護摩法分第五
第五品 護摩法
「復次持明人欲作護摩求成就者,先須預前持誦本尊根本大明先行滿足,然後如儀備辦所用柴及一切物等具足已,持明人然後於夜分時,將諸護摩物獨往尸陀林中,依法求其成就。得悉地已,此後隨意作一切法。
さらに、真言を修める者が護摩を修して成就を求めるならば、まず事前に本尊の根本大真言を繰り返し唱えて、先行の修行を満たさなければなりません。その後に、儀軌に従い、用いる薪やその他すべての供物を準備し終えたなら、真言行者は夜の間に、これらの護摩の供物を携えて独りで尸陀林(墓場)へ赴き、教えの通りに成就を求めなさい。悉地(成就)を得た後は、それ以降、心のままにあらゆる法を行うことができます。
「復次持明之人於金剛陪囉嚩前,用人肉和酒誦大明,日日作護摩一百八遍,滿六箇月,持明人當得摩賀三滿多。
さらに、真言を唱える者は、金剛陪囉嚩の前で、人肉と酒を用いて大真言を唱え、毎日護摩を百八回行うこと。これを六か月続けると、真言を唱える者は摩賀三満多を得ることができる。
「復次持明人欲求大力囉惹及人民敬愛者,當依摩呬沙目佉法,端坐觀想己身為陪囉嚩,手執鉤及羂索。復想此身中化出妙吉祥,往彼所降人處,牽引彼人來入身中。又想十字大明赤色,現彼人心中如大智相。持明之人作是法時,至於極大力者亦可敬愛,乃至盡生一切隨意。
さらに、真言を修める者が、大いなる力を持つ王や民衆からの敬愛を得たいと願うなら、摩呬沙目佉の法に従いなさい。静かに座り、己の身を陪囉嚩であると観想し、手には鉤と羂索を握るのです。
更に、この身の中から妙吉祥が化現し、降伏させたい人のもとへ赴き、その人を己の身の中へ引き入れると観想しなさい。また、十字の大明を赤色と想い、それが大いなる智慧の相として、その人の心に現れると観想しなさい。
真言を修める者がこの法を修すれば、極めて強い力を持つ者であっても敬愛されるようになり、その生涯、全てのことが思いのままとなるでしょう。
「復次持明人欲作息災者,當於陪囉嚩像前作爐,面東坐於爐中,燒鉢羅舍木柴,用酥蜜及訥哩嚩草相和,誦大明作護摩一百八遍,乃至國城皆得災息。
また、明呪を唱える行者(じぎょうしゃ)が災いを鎮めようとするならば、大自在天(陪囉嚩)の像の前に炉を作るがよい。炉に向かって東に座り、炉の中に鉢羅舍(パラシャ)の木を焚き、酥(バター)と蜜、そして訥哩嚩(ドゥルヴァ)の草を混ぜ合わせたものを用いて、大いなる真言を唱えながら護摩(ごま)を百八回行いなさい。そうすれば、国や城に至るまで、すべての災いが消え去るであろう。
「復次持明人作增益法者,當面東坐,觀想本尊。得現前已,即於爐中燒烏曇摩木柴,用脂麻、白粳米、酥相和,日三時作護摩千遍,速得增益。
さらに、修行者が増益の行を行うには、東向きに座り、本尊を心に観想しなさい。本尊が目前に現れたなら、炉の中で優曇婆羅の木を燃やし、胡麻、白米、酥油を混ぜ合わせて、一日三回、千度の護摩をまといなさい。そうすれば、速やかに増益が得られます。
「復次持明人欲作調伏者,用孔雀、獯狐、蛇、烏、馬、水牛等必尸多,及頭髮、穀糠等物為藥,於燒屍火內稱名,誦大明作護摩者,速令調伏。或取燒屍殘柴,及於旃陀羅家取火,於自舍內稱彼名,誦大明作護摩者,於七日內亦得調伏。作此法者,金剛薩埵亦可調伏。
また、明呪を唱える者が調伏を行いたいならば、孔雀、獯狐、蛇、烏、馬、水牛の屍肉、および頭髪、穀殻などのものを用いて薬とし、屍を焼く火の中でその名を唱え、大明呪を誦しながら護摩を修すれば、速やかに調伏される。あるいは、屍を焼いた残りの薪や、旃陀羅の家から火を取り、自らの家の中でその名を唱え、大明呪を誦しながら護摩を修すれば、七日以内にやはり調伏される。この法を行うならば、金剛薩埵も調伏することができる。
