妙法蓮華經從地踊出品第十五
妙法蓮華経 従地涌出品 第十五
爾時他方國土諸來菩薩摩訶薩,過八恒河沙數,於大眾中起立,合掌作禮而白佛言:「世尊!若聽我等,於佛滅後,在此娑婆世界,懃加精進,護持、讀誦、書寫、供養是經典者,當於此土而廣說之。」
その時、他の国土から来られた菩薩摩訶薩たち、八つのガンジス川の砂の数ほどが、大衆の中から立ち上がり、合掌して礼をし、仏に申し上げました。
「世尊よ、もし私たちをお許しいただけるならば、仏が滅された後、この娑婆世界において、精進に励み、この経典を護持し、読誦し、書写し、供養いたします。そして、この土地で広く説き示してまいります。」
爾時佛告諸菩薩摩訶薩眾:「止,善男子!不須汝等護持此經。所以者何?我娑婆世界自有六萬恒河沙等菩薩摩訶薩,一一菩薩各有六萬恒河沙眷屬,是諸人等,能於我滅後,護持、讀誦、廣說此經。」
その時、仏は諸菩薩・摩訶薩たちに告げられた。 「止めよ、善男子よ。あなた方がこの経典を護持する必要はない。 なぜなら、この娑婆世界には、すでに六万の恒河の砂の数ほどの菩薩・摩訶薩がいるからだ。 それぞれの菩薩には、六万の恒河の砂の数ほどの眷属がいる。 これらの人々は、私が滅した後、この経典を護持し、読誦し、広く説くことができるのだ。」
佛說是時,娑婆世界三千大千國土地皆震裂,而於其中,有無量千萬億菩薩摩訶薩同時踊出。是諸菩薩,身皆金色,三十二相,無量光明,先盡在此娑婆世界之下、此界虛空中住。是諸菩薩,聞釋迦牟尼佛所說音聲,從下發來。一一菩薩皆是大眾唱導之首,各將六萬恒河沙眷屬;況將五萬、四萬、三萬、二萬、一萬恒河沙等眷屬者;況復乃至一恒河沙、半恒河沙、四分之一、乃至千萬億那由他分之一;況復千萬億那由他眷屬;況復億萬眷屬;況復千萬、百萬、乃至一萬;況復一千、一百、乃至一十;況復將五、四、三、二、一弟子者;況復單己,樂遠離行。如是等比,無量無邊,算數譬喻所不能知。
その時、お釈迦さまがこうお話しになると、この娑婆世界の三千大千世界の大地はすべて震え割れ、その中から無量無辺の菩薩摩訶薩たちが同時に湧き出ました。
これらの菩薩たちは、みな金色の身体に三十二相を備え、限りない光明を放ち、これまでずっとこの娑婆世界の下、この世界の虚空の中にお住まいになっていました。彼らは、釈迦牟尼仏のお説法の声を聞き、下から上がって来られたのです。
お一人お一人の菩薩は、みな大衆を導くリーダーであり、それぞれ六万ガンジス河の砂の数ほどのお弟子たちをお連れになっていました。五万、四万、三万、二万、一万ガンジス河の砂の数ほどのお弟子たちをお連れの方もおられ、さらに一ガンジス河の砂の数、半ガンジス河の砂の数、四分の一、はては千万億那由他分の一ほどのお弟子たちをお連れの方もおられました。
千万億那由他ほどのお弟子たちをお連れの方、億万ほどのお弟子たちをお連れの方、千万、百万、はては一万ほどのお弟子たちをお連れの方もおられ、さらに一千、一百、はては十人ほどのお弟子たちをお連れの方、五人、四人、三人、二人、一人のお弟子をお連れの方もおられました。また、ただお一人で、ひたすら静かな修行を志す方もおられました。
このように、その数は無量無辺で、算数やたとえをもってしても知り尽くすことはできません。
是諸菩薩從地出已,各詣虛空七寶妙塔多寶如來、釋迦牟尼佛所。到已,向二世尊頭面禮足,及至諸寶樹下師子座上佛所,亦皆作禮,右繞三匝,合掌恭敬,以諸菩薩種種讚法而以讚歎,住在一面,欣樂瞻仰於二世尊。是諸菩薩摩訶薩,從初踊出,以諸菩薩種種讚法而讚於佛,如是時間,經五十小劫。是時釋迦牟尼佛默然而坐,及諸四眾亦皆默然五十小劫;佛神力故,令諸大眾謂如半日。
