大乘大集地藏十輪經卷第五
大乗大集地蔵十輪経 巻第五
三藏法師玄奘奉 詔譯
三蔵法師玄奘奉詔訳
無依行品第三之三
無依行品第三の三
爾時,地藏菩薩摩訶薩,復白佛言:
その時、地蔵菩薩摩訶薩は、再び仏に申し上げました。
「大德世尊!若有真善剎帝利、真善宰官、真善居士、真善長者、真善沙門、真善婆羅門,如是等人能自善護,亦善護他、善護後世、善護佛法。出家之人若是法器、若非法器、下至無戒剃除鬚髮被袈裟者,普善守護、恭敬、供養;又能善護聲聞乘法、緣覺乘法及大乘法,恭敬聽聞,信受供養。於住大乘具戒、富德、精勤修行,乃至住果補特伽羅,能善守護助其勢力,諮問聽受歡喜談論,遠離破戒惡行苾芻。於諸所施四方僧物,終不令人非法費用,勤加守護,供四方僧。於窣堵波及僧祇物,終不自奪、不教他奪,亦不自用、不教他用。於能辯說三乘法人,恭敬供養,加護與力,不令他人誹謗毀辱;尊重安慰諸出家人,信受護持佛所說法,終不破壞諸窣堵波,亦常護持僧伽藍舍。於剃鬚髮被服袈裟出家人所,終不毀廢。於十惡輪,自不染習;亦常勸他離十惡輪,具學先王治國正法,紹三寶種常令熾盛,恒樂親近諸善知識,慈心撫育一切國人,隨其所宜方便化導,令捨邪法,修行正法。如是真善剎帝利王乃至真善婆羅門等,得幾所福?滅幾所罪?」
『尊い世尊よ。もし真に善い王族や、真に善い役人、真に善い在家信者、真に善い長者、真に善い修行僧、真に善いバラモンがいたならば、そのような人々は、自らをよく守り、また他者もよく守り、来世をもよく守り、仏の教えをもよく守ることができるでしょう。
出家した人々について、教えを理解する器(うつわ)にふさわしい者であれ、あるいはその器でない者であれ、戒律すらなく、単に髪とひげを剃り袈裟をまとっている者にいたるまで、すべてをよく守り、敬い、供養します。また、声聞乗(しょうもんじょう)の教え、縁覚乗(えんがくじょう)の教え、大乗(だいじょう)の教えをよく守り、敬意をもって聴き、信じ受け入れ、供養します。
大乗にとどまり、戒律を具え、徳が豊かで、精進して修行し、さらには修行の果報にとどまる人々に対して、よく守り助け、その力を増し、相談して教えを聴き、喜んで語り合い、戒律を破る悪い行いをする比丘からは遠ざかります。
四方の僧団に施された様々な物品については、決して他人に不法に使わせることなく、よく守って四方の僧団に供養します。また、仏塔や僧団の所有物については、決して自ら奪わず、他人に奪わせず、また自ら使わず、他人に使わせません。
三乗(さんじょう)の教えをよく説く人々に対しては、敬い供養し、保護し力を与え、他人が彼らを誹謗(ひぼう)し侮辱するのを許しません。出家した人々を尊重し慰め、仏の説かれた教えを信じ受け入れ守り、決して仏塔を破壊せず、常に僧院を守り保ちます。
髪とひげを剃り袈裟をまとう出家者に対しては、決してその立場を廃したり毀(そこ)なったりしません。十種の悪い輪については、自ら染まり習わず、常に他人にも十種の悪い輪から離れるよう勧めます。また、先王たちの国を治める正しい法を完全に学び、仏・法・僧という三つの宝の種を絶やさず、常にそれを盛んにし、常に善き知識(善友)に親しむことを楽しみ、慈しみの心で全ての国民を育み、その人にふさわしい方法で導き、邪な法を捨て、正しい法を修行させます。
このような真に善い王族や、真に善いバラモンなどの人々は、どのくらいの福を得、どのくらいの罪を滅ぼすのでしょうか?』
佛言:「善男子!假使有人出現世間具大威力,於日初分,積集七寶滿贍部洲,奉施諸佛及弟子眾;於日中分,亦集七寶滿贍部洲,奉施諸佛及弟子眾;於日後分,亦集七寶滿贍部洲,奉施諸佛及弟子眾。如是,日日相續布施滿百千年,此人福聚寧為多不?」
仏はおっしゃいました。「善男子よ、もしもこの世に偉大な力を持つ人が現れ、日の初めに閻浮提(この世界)いっぱいの七宝を集めて、諸仏とその弟子たちに捧げ、日の真ん中にもまた閻浮提いっぱいの七宝を集めて捧げ、日の終わりにもまた同様に捧げるとしよう。このように、毎日欠かさず布施を続けて百年を満たしたならば、この人の積む福徳は多いであろうか?」
地藏菩薩摩訶薩言:「甚多。世尊!甚多。大德!此人福聚,無量、無邊、不可稱計,算數、譬喻所不能及;惟佛能知,餘無知者!」