「復次持明人為設咄嚕者,當用人骨吠嚕左曩誐囉捺婆羅拏濕嚩那羅拏,及棘針、頭髮、指甲等,用油相和。然後於燒屍坑前,面南坐,稱名,誦大明一百八遍,彼設咄嚕三日內除滅。或於深密寂靜之處,作三角爐,一切同前用諸物等,作護摩一百八遍,亦可除滅。
また、持明者が敵対者を対処する場合には、人骨、吠嚕左、曩誐囉、捺婆羅、拏濕嚩那、羅拏、および棘の針、髪の毛、爪などを用い、油で混ぜ合わせます。その後、死体を焼く穴の前に南向きに座り、名前を唱えながら、大明の真言を108回誦えます。そうすれば、その敵対者は三日のうちに消滅します。あるいは、深く隠された静かな場所で三角の炉を作り、同じように前述の様々な物を用いて護摩を108回行えば、同様に消滅させることができます。
「復次持明人欲發遣設咄嚕者,當用烏肉及𩢵駝糞以酒相和。持明人裸形被髮,入尸陀林中於燒屍坑前面南坐,先想風輪,復想風輪上有設咄嚕。得觀現前已,將前諸物於燒屍火中作護摩一千遍,速自遠去。
次に、呪を唱える行者が敵を追い払いたい場合は、カラスの肉とラクダの糞を酒で混ぜ合わせなさい。
行者は裸で髪をほどき、尸陀林(墓地)の中の遺体を焼く穴の前に南向きに座ります。まず風の輪を観想し、次にその風の輪の上に敵がいる姿を思い浮かべます。その姿がはっきりと心に現れたなら、先ほどの材料を遺体を焼く火の中に入れて護摩を千回行います。その後、速やかにその場を離れなさい。
「復次作發遣設咄嚕者,用烏肉及米糠相和,燒曼陀羅柴,同作護摩七日,自去。又用烏肉,同前作護摩一千遍,三日自去。
さらに、敵を追い払う方法をお伝えします。カラスの肉と米ぬかを混ぜ合わせ、マンダラの木を燃やして、同じものを用いて護摩を七日常に修行すれば、敵は自然に去ります。また、カラスの肉だけを用いて、同じ方法で護摩を一千回行えば、三日で敵は去ります。
「復次持明人取牛肉及血,稱名誦大明,作護摩一千遍,彼所稱名人速來降伏承事。或用狗肉和金剛水,於夜分時作護摩一百八遍,亦速來降伏及奉珍寶。或用馬肉及吠嚕左曩相和,於深密處夜分時,作護摩一百八遍,至七日得囉惹及一切人悉皆降伏。或用象肉及輸迦羅相和,於夜分時作護摩,七日內一切人降伏。
また、真言を唱える者は、牛の肉と血を取り、名前を唱えて真言を唱え、護摩を一千回行う。その名前を唱えられた者は、速やかに来て服従し仕えるであろう。あるいは、犬の肉と金剛水を用いて、夜の時間に護摩を一百八回行えば、速やかに来て服従し、宝物を捧げるであろう。あるいは、馬の肉と吠嚕左曩を混ぜ合わせ、深く秘密の場所で、夜の時間に護摩を一百八回行えば、七日で王や全ての人がみな服従するであろう。あるいは、象の肉と輸迦羅を混ぜ合わせ、夜の時間に護摩を行えば、七日のうちに全ての人が服従するであろう。
「復次持明人用肉及魚和酒作護摩,一切悉怛哩皆來降伏。
さらに、持明者が肉と魚と酒を用いて護摩を修すると、すべての悪魔や障礙をもたらす者たちがことごとく来て降伏します。
「復次持明人觀想男女二人身紅色,稱名誦大明面西坐,燒佉儞囉木柴,用脂麻及白粳米,以金剛水和,作護摩七日,自來降伏親近承事。
さらに、マントラを唱える修行者は、赤い色をした男女二人の姿を心に描きなさい。その名を唱えながら、西向きに座って、「ダーキニー」の木を焚き、ゴマと白米を混ぜ、それを金剛水で練ってホーマ(護摩)の供物としなさい。これを七日の間行えば、やがてその者が自ら近づき、従い、仕えるようになるであろう。
「復次作勾召,用芥子作彼像,於佉儞囉木火中作護摩,至七日所召必至。或用五種甘露藥和酥,於佉儞囉木火中,作護摩一百八遍,所召速來。」
次に、呼び寄せる方法です。からし種でその人の像を作り、カニーラの木の火で護摩をたきます。七日間続ければ、呼び寄せたい者は必ず現れます。または、五種類の甘露薬に酥(バター)を混ぜ、カニーラの木の火で護摩を百八回たけば、呼び寄せが速やかに成就します。