これらの菩薩たちが地から湧き出た後、それぞれ虚空にある七宝の妙塔、多宝如来と釈迦牟尼仏のもとへ赴きました。到着すると、二尊の世尊に頭面接足礼をし、さらに諸々の宝樹の下の師子座に坐す仏のもとにも行き、同じく礼拝しました。右に三回巡り、合掌して恭しく、菩薩たちのさまざまな讃嘆の法をもって讃嘆し、一側に立ち、欣び楽しんで二尊の世尊を仰ぎ見ました。これらの菩薩摩訶薩は、初めに踊り出てから、菩薩たちのさまざまな讃嘆の法をもって仏を讃嘆し、そのような時間が五十小劫に及びました。その時、釈迦牟尼仏は黙然として坐し、また四衆の人々も皆、五十小劫の間、黙然としていました。仏の神力によって、大衆にはまるで半日のように感じられたのです。
爾時四眾,亦以佛神力故,見諸菩薩遍滿無量百千萬億國土虛空。是菩薩眾中有四導師:一名上行,二名無邊行,三名淨行,四名安立行。是四菩薩,於其眾中最為上首唱導之師,在大眾前,各共合掌,觀釋迦牟尼佛而問訊言:「世尊!少病、少惱,安樂行不?所應度者,受教易不?不令世尊生疲勞耶?」
その時、四つの集いの人々もまた、仏の神力によって、無量の百千万億の国土の虚空に菩薩たちが満ちわたっているのを見た。この菩薩の集いの中に、四人の導師がいた。一人目は上行、二人目は無辺行、三人目は浄行、四人目は安立行という。この四人の菩薩は、その集いの中で最も優れた指導者であり、大衆の前でそれぞれ合掌し、釈迦牟尼仏を仰ぎ見て、こう問いかけた。「世尊よ、お体はお疲れなく、悩みもなく、安らかにお過ごしでしょうか。お導きになるべき人々は、教えを素直に受け入れていますか。世尊にご負担をおかけしてはいませんか。」
爾時四大菩薩而說偈言:
その時、四人の大菩薩が次のように偈を詠んだ。
「世尊安樂, 少病少惱, 教化眾生,
得無疲惓。 又諸眾生, 受化易不?
不令世尊, 生疲勞耶?」
世尊はお元気でいらっしゃいますか。 お体に障りはなく、心の悩みも少なくお過ごしでしょうか。 諸々の衆生を教え導くことに、お疲れになることはございませんか。
また、あの者たちは教えを受け入れやすいのでしょうか。 世尊を疲れさせたりはしておりませんか。
爾時世尊,於菩薩大眾中而作是言:「如是,如是!諸善男子!如來安樂,少病、少惱;諸眾生等,易可化度,無有疲勞。所以者何?是諸眾生,世世已來常受我化,亦於過去諸佛供養尊重,種諸善根。此諸眾生,始見我身,聞我所說,即皆信受入如來慧;除先修習學小乘者。如是之人,我今亦令得聞是經,入於佛慧。」
その時、世尊は菩薩たちに向かってこうおっしゃいました。「その通り、その通りです。善き息子たちよ。如来は安らかで、病も悩みもほとんどありません。また、多くの衆生たちは教え導きやすく、疲れることもありません。なぜなら、これらの衆生は、何度も生まれ変わる中で、常に私の教えを受けてきたからです。また、過去の諸仏に供養し、敬い、多くの善根を培ってきました。これらの衆生は、初めて私の姿を見て、私の説法を聞くと、すぐにそれを受け入れ、如来の智慧に入ることができます。ただし、以前から小乗を学び実践してきた者は別です。そのような人々に対しても、私は今、この経典を聞かせて悟りの智慧に入らせようとしているのです。」
爾時諸大菩薩而說偈言:
その時、偉大なる菩薩たちが偈を唱えた。
「善哉善哉! 大雄世尊! 諸眾生等,
易可化度。 能問諸佛, 甚深智慧,
聞已信行, 我等隨喜。」
「素晴らしい、素晴らしい。偉大なる勇者の世尊よ。全ての生きとし生けるものは、たやすく導き教えられることができます。彼らは諸仏に、極めて深い智慧(プラジュニャー)について問いかけ、それを聞いて、信じ実践するのです。私たちもまた、そのことを喜びとします。」
