生まれています』と。師よ、そのとき、私はこう考えました。『私は何という乗り物を用いて、わが子チャンダカを無事にカピラ城へ連れ帰ろうか』と。

すると、その時、空中に七宝でできた、人の手によらない天からの輿(こし)が、忽然と現れました。それはまことに端正で愛らしく、さまざまな荘厳を備えていました。」

「『大師!我於彼時,作是思惟:「誰負此輿?」是時四方自然而有四天子來,來已各各擔負寶輿,離地不遠,乘空而行。我於爾時,將是童子入於宮殿,覆復思惟:「今我童子,作何名也?」我更思惟:「其生之日,我一切利,自然而成。」我時知已,便作名字,號悉達多。

「師よ、そのとき私はこう考えました。『この輿を担いでいるのは誰だろうか?』と。するとその瞬間、四方から四人の天子が自然に現れ、それぞれがその宝輿を担いで、地を離れ空中を進みました。そこで私はこの童を宮殿に連れて行き、さらに考えました。『さて、この童にどんな名前をつけようか?』と。そこで私はさらに考えました。『この子が生まれた日に、私の望みはすべて自然に叶えられた。』そう思ったので、私はその子を『すべてが成就する者』という意味で、シッダッタと名づけました。」

「『大師!爾時我復於此城內,諸有相師,能占吉凶,一切召喚,示此童子,令其觀看:「汝等一切諸婆羅門,為我好觀此之童子,有何相貌?復有何怪?」而相師等,聞我語已,共瞻童子,各各相議,而報我言:「大王!汝得大利,如是童子,有大威德,生大王家,具足三十二大人相。若當有人具足如是丈夫相者,此人則有二種之行:若其在家,必定當作轉輪聖王,王四天下,七寶具足,乃至不用一切兵戈,如法治化;若其捨家修學聖道,必得作佛、多陀阿伽度、阿羅呵、三藐三佛陀,名聞遍滿一切世間。」

「大師よ、その時、私は再びこの城内にいる、吉凶を占うことのできるあらゆる相師たちを呼び寄せ、この童子を見せて、こう言って観察させました。『あなたがた婆羅門たちは、私のためにこの童子をよく観察しなさい。どのような相があり、どのような異変があるのかを。』すると相師たちは、私の言葉を聞いて、共に童子を眺め、互いに協議して、私にこう報告しました。『大王よ、あなたは大きな利益を得られました。この童子は大いなる威徳を備え、大王の家に生まれ、三十二の大人相を具えています。もしこのような丈夫の相を備えた人がいれば、その人には二つの道があります。もし在家にあれば、必ずや転輪聖王となり、四天下を統べ、七宝を具え、一切の武器を用いることなく、法にかなって統治するでしょう。もし出家して聖なる道を学べば、必ずや仏陀、多陀阿伽度、阿羅呵、三藐三仏陀となり、その名は全世界に満ち渡るでしょう。』」

「『大師!我於爾時,將百味食,設彼一切諸婆羅門,皆悉充足,自恣布施種種衣服。

「大師よ。その時、私は様々な味わいの食べ物を用意して、すべてのバラモンたちを満足させ、思いのままに様々な衣服を施しました。

「『大師!我於彼時,在此城內,所有街巷,四衢道頭,皆行布施,須食與食,資財五行,皆持施與,乃至所得諸功德者,迴施童子,為供養故。大師!童子在胎初生之時,有如是等種種瑞相希奇之事未曾有法,諸如是等在胎生法,我今具白大師令知。今奉大師,如是布施,唯願大師!領受歡喜。』

「大師よ、私はその時、この都の中のあらゆる通りや路地、四つ辻の出入り口で、布施を行いました。食べ物を求める者には食べ物を与え、財貨や五つの行いにおいても、すべてを施し与えました。そして、得られた功徳の数々を、供養のためにこの幼子に回向いたしました。大師よ、この幼子が胎内にいるときから生まれたばかりの頃にかけて、このような様々な瑞相や稀有なる未曾有の出来事がありました。このような胎内から出生に至るまでの事柄を、今、大師に詳しく申し上げ、ご存じいただきたく存じます。今、このように布施を大師に捧げます。どうか大師よ、お受け取りになり、お喜びくださいませ。」