地蔵菩薩摩訶薩が申し上げました。「たくさんございます。世尊よ、たくさんございます。大徳よ、この人の功徳の集まりは、計り知れず、限りがなく、はかることもできず、数字やたとえで及ぶものではございません。ただ仏のみがお知りになり、他の者に知る者はおりません。」
佛言:「善男子!如是如是,如汝所說。若有真善剎帝利王乃至真善婆羅門等,於十惡輪自不染習,亦常勸他離十惡輪,所獲福聚過前福聚,無量、無邊、不可稱計。又善男子!假使有人,出現世間具大威力,為四方僧營建寺宇,其量寬廣等四大洲,上妙房舍、床敷、衣服、飲食、醫藥,資緣充備,令諸如來、聲聞、菩薩、大弟子眾,止住其中,精進修行種種善品,若晝、若夜、無有懈息;經百千俱胝那庾多歲,供給、供養、相續不絕。此人福聚寧為多不?」
仏が仰せになった。「善男子よ、その通り、その通り、汝の言う通りである。もし、真に善い王族、あるいは真に善いバラモンなどの者があり、自ら十悪輪に染まらず、また常に他人にも十悪輪から離れるよう勧めれば、その得る福徳の集まりは、先に述べた福徳の集まりよりも、限りなく、計り知れないほど勝れているのである。また、善男子よ、たとえばある人がこの世に現れて大きな威力を備え、四方の僧伽のために寺を建てる。その大きさは広大で四つの大陸にも等しく、そこには素晴らしい部屋、寝具、衣服、飲食、医薬品などが十分に備えられ、諸々の如来、声聞、菩薩、大弟子たちがそこに留まり、日夜怠ることなく様々な善い行いを精進して修行し、百千俱胝那由多もの長い年月の間、絶え間なく供養を続けたとしよう。この人の福徳の集まりは多いと言えるだろうか。」
地藏菩薩摩訶薩言:「甚多。世尊!甚多。大德!此人福聚,無量、無邊、不可稱計,算數、譬喻所不能及;惟佛能知,餘無知者!」
地蔵菩薩摩訶薩は申し上げました。「たくさんございます、世尊よ。たくさんございます、大徳よ。この人の福徳の集まりは、限りがなく、果てしなく、量ることも数えることもできず、計算やたとえ話で及ぶものではありません。ただお釈迦様だけがご存知であり、他の者には知ることのできないものです。」
佛言:「善男子!如是如是,如汝所說。又善男子!假使有人,出現世間具大威力,為四方僧營建寺宇,寬廣量等十四大洲,上妙房舍、床敷、衣服、飲食、醫藥,資緣充備,令諸如來、聲聞、菩薩、大弟子眾,止住其中,精進修行種種善品,若晝、若夜無有懈息;經百千俱胝那庾多歲,供給、供養、相續不絕。此人福聚寧為多不?」
佛は言われた。「善き男子よ、その通り、その通りである。あなたの言う通りである。さらに、善き男子よ、もし世の中に、強大な神通力を備えた人が現れ、四方の僧団のために寺を建立したとする。その広さは十四の大陸に等しく、最高の房舎、寝具、衣服、飲食、医薬品などの資材が十分に備えられている。そして、如来や声聞、菩薩、大いなる弟子たちをその中に住まわせ、昼夜を問わず怠ることなく、様々な善行に励み、精進して修行させる。百千俱胝那由多もの長い年月の間、絶え間なく供養し続けたとする。この人の積む福徳は多いと言えるだろうか。」
地藏菩薩摩訶薩言:「甚多。世尊!甚多。大德!此人福聚,無量、無邊、不可稱計,算數、譬喻所不能及;唯佛能知,餘無知者!」
地蔵菩薩摩訶薩は申し上げました。「はるかに多いことでございます、世尊よ。はるかに多いことでございます、大徳よ。この人の功徳の集まりは、量り知れず、限りがなく、はかりしれず、数え上げることも、たとえ話で説明することもできないほどでございます。ただ仏のみがお知りになり、その他の者には知ることができません。」
佛言:「善男子!如是如是,如汝所說。又善男子!假使有人,出現世間具大威力,為佛舍利起窣堵波,嚴麗高廣,量等三千大千世界;如前所說,為四方僧造寺福聚;類此所說為佛舍利起窣堵波所獲福聚,於百分中不及其一,於千分中亦不及一,於百千分亦不及一,於俱胝分亦不及一,那庾多分、數分、算分、計分、喻分乃至鄔波尼殺曇分亦不及一。
仏陀が言われた。「善き男子よ、まさにその通り、汝の説く如くである。さらに善き男子よ、たとえこの世に現れて大いなる威力を具えた者が、仏舎利のための塔を建て、それを三千大千世界と同じほどに荘厳で高く広く造ったとしても、先に述べた四方の僧侶のために寺院を建てる功徳の積み重ねは、この仏舎利の塔を建てることで得られる功徳と比べれば、百分の一にも及ばず、千分の一にも及ばず、百千分の一にも及ばず、俱胝分の一にも及ばず、那庾多分、数分、算分、計分、譬分、さらには邬波尼殺曇分の一にも及ばないのである。」