於時世尊讚歎上首諸大菩薩:「善哉,善哉!善男子!汝等能於如來發隨喜心。」
その時、世尊は上首の諸々の大菩薩たちを称賛して言われた。「善きかな、善きかな。善き人々よ。あなたがたは如来に対して喜びの心を起こすことができた。」
爾時彌勒菩薩及八千恒河沙諸菩薩眾,皆作是念:「我等從昔已來,不見不聞如是大菩薩摩訶薩眾,從地踊出,住世尊前,合掌、供養,問訊如來。」
その時、弥勒菩薩と八千のガンジス川の砂の数のような菩薩たちは、皆こう思いました。「私たちはこれまで、これほど多くの大菩薩たちが地から湧き出て、世尊の前に立ち、合掌し、供養し、如来に安否を問うのを見たことも聞いたこともありません。」
時彌勒菩薩摩訶薩,知八千恒河沙諸菩薩等心之所念,并欲自決所疑,合掌向佛,以偈問曰:
弥勒菩薩(大菩薩)は、八千のガンジス川の砂ほどの数の菩薩たちの心に思うこと、そして自らも疑惑を解きたいと思い、合掌して仏に向かい、偈をもって問いかけた。「
「無量千萬億, 大眾諸菩薩,
昔所未曾見, 願兩足尊說,
是從何所來, 以何因緣集?
巨身大神通, 智慧叵思議,
其志念堅固, 有大忍辱力,
眾生所樂見, 為從何所來?
一一諸菩薩, 所將諸眷屬,
其數無有量, 如恒河沙等。
或有大菩薩, 將六萬恒沙,
如是諸大眾, 一心求佛道。
是諸大師等, 六萬恒河沙,
俱來供養佛, 及護持是經。
將五萬恒沙, 其數過於是。
四萬及三萬、 二萬至一萬,
一千一百等, 乃至一恒沙、
半及三四分, 億萬分之一,
千萬那由他, 萬億諸弟子,
乃至於半億, 其數復過上。
百萬至一萬, 一千及一百,
五十與一十, 乃至三二一,
單己無眷屬, 樂於獨處者,
俱來至佛所, 其數轉過上。
如是諸大眾, 若人行籌數,
過於恒沙劫, 猶不能盡知。
是諸大威德, 精進菩薩眾,
誰為其說法, 教化而成就?
從誰初發心? 稱揚何佛法?
受持行誰經? 修習何佛道?
如是諸菩薩, 神通大智力,
四方地震裂, 皆從中踊出。
世尊我昔來, 未曾見是事,
願說其所從, 國土之名號。
我常遊諸國, 未曾見是眾,
我於此眾中, 乃不識一人,
忽然從地出, 願說其因緣。
今此之大會, 無量百千億,
是諸菩薩等, 皆欲知此事。
是諸菩薩眾, 本末之因緣,
無量德世尊, 唯願決眾疑。」
「無数の菩薩の大いなる集いが、 かつて見たこともないほど集まっています。尊き方よ、どうかお教えください。 彼らはどこから来たのでしょうか? どのような因縁で集まったのでしょうか? 巨大な体と大いなる神通力を持ち、その智慧は計り知れません。 その志は堅固で、大いなる忍辱の力を持ち、 多くの人々に慕われています。彼らはどこから来たのでしょうか? 一人ひとりの菩薩が連れてきた眷属の数は、 ガンジス川の砂のように無量です。 ある大菩薩は六万ものガンジス川の砂ほどの眷属を連れ、 そのように多くの人々が一心に仏道を求めています。 これらの大師たちは、六万のガンジス川の砂のように集まり、 皆、仏を供養し、この経典を護持するために来ました。 五万のガンジス川の砂のほどの者も、その数はさらに増えます。 四万、三万、二万、一万、 一千、一百など、さらに一つのガンジス川の砂の半分、三分の一、四分の一、 億万分の一、千万那由他、万億の弟子たち、 さらには半分の億、その数もまた上回ります。 百万から一万、一千から一百、 五十から十、さらに三、二、一、 独りで眷属を持たず、静かな場所を好む者たちも、 皆、仏のもとに集まってきます。その数はさらに増えます。 このような大衆を、もし人が籌(割り符)で数えようとすれば、 ガンジス川の砂ほどの劫を超えても、知り尽くすことはできません。 これらの大威徳ある勤勉な菩薩たちは、 誰が彼らのために法を説き、教え導き、成就させたのでしょうか? 