「爾時尊者阿私陀仙,從童子父淨飯王邊,聞此微妙諸瑞相等,生大歡喜,不能自勝。從座而起辭王出宮,步至門外,即以右手,執那羅陀童子左臂,從門隱身,騰虛而行,向南天竺,下阿槃提聚落之時,阿私陀仙語那羅陀童子,作是言:『汝那羅陀童子當知!有佛出現於今世間,汝當彼邊,出家學道,修習梵行,久遠之時,大得利益,大得安樂。』時阿私陀,覆復思惟:『我滅度後,所有利養,世間名聞,一切皆是那羅童子悉收斂得。是故此之那羅童子,因利養故,世名聞故,盡其道行,不得精進,不得正念,不得信行,於三寶邊不能分別,此是佛陀,此是達摩,此是僧伽,是故名聞損彼自身。』

当時、尊者アジータ仙(阿私陀仙)は、童子の父である浄飯王のもとで、これらの微妙な瑞相の兆しを聞くと、大いなる喜びに満たされ、自らを抑えきれなくなった。座を立ち、王に辞を告げて宮殿を出ると、歩いて門の外に出た。そしてすぐに右手で、ナラダ童子(那羅陀童子)の左腕をつかみ、門から姿を消し、虚空を翔けて南天竺へと向かった。アバンティ(阿槃提)の村に降り立った時、アジータ仙はナラダ童子にこう言った。

「ナラダ童子よ、知りなさい。今、この世に仏陀が出現された。あなたはそのもとで出家し、道を学び、清らかな行いを修めなさい。そうすれば、遠い未来において、大いなる利益と大いなる安楽を得るだろう。」

その後、アジータ仙はさらに考えを巡らせた。

「私が亡き後、世の中の利益や名声というものは、すべてナラダ童子が手にするであろう。しかしそのために、ナラダ童子は利益や名声に執着し、道行を全うできず、精進もせず、正しい念も持たず、確かな信心も失ってしまうだろう。そして、仏陀、ダルマ(法)、サンガ(僧)の三宝の違いを正しく区別できなくなるだろう。結局のところ、名声というものが彼自身を損なうことになるのだ。」

「爾時,尊者阿私陀仙更復思惟:『是淨飯王悉達童子,在何國地當得成於阿耨多羅三藐三菩提?復在何處轉於清淨無上法輪?』如是少時思惟訖已,內心明見,知是童子其後於彼摩伽陀國,當得阿耨多羅三藐三菩提,波羅㮈國,轉於法輪。『我於今者,當應將此那羅童子詣波羅㮈,造一精舍,安置立已,晝日三時,暗夜三時,向彼為其說佛名號,汝那羅陀,佛出於世!汝那羅陀,佛出於世!如是三稱,汝應彼邊,出家修道,懃行梵行,汝當後時,有大利益,得大安樂。』時阿私陀,作是念已,將那羅陀向波羅㮈,為造精舍,安置立已,晝夜六時,作是唱言:『汝那羅陀,佛興於世!』晝夜六時,如是三唱:『汝當出家,乃至後時,得大安樂。』時阿私陀如是方便,住世無量而取壽終。

その時、尊者アシタ仙はさらに考えた。「この浄飯王の子であるシッダールタ童子は、いったいどこの国で無上正等覚(阿耨多羅三藐三菩提)を成就するのだろうか。また、どこで清らかでこの上ない法輪を転じるのだろうか」と。このようにしばらく思い巡らせた後、心の中ではっきりと見えた。すなわち、この童子は後にマガダ国において無上正等覚を成就し、バラナシ(波羅㮈国)において法輪を転ずるであろうと。

「私は今、このナラ童子を連れてバラナシに行き、一つの精舎を建てて安置した上で、昼も三度、夜も三度、彼に向かって仏の名号を唱えよう。『ナラよ、仏が世に現れたまう! ナラよ、仏が世に現れたまう!』と三度呼びかけなさい。そして、あなたはそのもとで出家し、修行に励み、清らかな行いを実践しなさい。そうすれば、後に大きな利益と大きな安楽を得ることができるであろう」と。