「又善男子!假使有得波羅蜜多、具八解脫靜慮等至大阿羅漢,遍滿三千大千世界,如稻麻、竹葦、甘蔗、叢林,一切皆被堅縛五處經百千年。時,有一人出現於世,具大威力,樂福德故悉解被縛諸阿羅漢,香湯澡浴,奉施衣鉢,經百千年,給上房舍、床敷、衣服、飲食、醫藥,種種所須如法資具。諸阿羅漢般涅槃已,供養、焚燒、收取舍利,以妙七寶起窣堵波,安置其中。復以種種寶幢、幡蓋、香花、伎樂而供養之。如前所說,為佛舍利起窣堵波所獲福聚,類此所說解阿羅漢供養福聚,於百分中不及其一,於千分中亦不及一,於百千分亦不及一,於俱胝分亦不及一,那庾多分、數分、算分、計分、喻分乃至鄔波尼殺曇分亦不及一。
「また、善き男子よ。たとえ、波羅蜜多を得て、八解脱や静慮などの成就を具えた大阿羅漢が、三千大千世界に稲や麻、竹、葦、甘蔗、林のように満ち溢れており、そのすべてが五つの場所に固く縛られて百年、千年の間、縛られたままであるとしよう。そのとき、一人の人が世に現れ、大きな威力を持ち、福徳を好むゆえに、それら縛られたすべての阿羅漢を解き放ち、香湯で沐浴させ、衣鉢を施し、百年、千年の間、上等の房舎、寝具、衣服、飲食、医薬などの様々な必要な物を法に従って与える。諸々の阿羅漢が涅槃に入った後には、供養し、焼き、舎利を収め、妙なる七宝で塔を建ててその中に安置する。さらに、種々の宝幢、幡蓋、香花、伎楽をもって供養する。先に述べたように、仏の舎利のために塔を建てて得た福徳の集まりは、この説かれた阿羅漢を解き放ち供養する福徳の集まりと比べれば、百分の一にも及ばず、千分の一にも及ばず、百千分の一にも及ばず、俱胝分の一にも及ばず、那庾多分、数分、算分、計分、喩分、さらには邬波尼殺曇分の一にも及ばないのである。」
「善男子!若有真善剎帝利王,乃至真善婆羅門等,於十惡輪自不染習,亦常勸他離十惡輪,所獲福德過前福聚,無量、無邊、不可稱計,如生福數,滅罪亦爾。
「善き男子よ。もし真に優れた王族や婆羅門などの身分の者が、自らは十の悪い行い(十悪)に染まらず、また常に他人にも十悪から離れるように勧めたならば、その者が得る福徳は、先に述べた福の集まりよりも、はるかに多く、限りなく、量り知れないものとなる。そして、福を生じるのと同じように、罪を滅ぼす力もまた同様に大きいのである。」
「善男子!若有真善剎帝利王,及諸真善宰官、居士、長者、沙門、婆羅門等,於未來世後五百歲,法欲滅時,能善護持我之法眼,能自善護,亦善護他、善護後世、善護我法。出家弟子若是法器、若非法器,下至無戒剃除鬚髮被袈裟者,普善守護,恭敬供養,令無損惱,又能善護三乘正法。聽受供養聲聞法時,於獨覺乘及大乘法不生誹謗,於獨覺乘及大乘人亦不憎嫉。聽受供養獨覺法時,於聲聞乘及大乘法不生誹謗,於聲聞乘及大乘人亦不憎嫉。聽受供養大乘法時,於聲聞乘、獨覺乘法不生誹謗,於聲聞乘、獨覺乘人亦不憎嫉;於聲聞乘、獨覺乘法不求趣證,唯求趣證大乘正法。於住大乘具戒、富德、精勤修行,乃至住果補特伽羅,多數親近,承事供養,深心敬重,請問聽受,遠離破戒惡行苾芻。於諸所施四方僧物,終不令人非法費用,勤加守護,供四方僧。於窣堵波及僧祇物,終不自奪、不教他奪,亦不自用、不教他用。於能辯說三乘法人,恭敬供養,加護與力,不令他人誹謗毀辱,尊重安慰諸出家人,信受護持如來聖教,終不破壞諸窣堵波,亦常護持四方僧寺。於我出家諸弟子所,終不毀廢,還俗策使。於十惡輪自不染習,亦常勸他離十惡輪,具學先王治國正法,十善業道攝化世間,常當親近諸善知識,紹三寶種常令熾盛,善護法眼令不滅沒。
「善男子よ。もしも真の善人である王や、真の善人である役人、在家の信者、長者、沙門、バラモンたちが、未来の世、後五百歳、法が滅びようとする時に、私の法の眼をよく守り、自らをよく守り、他者をもよく守り、後世をよく守り、私の法をよく守るならば。出家の弟子たちが、法の器たる者も、器ならざる者も、戒を持たない者でさえも、髪や髭を剃り袈裟をまとう者を、すべてよく守り、敬い、捧げものをもてなし、悩ませ損なうことなく、また三乗の正しい法をよく守るであろう。
声聞の法を聞き、供養する時には、独覚乗や大乗の法を誹謗せず、独覚乗や大乗の人々にも憎しみ妬むことがない。独覚の法を聞き、供養する時には、声聞乗や大乗の法を誹謗せず、声聞乗や大乗の人々にも憎しみ妬むことがない。大乗の法を聞き、供養する時には、声聞乗や独覚乗の法を誹謗せず、声聞乗や独覚乗の人々にも憎しみ妬むことがない。また、声聞乗や独覚乗の法に悟りを求めて近づくことなく、ただ大乗の正しい法に悟りを求めて近づく。