誰のもとで初めて発心したのでしょうか? どのような仏法を称え広めたのでしょうか? どの経典を受持し修行したのでしょうか? どのような仏道を修習したのでしょうか? これらの菩薩たちの大いなる神通力と智慧の力によって、 四方の大地が裂け、彼らは皆そこから踊り出てきました。 世尊よ、私はこれまでこのようなことを見たことがありません。 どうか彼らの出身地と国名をお教えください。 私は常に様々な国を巡っていましたが、このような衆生を見たことはありません。 私はこの集いの中の一人も知りません。 彼らが突然地から現れたのは、どのような因縁によるのでしょうか? 今この大いなる集会には、無量百千億の菩薩たちがいますが、 皆、このことを知りたいと望んでいます。 これらの菩薩たちの因縁の始まりと終わりについて、 無量の徳を備えた世尊よ、どうか私たちの疑惑を解いてください。」
爾時釋迦牟尼分身諸佛,從無量千萬億他方國土來者,在於八方諸寶樹下,師子座上,結加趺坐。其佛侍者,各各見是菩薩大眾,於三千大千世界四方,從地踊出,住於虛空。各白其佛言:「世尊!此諸無量無邊阿僧祇菩薩大眾,從何所來?」
その時、釈迦牟尼仏が分身させた多くの仏たちは、無数の億もの他方の国々から来て、八方の宝樹の下、獅子の座に結跏趺坐していた。それぞれの仏の侍者たちは、この菩薩の大衆が三千大千世界の四方から地より湧き出で、虚空に留まるのを見て、各自が自分の仏に申し上げた。「世尊よ、この無量無辺・阿僧祇もの菩薩の大衆は、どこから来られたのでしょうか?」
爾時諸佛各告侍者:「諸善男子!且待須臾,有菩薩摩訶薩,名曰彌勒——釋迦牟尼佛之所授記,次後作佛——以問斯事,佛今答之,汝等自當因是得聞。」
その時、諸々の仏はそれぞれの従者に告げられました。「善き者たちよ、しばらく待ちなさい。弥勒という名の大菩薩がいる。彼は釈迦牟尼仏から未来に仏となるという記別(未来成仏の保証)を受けており、次の時代に仏となる者である。今、この者がそのことについて質問をしているので、仏がそれに答えようとしている。あなたがたは、それによって自然とこの教えを聞くことができるだろう。」
爾時釋迦牟尼佛告彌勒菩薩:「善哉,善哉!阿逸多!乃能問佛如是大事。汝等當共一心,被精進鎧,發堅固意,如來今欲顯發宣示諸佛智慧、諸佛自在神通之力、諸佛師子奮迅之力、諸佛威猛大勢之力。」
その時、釈迦牟尼仏は弥勒菩薩に告げられました。「善いかな、善いかな。阿逸多よ、あなたはよくもこのような大事を仏に問うてくれた。あなたがたは皆、心を一つにし、精進の鎧を身に着け、揺るぎない決意を起こしなさい。如来は今、諸仏の智慧、諸仏の自在なる神通の力、諸仏の獅子奮迅の力、諸仏の威猛なる大勢の力を、明らかに示そうとしているのだ。」
爾時世尊欲重宣此義,而說偈言:
その時、世尊はこの意味を重ねて説き明かそうとして、偈を唱えられた。
「當精進一心, 我欲說此事,
勿得有疑悔, 佛智叵思議。
汝今出信力, 住於忍善中,
昔所未聞法, 今皆當得聞。
我今安慰汝, 勿得懷疑懼,
佛無不實語, 智慧不可量。
所得第一法, 甚深叵分別,
如是今當說, 汝等一心聽。」
「よく心をひとつにし、精進しなさい。 これより、このことを説こう。 疑いや悔いを抱いてはならない。仏の智慧は、思い計ることのできないものだからだ。
あなたがたは、今こそ信の力を起こし、忍びと善に安住しなさい。 かつて聞いたことのない法を、今まさに聞くこととなるだろう。
わたしは今、あなたがたをなだめている。疑いや恐れを抱いてはならない。 仏に偽りの言葉はなく、その智慧は計り知れない。