アシタはこう考えた後、ナラを連れてバラナシへ向かい、精舎を建てて安置した。そして昼夜六時にわたって、次のように唱えた。「ナラよ、仏が世に現れたまう!」と昼夜六時に三度唱え、「あなたは出家しなさい。そうすれば後に大きな安楽を得るであろう」と伝えた。

アシタはこのようにして、長くこの世に留まりながら、やがて寿命を終えた。

「時阿私陀命終之後,其那羅陀侍者童子,於世間中,得大利養,得大名聞。時那羅陀,著世利養,貪名聞故,心不自定,不能增進,以求利養,不知足故,不能自念,不能自信,不能分別,此是佛耶?此是法耶?此是僧耶?彼阿私陀命終之後,時淨飯王語諸國師婆羅門言:『大師當知!今此太子,既生王宮,不久必當行於聖行,證得聖道,猶如尊者大阿私陀仙人授記。此言真實,恐當不虛,必應如是。大師!我王種族,若為嗣立,當大損減。』其婆羅門諸國師,報淨飯王言:『大王!今者莫作是念,如我授記,此之太子,必當定作轉輪聖王。如我等語,終無有異。』

アジータが亡くなった後、その弟子のナラーダ少年は世間から大きな富と名声を得ました。ナラーダは世俗の利得や名声に執着したため、心が落ち着かず、向上することができませんでした。また、満足を知らなかったため、内省もせず、自信も持てず、「これは仏陀なのか?これは法なのか?これは僧伽なのか?」と区別することもできませんでした。

アジータが亡くなった後、浄飯王は国の師であるバラモンたちにこう言いました。「師よ、知っておいてください。この太子は王宮に生まれましたが、遠からず聖なる行いを実践し、聖なる道を悟るでしょう。それは尊者アジータ仙人が授記した通りです。この言葉は真実であり、虚偽ではありません。必ずそうなるでしょう。師よ、私の王族がもし後継ぎを立てるならば、大きな損失を被るでしょう。」

すると、そのバラモンの国師たちは浄飯王に答えました。「大王よ、そのようにお考えになってはいけません。私たちの授記によれば、この太子は必ずや転輪聖王となるでしょう。私たちの言葉に間違いは決してありません。」

「時淨飯王語國師言:『仁等大師!汝於今者非阿私陀聖師之言,此語虛謬。』時彼國師婆羅門等,更報王言:『彼仙人語,若其不虛,言是實者,大王!今應須作方便,及年少時,增益世事,當觀太子,著於何者?漸漸更加,如是則彼自愛家居,不向山林,修於苦行。』

時、浄飯王は国師に向かって言われた。「あなた方は大師である。今あなた方が言うことは、あの阿私陀聖師の言葉とは違う。この言葉は偽りである。」 時に、その国師であるバラモンたちは、さらに王に申し上げた。「あの仙人の言葉が、もし偽りではなく、真実であるならば、大王よ、今こそ方便を講じるべきです。太子がまだ若いうちに、世の中の楽しみを増し加え、太子が何に心を留めるかをよくお観察ください。徐々にそれを与えていけば、自然と太子は家庭での生活を愛し、山林に向かって苦行をすることはないでしょう。」

「時,淨飯王復問國師婆羅門言:『此事云何?』時國師等復白王言:『大王!當知,往古諸仙,或飲風露,或食花果,或食根藥,著樹皮衣,少欲知足。彼等諸仙,猶愛俗事,一著於世,尚生放逸。況復太子,日日習近,一切諸根,自然染著。以王勢力具足功德,住在家內,能捨出家,無有是處。』時淨飯王復作是言:『此事如是,如大師語,世間亦有方便之事,如大師說。但彼大仙阿私陀說,必不虛言,是故我心常生疑惑。』時淨飯王思惟如是未來之事,心疑猶預,即集群臣諸釋種族,而告之言:『我勅汝等!若見太子增長之時,莫向彼前說阿私陀授記之事。所以者何?太子若聞如此語者,其喜不捨菩提之心。』