大乗に住み、戒を具え、徳を豊かに、精進して修行し、果報に至る人々を、多く親しみ、仕え、供養し、心から敬い、問い、聞き、戒を破り悪行をなす比丘からは遠ざかる。四方の僧に施される物を、決して人に不正に使わせず、努めて守り、四方の僧に供養する。ストゥーパや僧の物を、決して自ら奪わず、他に奪わせず、自ら用いず、他に用いさせない。三乗の法を説く人々を、敬い、供養し、守り、力を与え、他者に誹謗され辱められないようにし、出家者を尊重し慰め、如来の聖なる教えを信じ受け入れ、守り持ち、決してストゥーパを破壊せず、常に四方の僧の寺を守り支える。
私の出家した弟子たちに対して、決して彼らを廃し、在家に戻して使役することはない。十の悪い輪を自ら染め習わさず、常に他者にも十の悪い輪から離れるよう勧め、先王の国を治める正しい法を全て学び、十の善い業の道をもって世間を教化し、常に善き知識に親しみ、仏・法・僧の宝の種を継ぎ、常に盛んにし、法の眼をよく守り、滅びさせないようにせよ」
「如是真善剎帝利王,乃至真善婆羅門等,由具如是諸功德故,名不虛受國人俸祿。一切天、龍、藥叉鬼神乃至羯吒布怛那等,皆生歡喜,慈悲擁護。一切法器、真實福田,亦生歡喜慈悲護念。由是因緣,所居國土及諸有情,展轉熾盛,安隱豐樂;隣國兵戈不能侵害,皆敬慕德自來歸附。由此展轉勸修善業,枯竭惡趣,增長天人。守護身命令得長遠,自滅煩惱亦令他滅。住持菩提道六波羅蜜多,破壞一切眾邪惡道,於生死海不久沈淪。常離惡友,常近善友,生生常遇諸佛、菩薩,恭敬承事,曾無暫廢,不久皆當隨心所樂,各各安住於佛國土,證得無上正等菩提。」
このように、真の善きクシャトリヤの王や、真の善きバラモンなどは、これらの功徳を備えているがゆえに、国民からの俸禄を無駄に受け取っているわけではないとされる。すべての天、龍、薬叉(やくしゃ)や鬼神、さらにはカタプタナなどでさえも、喜びを抱き、慈しみと共に守護する。また、一切の法具や真実の福田も、喜びと慈しみをもって護り、見守るのである。
このような因縁により、その者が治める国土とそこに生きる人々は、ますます栄え、安らかで豊かに満ち足りる。隣国の軍勢も侵すことができず、その徳を敬い慕って自ら帰順してくる。これによって人々は互いに善業を勧め合い、悪道は枯渇し、天人(てんにん)は増えていく。自らの身と命を守り長らえさせ、自らの煩悩を滅し、さらには他者の煩悩をも滅する。
菩提道と六波羅蜜をしっかりと保ち、すべての邪悪な道を打ち破り、生死の海に長く沈むことはない。常に悪い友を離れ、常に善き友に親しみ、生涯を通じて仏や菩薩に出会い、敬い仕えることを一時も怠らない。やがてはそれぞれの心のままに、安住すべき仏の国土に留まり、無上なる正しい悟りを証得するのである。
爾時,眾中一切天帝及諸眷屬,乃至一切畢舍遮帝及諸眷屬,從座而起,頂禮佛足,合掌恭敬,而白佛言:「大德世尊!於未來世後五百歲,於此佛土法欲滅時,若有真善剎帝利王,乃至真善婆羅門等,於十惡輪自能遠離,亦能勸他令其遠離,善護自他、善護後世、護持正法,紹三寶種皆令熾盛,無有斷絕,以要言之如佛所說。如是等人,於三乘法恭敬聽受終不隱藏,於三乘人護持供養不令擾惱,於三寶物勤加守護不令侵損。我等眷屬,於此真善剎帝利王,乃至真善婆羅門等,勤加擁護,令其十法皆得增長。何等為十?一者、增長壽命;二者、增長無難;三者、增長無病;四者、增長眷屬;五者、增長財寶;六者、增長資具;七者、增長自在;八者、增長名稱;九者、增長善友;十者、增長智慧。大德世尊!若彼真善剎帝利王,乃至真善婆羅門等,於十惡輪自能遠離,亦能勸他令其遠離,具前所說諸功德者,我等擁護定當得此十法增長。
その時、集会の中にいたすべての天帝とその眷属たち、さらにはすべての畢舎遮(ぴしゃしゃ)の帝とその眷属たちは、座から立ち上がり、仏の足を頂礼し、合掌して恭敬しながら、仏にこう申し上げました。