得るところの第一の法は、極めて深く、分別しがたい。 これを今まさに説こう。あなたがたは心をひとつにして聞きなさい。」
爾時世尊說此偈已,告彌勒菩薩:「我今於此大眾,宣告汝等。阿逸多!是諸大菩薩摩訶薩,無量無數阿僧祇,從地踊出,汝等昔所未見者,我於是娑婆世界得阿耨多羅三藐三菩提已,教化示導是諸菩薩,調伏其心,令發道意。此諸菩薩,皆於是娑婆世界之下、此界虛空中住;於諸經典,讀誦通利,思惟分別,正憶念。阿逸多!是諸善男子等,不樂在眾多有所說;常樂靜處,懃行精進未曾休息;亦不依止人天而住。常樂深智,無有障礙,亦常樂於諸佛之法,一心精進,求無上慧。」
その時、世尊はこの偈を説き終えて、弥勒菩薩に告げられた。 「私は今、この大衆の中であなたたちに宣言する。阿逸多(弥勒)よ、これらの大菩薩、無量・無数の阿僧祇の菩薩たちが地から湧き出てきた。あなたたちがこれまでに見たことのない者たちだ。私はこの娑婆世界で阿耨多羅三藐三菩提(無上正等覚)を得てから、これらの菩薩たちを教化し導き、その心を調伏して、道心を起こさせてきたのだ。
これらの菩薩たちは皆、この娑婆世界の下、この世界の虚空の中に住んでいる。そして、あらゆる経典を読み誦し、完全に理解し、よく考え分別し、正しく心に念じている。
阿逸多よ、これらの善き人々は、大勢の群衆の中にいて多くを語ることを好まない。常に静かな場所を好み、精進に励み、休むことがない。また、人や天に依り住むこともない。常に深い智慧を楽しみ、何の障害もない。そして、常に諸仏の教えを楽しみ、一心に精進して、無上の智慧を求めているのだ。」
爾時世尊欲重宣此義,而說偈言:
その時、世尊はこの意味を重ねて説き明かそうとして、偈を唱えられた。
「阿逸汝當知! 是諸大菩薩,
從無數劫來, 修習佛智慧,
悉是我所化, 令發大道心。
此等是我子, 依止是世界,
常行頭陀事, 志樂於靜處,
捨大眾憒閙, 不樂多所說。
如是諸子等, 學習我道法,
晝夜常精進, 為求佛道故,
在娑婆世界, 下方空中住。
志念力堅固, 常懃求智慧,
說種種妙法, 其心無所畏。
我於伽耶城, 菩提樹下坐,
得成最正覺, 轉無上法輪。
爾乃教化之, 令初發道心,
今皆住不退, 悉當得成佛。
我今說實語, 汝等一心信,
我從久遠來, 教化是等眾。」
「阿逸よ、汝は知るべし。これらの菩薩たちは、 数え切れないほどの前世から、仏の智慧を修行してきた。 彼らはすべて、私が教化し、大いなる悟りへの心を起こさせた者たちだ。 これらの者たちは、私の子であり、この世界に依りどころを得て、 常に托鉢などの修行に励み、静かな場所に身を置くことを好み、 大勢での混乱を避け、多くを語ることを好まない。 このような我が子たちは、私の教えと道を学び、 日夜常に精進し、仏道を求める。 彼らは娑婆世界の下方の虚空に住み、 その意志と記憶の力は強固で、常に智慧を求め、 様々な見事な教えを説き、その心に何の恐れもない。 私は伽耶城の菩提樹の下に座り、 最高の悟りを成就し、無上の真理の教えを説いた。 その時に彼らを教化し、初めて悟りの心を起こさせた。 今や彼らは皆、退転しない境地に留まり、必ずや仏となるだろう。 私は今、真実の言葉を語る。汝らは一心に信じなさい。 私は遠い昔から、これらの者たちを教化してきたのだ。」
爾時,彌勒菩薩摩訶薩及無數諸菩薩等,心生疑惑,怪未曾有,而作是念:「云何世尊於少時間、教化如是無量無邊阿僧祇諸大菩薩,令住阿耨多羅三藐三菩提?」即白佛言:「世尊!如來為太子時,出於釋宮,去伽耶城不遠,坐於道場,得成阿耨多羅三藐三菩提。從是已來,始過四十餘年。世尊!云何於此少時,大作佛事,以佛勢力、以佛功德,教化如是無量大菩薩眾,當成阿耨多羅三藐三菩提?