時に、浄飯王(じょうぼんのう)は再び国師(こくし)であるバラモンたちに尋ねました。「このことについては、どう思うか?」すると国師たちは王に申し上げました。「大王よ、お聞きください。昔の仙人たちの中には、風や露を飲み、花や果実を食べ、あるいは根や薬草を食べ、樹皮の衣を身にまとい、少欲知足(しょうよくちそく)の生活を送った者もおりました。しかし、そのような仙人たちでさえ、世俗の事柄を愛し、一度世の中に執着すれば、放逸(ほういつ)に陥るものです。ましてや太子ともなれば、毎日様々なものに触れ、すべての感覚器官が自然に染まっていくのは明らかです。王のご威光や功徳に支えられ、在家のままでは、出家することなど到底ありえません。」

その時、浄飯王はこう言いました。「その通りだ。あなた方の言うとおり、世の中には方便(ほうべん)というものもある。しかし、かの大仙アシタの言葉は、決して虚偽ではない。それゆえ、我が心は常に疑いで揺れ動いているのだ。」

こうして浄飯王は未来の出来事を思案し、心に迷いを抱えたまま、群臣や釈迦族の人々を集めてこう告げました。「私はあなたたちに命じる。太子が成長していくにしても、決して太子の前でアシタの予言を語ってはならない。なぜなら、太子がその言葉を聞けば、喜びに満ちて菩提心(ぼだいしん)を捨てることがなくなるからだ。」

「時,淨飯王復更重告諸臣等言:『卿諸臣等!為我太子,國內所有禁繫囚徒,皆悉放赦,令得解脫,乃至一切諸禽獸等,亦並放捨。』復告國師婆羅門言:『大師!若知所有精進婆羅門等,或百或千,聚集之處,隨意所須,悉皆布施。所有天祠及神廟堂,皆令修治,依法祭祀,為我太子,令得大福。』爾時國師婆羅門等,即依王命,四方召得三萬二千諸婆羅門,日別令入淨飯王宮,所有資財,悉持布施,滿七日夜,所有功德,迴施太子,願令增進。而有偈說:

時に浄飯王はさらに臣下たちにこう告げられました。「お前たち、私の太子のために、国内にいるすべての囚人たちを解放し、自由にしてやりなさい。また、すべての鳥や獣たちも放してやりなさい。」さらに国師であるバラモンにこう言われました。「大師よ、もし熱心に修行するバラモンたちが百人であれ千人であれ集まっている場所があれば、その望みに応じて惜しみなく施しを与えなさい。すべての天の祠や神殿を修理し、儀式に従って祭祀を行い、私の太子に大きな福徳がもたらされるようにしなさい。」

その時、国師のバラモンたちは王の命に従い、四方から三万千人のバラモンたちを集め、毎日浄飯王の宮殿に招き入れました。そして、すべての財産を施しに用い、七日七晩の間、その功徳を太子に回向し、彼の福徳が増し進むように祈りました。このことを偈で詠んでいます。

「『淨飯王心大歡喜, 以生福德太子故,
一切群臣皆聚集, 天下囚繫普放恩,
誕育既稱適本心, 慇重欲為作生法。
持彼百千乳牛犢, 皆金裝角銀飾蹄,
年齒悉壯毛色鮮, 各各從犢隨其後,
膚體充肥多乳汁, 一頭一捋得十斗,
更有無量種珍奇, 錢財穀帛諸雜物,
為令太子增益故, 布施於彼婆羅門。』

「浄飯王は心から大いに喜んだ。 それは、福徳ある太子が生まれたからである。 すべての家臣たちが集まり、 国中の囚人たちにも広く恩赦が施された。

出産が心の願いどおりとなったので、 深く思いを込めて、誕生の儀式を執り行おうとなさった。 そこに百千もの乳牛と子牛を用意し、 角には金を、蹄には銀を飾らせた。

どの牛も年は盛りで、毛並みは艶やかであり、 それぞれの子牛を従えている。 体はふくよかで乳も豊かに出、 一頭から十斗の乳を搾ることができた。

さらに数えきれないほどの珍宝、 金銭や穀物、布などの品々もあった。 これらはすべて、太子の福徳を増すために、 バラモンたちに布施されたのである。」

佛本行集經卷第十

『仏本行集経』 巻第十


8 相師占看品
10 姨母養育品

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