「大徳世尊よ。未来世の後の五百歳、この仏の国土で法が滅びようとする時、もし真の善き刹帝利の王、あるいは真の善き婆羅門などが、十悪の輪から自ら遠ざかり、また他者にも勧めて遠ざからせ、自他をよく守り、後世をよく守り、正法を護持し、三宝の種を継いで皆を盛んにし、断絶させないならば、要約すれば仏が説かれた通りです。このような人々は、三乗の法を恭敬して聞き受け、終に隠し藏すことはありません。三乗の人々を護持し供養して、悩ませ乱すことはありません。三宝の物を勤めて守護し、侵し損なうことはありません。私たち眷属は、この真の善き刹帝利の王、あるいは真の善き婆羅門などを、勤めて擁護し、その十の法を皆増長させます。どのような十か。一つには寿命を増長し、二つには難を免れることを増長し、三つには病のないことを増長し、四つには眷属を増長し、五つには財宝を増長し、六つには資具を増長し、七つには自在を増長し、八つには名称を増長し、九つには善友を増長し、十つには智慧を増長します。大徳世尊よ。もしかの真の善き刹帝利の王、あるいは真の善き婆羅門などが、十悪の輪から自ら遠ざかり、また他者にも勧めて遠ざからせ、先に説いた諸々の功徳を備えるならば、私たちが擁護して、必ずこの十の法の増長を得させましょう。」
「復次,世尊!若有真善剎帝利王,乃至真善婆羅門等,成就如前所說功德,我等眷屬勤加擁護,令於十法皆得遠離。何等為十?一者、遠離一切怨家寇敵;二者、遠離一切非愛、色、聲、香、味、觸、境;三者、遠離一切障癘疾病;四者、遠離一切邪執惡見;五者、遠離一切邪妄歸依;六者、遠離一切邪惡災怪;七者、遠離一切邪惡事業;八者、遠離一切邪惡知識;九者、遠離一切居家淤泥;十者、遠離一切非時夭喪。大德!世尊!若彼真善剎帝利王,乃至真善婆羅門等,成前所說諸功德者,我等擁護,定當得此十法遠離。
「さらに、世尊よ。もし真に善いクシャトリヤの王、あるいは真に善いバラモンたちが、前に述べたような功徳を備えているならば、私たち眷属は精進して彼らを守り支え、次の十の事柄から遠ざけさせます。その十とは何か。第一に、すべての怨みを持つ敵や侵略者から遠ざけること。第二に、好ましくない色・声・香・味・触・対象から遠ざけること。第三に、すべての障りとなる疫病から遠ざけること。第四に、すべての邪な執着や悪しき見解から遠ざけること。第五に、すべての偽りの帰依から遠ざけること。第六に、すべての邪悪な災いや怪異から遠ざけること。第七に、すべての悪しき行いから遠ざけること。第八に、すべての悪しき知識から遠ざけること。第九に、すべての在家にまつわる泥沼から遠ざけること。第十に、すべての不慮の若死にから遠ざけることです。尊き方、世尊よ。もし真に善いクシャトリヤの王、あるいは真に善いバラモンたちが、先に述べたような功徳を成就しているならば、私たちが守り支えれば、必ずこの十の事柄から遠ざけられるでしょう。」
「復次,世尊!若有真善剎帝利王,具修如前所說功德令圓滿者,我等眷屬勤加擁護,令此帝王并諸眷屬及其國土一切人民,令於十法皆得遠離。何等為十?一者、遠離一切他國怨敵;二者、遠離一切自國怨敵;三者、遠離一切凶惡鬼神;四者、遠離一切諐陽亢旱;五者、遠離一切伏陰滯雨;六者、遠離一切非時寒熱、烈風、暴雨、霜雹、災害;七者、遠離一切惡星變怪;八者、遠離一切飢饉荒儉;九者、遠離一切非時病死;十者、遠離一切邪執惡見。大德世尊!若彼真善剎帝利王,具修如前所說功德令圓滿者,我等眷屬勤加擁護,令此帝王并諸眷屬及其國土一切人民,定當得此十法遠離。」
「さらに、世尊よ。もしも真に善い王がいて、先に述べた功徳を完全に身につけたならば、私たち眷属は力を尽くしてその王と、その家族、そして国土のすべての人々を守り、次の十の災いから遠ざけましょう。どのような十か。第一に、すべての他国からの敵から遠ざけること。第二に、すべての自国からの敵から遠ざけること。第三に、すべての凶悪な鬼神から遠ざけること。第四に、日照りや干ばつから遠ざけること。第五に、長く降り続く雨から遠ざけること。第六に、季節はずれの寒さや暑さ、激しい風、暴雨、霜、雹などの災害から遠ざけること。第七に、すべての悪い星の異変から遠ざけること。第八に、すべての飢饉や不作から遠ざけること。第九に、季節はずれの疫病による死から遠ざけること。第十に、すべての間違った執着や邪悪な見解から遠ざけること。大徳なる世尊よ。もしも真に善い王がいて、先に述べた功徳を完全に身につけたならば、私たち眷属は力を尽くしてその王と、その家族、そして国土のすべての人々を守り、必ずこの十の災いから遠ざけるでありましょう。」
爾時,世尊讚諸天帝及其眷屬,乃至一切畢舍遮帝及眷屬言:「善哉,善哉!汝等乃能發此誓願,此事皆是汝等應作。由是因緣,當令汝等長夜安樂。」
その時、世尊は諸々の天帝とその眷属、さらにはすべての畢舎遮(ピシャーチャ)の王とその眷属たちをほめて言われた。「よきかな、よきかな。あなたがたはよくこの誓いを立てた。これはまさにあなたがたのなすべきことである。この因縁によって、あなたがたは長きにわたり安らかに楽しく過ごすことができるであろう。」
爾時,天藏大梵復白佛言:「世尊!唯願聽我,為未來世此佛土中,一切真善剎帝利王,說能護國不退輪心大陀羅尼明呪章句。由此護國不退輪心大陀羅尼明呪章句威神力故,令未來世此佛土中,一切真善剎帝利王,不為一切怨敵惡友之所摧伏,能令一切怨敵惡友自然退散。能善護持身、語、意業,為諸智者常所稱讚,離諸惡法,常行善法,常離一切邪見、邪歸;常於大乘精進修行,勇猛堅固;常能成熟無量無數所化有情,智不依他,自然善巧,具能修行六到彼岸珍寶伏藏,遠離一切忿、慳、嫉等煩惱纏垢;常為一切人、非人等恭敬護念,諸有所為心無忘失,不捨有情,樂四攝事;常不遠離法器福田。」
時に、天蔵大梵が再び仏に申し上げた。「世尊よ、どうか私のお願いをお聞き入れください。未来のこの仏国土における、すべての真に善い刹帝利の王たちのために、国を守り退転しない心の大陀羅尼の明呪の章句を説くことをお許しください。この護国不退転心大陀羅尼明呪の章句の威神力によって、未来のこの仏国土におけるすべての真に善い刹帝利の王たちが、いかなる怨敵や悪友にも打ち負かされることなく、すべての怨敵や悪友を自然に退散させることができますように。また、身・語・意の業をよく守り保ち、智者たちから常に称賛され、あらゆる悪い法を離れ、常に善い法を行い、常にすべての邪見や邪帰依から離れられますように。常に大乗において精進して修行し、勇猛で確固たる者となり、常に無量無数の教化すべき有情を成熟させ、智慧は他に依らず自然に巧みであり、六波羅蜜という宝の蔵を修行し具えることができますように。そして、すべての怒り、慳吝、嫉妬などの煩悩の纏綿や垢を遠く離れ、常にすべての人や非人などから敬われ、護られ、念じられ、行うところのすべてに心に忘失なく、有情を捨てず、四摂事を楽しみ、常に法器や福田から遠ざかることがありませんように。」
佛言:「天藏!吾今恣汝為未來世此佛土中一切真善剎帝利王,說能護國不退輪心大陀羅尼明呪章句,由此護國不退輪心大陀羅尼明呪章句威神力故,令未來世此佛土中,一切真善剎帝利王,不為一切怨敵惡友之所摧伏,廣說乃至,常不遠離一切諸佛及佛弟子。」
仏が告げられた。「天蔵よ、今こそ、汝に許可を与えよう。未来の世において、この仏国土の中の、すべての真実に善い刹帝利(クシャトリヤ)の王たちのために、『国を護り、退転しない心の大陀羅尼の明呪の章句』を説くことを許す。この『国を護り、退転しない心の大陀羅尼の明呪の章句』の威神力によって、未来の世におけるこの仏国土の中の、すべての真実に善い刹帝利の王たちは、いかなる怨敵や悪友にも打ち負かされることがなく、さらに広く説けば、常に一切の諸仏や仏弟子から遠ざかることがないのである。」
爾時,天藏大梵即說護國不退輪心大陀羅尼明呪章句:
その時、天藏大梵が、国を守り退転せしめない心の大陀羅尼の明呪の章句を説きました。
「怛絰他(唐言謂)牟尼冐㘑(一)牟那揭臘茷(二)牟尼紇梨達曳(三)牟尼嚧訶毘折(常列反)隸(四)牟那曷栗制(五)牟尼笈謎(六)束訖羅博差(七)(初戒反)鉢邏奢博差(八)(初戒反)蜜羅博差(九)(初戒反)騷剌婆紇栗帝(十)妬剌拏紇栗折(章列反)隸(十一)鉢怛邏叉紇栗帝(十二)具具拏蜜隸(十三)唈(烏合反)茷叉薩隸(十四)遏怒訶祇𭌆茷(十五)牟尼鉢塔茷(十六)莎訶(唐言善說)」
「ただいとう(唐の言葉で「こう言う」)、 むにぼうれい(一) むなかつらばつ(二) むにきつりだつえい(三) むにろかびしゃ(「常列」の反切)れい(四) むなかつりせい(五) むにきゅうめい(六) そくきつらはくさ(七)(「初戒」の反切) はらしゃはくさ(八)(「初戒」の反切) みつらはくさ(九)(「初戒」の反切) そうらつばきつりてい(十) とらなきつりしゃ(「章列」の反切)れい(十一) はつたつらしゃきつりてい(十二) くくなみつれい(十三) おう(「烏合」の反切)ばつしゃされい(十四) あつぬかぎりばつ(十五) むにはつとうばつ(十六) そわか(唐の言葉で「善く説く」)」
天藏大梵說是呪已,復白佛言:「唯願世尊及諸大眾,於我所說大陀羅尼皆生隨喜。」
天蔵大梵がこの陀羅尼を唱え終えると、再び仏に向かって申し上げました。「どうか世尊とすべての皆さまが、私が説いたこの大陀羅尼に歓喜の心を抱いてくださいますように。」
世尊告曰:「善哉,善哉!」一切大眾亦作是言:「善哉,善哉!」
釈尊はおっしゃいました。「善いかな、善いかな。」すると、すべての大衆もまた口を揃えて言いました。「善いかな、善いかな。」
爾時,世尊復告尊者大目乾連,及告彌勒菩薩摩訶薩曰:「善男子!汝等皆應受持如是天藏大梵所說護國不退輪心大陀羅尼明呪章句,傳授未來此佛土中,一切真善剎帝利王,令自受持,及令流布。由是因緣,彼諸真善剎帝利王,并諸眷屬及國人民,一切皆得利益安樂;常轉法輪,名稱高遠,威德熾盛,摧滅邪見,建立正見,守護法眼,紹三寶種,皆令熾盛,無有斷絕。成熟無量、無邊有情。於大乘中堅固淨信,久住圓滿,能具修六波羅蜜多,斷一切障速到究竟。」
その時、世尊は再び尊者マハーマウドガリヤーヤナ、そして弥勒菩薩摩訶薩に告げられました。「善き者たちよ、あなたがたは、この天蔵大梵が説いた『護国不退輪心大陀羅尼』の真言の章句を受持し、未来においてこの仏国土に現れる、全ての真に善きクシャトリヤの王たちに、自ら受持させ、また広く流布させなさい。
この因縁によって、それらの真に善きクシャトリヤの王たちは、その眷属や国の民と共に、全てが利益と安楽を得るでしょう。常に法輪を転じ、その名声は高く遠くに届き、威徳は盛んになり、邪見を摧き滅ぼし、正見を建立し、法の眼を守り、仏・法・僧の三宝の種を継承し、それらを全て盛んにし、断絶させることがありません。
また、無量無辺の有情を成熟させ、大乗において堅固な清らかな信を獲得させ、長く円満に留まり、六波羅蜜多を完全に修習し、全ての障りを断ち切り、速やかに究竟の境地に至らせるのです。」
爾時,世尊重顯此義而說頌曰:
その時、世尊はこの教えの意味を改めて示すために、次のように詩で語られました。
「時天藏大梵, 請問兩足尊:
『利根等有情, 樂修定誦福;
聰慧王成法, 為升進沈淪?
所修三事中, 唯除惑不退?』
世尊告彼言: 『若犯無依行,
雖覺慧猛利, 而趣無間獄;
非真聰慧故, 樂行十惡輪,
斷滅諸善根, 速趣於地獄。
定能斷煩惱, 非聽誦福業,
故欲求涅槃, 常當修靜慮。
有慧勤精進, 護持我正法,
由敬信袈裟, 能渡煩惱海;
樂處空閑林, 遠造無間類,
敬持戒修定, 能渡諸有海;
普信敬三乘, 興隆我正法,
供養染衣者, 當成功德海;
能伏難調心, 不舉苾芻罪,
修知足聖種, 當成兩足尊。
遠離惡苾芻, 親近聖行處,
不食用僧物, 速證大菩提。
三界中安樂, 皆由三寶生,
故求安樂人, 常供養三寶。
旃荼羅王等, 朋黨惡苾芻,
於三寶起過, 速墮無間獄。
十壓油輪罪, 等彼一婬坊;
置彼十婬坊, 等一酒坊罪;
置十酒坊罪, 等彼一屠坊;
置彼十屠坊, 罪等王等一。
真善國王等, 興隆我正法,
普供養三乘, 當成功德海。
七寶滿贍部, 奉施佛及僧,
彼所獲福聚, 不如護佛法。
為佛僧造寺, 量等十四洲,
彼所獲福聚, 不如護佛法。
造佛窣堵波, 量等三千界,
彼所獲福聚, 不如護佛法。
解阿羅漢縛, 種種修供養,
不障我正法, 其福勝於彼。
千俱胝劫中, 智者勤修定,
所生勝覺慧, 不如護我法。
真善國王等, 遠離十惡輪,
護持我正法, 及著袈裟者,
不毀謗我說, 三乘法及人,
普聽聞供養, 護持說法者,
不損三寶物, 不障著袈裟,
常敬器非器, 福勝無倫匹。
如五日並現, 大海皆枯竭,
如是護我法, 能枯竭煩惱;
如風災起時, 諸山皆散滅,
如是護我法, 能除滅煩惱;
如水災起時, 大地皆漂壞,
如是護我法, 能壞非愛果;
如如意寶珠, 隨所願皆滿,
如是三乘法, 能滿眾生願;
如遇得賢瓶, 除貧獲富樂,
如是遇佛法, 滅惑證菩提;
如十五夜月, 明照滿虛空,
如是護法人, 智慧周法界;
如虛空平等, 無物亦無相,
如是護法人, 知諸法一味;
如日放光明, 恒除世間闇,
如是護法者, 常普照世間。』」
その時、天藏大梵が、 両足尊(世尊)に問うて言った。
「利根の人々など、 楽しく修行し、定を修め、福を積み、 聡明な王が法を成すのは、 昇進するためか、沈淪(迷い)のためか?
修行する三つの事の中で、 ただ惑いを除き、退かないというのは?」
世尊は彼に告げて言った。 「もし無依行を犯せば、 たとえ覚慧が猛利でも、 無間地獄に向かう。
真実の聡明ではないから、 楽しく十悪輪を行い、 諸々の善根を断ち滅ぼし、 速やかに地獄に向かう。
定(静慮)は煩悩を断つことができる。 聴聞や誦経や福業ではない。 故に涅槃を求めるならば、 常に静慮を修すべきである。
智慧ある者は、勤め励み精進し、 我が正法を護り持つ。 袈裟を敬い信じることで、 煩悩の海を渡ることができる。
楽しんで閑林に住し、 無間の類を遠く離れ、 戒を持ち定を修するを敬うことで、 諸有の海を渡ることができる。
普遍に三乗を信じ敬い、 我が正法を興隆し、 染衣の者を供養すれば、 当に功徳の海を成すであろう。
調え難き心を伏し、 比丘の罪を挙げず、 知足の聖種を修めれば、 当に両足尊を成すであろう。
悪い比丘を遠く離れ、 聖行の処に親しみ、 僧の物を用いず、 速やかに大菩提を証する。
三界の中の安楽は、 すべて三宝から生じる。 故に安楽を求める人は、 常に三宝を供養せよ。
旃荼羅の王など、 悪い比丘と朋党し、 三宝に過ちを起こせば、 速やかに無間地獄に堕ちる。
十の油を圧る輪の罪は、 一つの婬坊(遊女屋)に等しい。 十の婬坊を置く罪は、 一つの酒坊に等しい。 十の酒坊を置く罪は、 一つの屠坊に等しい。 十の屠坊を置く罪は、 王などの一つの罪に等しい。
真の善い王などは、 我が正法を興隆し、 普遍に三乗を供養すれば、 当に功徳の海を成すであろう。
七宝をもって閻浮提を満たし、 仏と僧に奉施しても、 彼の得る福の集まりは、 法を護るには及ばない。
仏と僧のために寺を造り、 量が十四洲に等しくても、 彼の得る福の集まりは、 法を護るには及ばない。
仏の卒塔婆を造り、 量が三千界に等しくても、 彼の得る福の集まりは、 法を護るには及ばない。
阿羅漢の縛りを解き、 種々に修めて供養しても、 我が正法を障げなければ、 その福はそれらに勝る。
千倶胝劫の間に、 智者が勤めて定を修め、 生ずる勝れた覚慧も、 我が法を護るには及ばない。
真の善い王などは、 十悪輪を遠く離れ、 我が正法を護り持ち、 袈裟を著る者たちと共に、 我が説を毀謗せず、 三乗の法と人々を、 普遍に聴聞し供養し、 説法者を護り持ち、 三宝の物を損なわず、 袈裟を著る者を障げず、 常に器も非器も敬えば、 その福は比べるものがない。
五つの日が同時に現われれば、 大海はみな枯れ尽きる。 このように我が法を護る者は、 煩悩を枯れ尽くすことができる。
風災が起こる時、 諸々の山はみな散り滅びる。 このように我が法を護る者は、 煩悩を除き滅ぼすことができる。
水災が起こる時、 大地はみな漂い壊される。 このように我が法を護る者は、 愛でない果報を壊すことができる。
如意宝珠のように、 願いに従ってみな満たす。 このように三乗の法は、 衆生の願いを満たすことができる。
賢い瓶を得たように、 貧しさを除き富楽を得る。 このように仏法に遇えば、 惑いを滅し菩提を証する。
十五夜の月のように、 明らかに虚空を照らし満たす。 このように法を護る人は、 智慧が法界に周る。
虚空が平等であるように、 物もなく相もない。 このように法を護る人は、 諸法の一味を知る。
太陽が光明を放ち、 常に世間の暗を除くように、 このように法を護る者は、 常に世間を普く照らす。」