その時、弥勒菩薩摩訶薩および無数の菩薩たちは、心に疑惑を抱き、かつてないことだと驚き、こう考えました。
「なぜ世尊は、わずかな時間で、このように計り知れないほどの無数の大菩薩たちを導き、無上正等覚(阿耨多羅三藐三菩提)に至らせることができるのだろうか?」
そこで、仏に申し上げました。
「世尊よ。如来はかつて太子のころ、釈迦族の宮殿を出られ、伽耶城から遠くない場所で道場に坐り、無上正等覚を成就されました。それからまだ四十余年しか経っていません。世尊よ。どうしてこのわずかな時間で、これほど大きな仏の事業を行い、仏の力と仏の功徳によって、このように無数の大菩薩たちを導き、彼らを無上正等覚へと向かわせることができるのでしょうか?」
「世尊!此大菩薩眾,假使有人於千萬億劫數不能盡,不得其邊。斯等久遠已來,於無量無邊諸佛所,殖諸善根,成就菩薩道,常修梵行。世尊!如此之事,世所難信。譬如有人,色美髮黑,年二十五,指百歲人,言:『是我子。』其百歲人,亦指年少,言:『是我父,生育我等。』是事難信。佛亦如是,得道已來,其實未久,而此大眾諸菩薩等,已於無量千萬億劫,為佛道故,懃行精進,善入出住無量百千萬億三昧,得大神通,久修梵行,善能次第習諸善法,巧於問答,人中之寶,一切世間甚為希有。今日世尊方云:『得佛道時,初令發心,教化示導,令向阿耨多羅三藐三菩提。』世尊得佛未久,乃能作此大功德事。我等雖復信佛隨宜所說,佛所出言未曾虛妄,佛所知者皆悉通達。然諸新發意菩薩,於佛滅後,若聞是語,或不信受,而起破法罪業因緣。唯然,世尊!願為解說,除我等疑,及未來世諸善男子聞此事已,亦不生疑。」
「世尊、この大菩薩の皆さま方は、たとえ誰かが千万億劫もの間、数え続けても到底数え尽くせず、その限りを知ることができません。これらの方々は、遠い昔から無量無辺の諸仏のもとで、善根を培い、菩薩道を成就し、常に清らかな修行(梵行)を積んでこられました。世尊、このようなことは、世の人々にとって信じがたいことです。たとえば、ある人が髪も黒く色艶も良く、二十五歳でありながら、百歳の人を指して『この者は私の子だ』と言い、その百歳の人もまた若者を指して『この者は我が父であり、私を生み育てた』と言うようなもので、これは到底信じがたいことです。仏様もまた同じで、悟りを得られてから実際にはまだ間もないのに、この大菩薩の皆さま方は、すでに無量千万億劫もの間、仏道のために熱心に精進し、無量百千万億の三昧に自在に入り、出、留まり、大いなる神通力を得て、長く清らかな修行を積み、善法を順序よく学び、問答にも巧みで、人の中の宝、一切の世間において極めて稀有な存在でいらっしゃいます。ところが今日、世尊は『悟りを開かれた時に、初めて彼らに発心させ、教え導いて、無上正等正覚(阿耨多羅三藐三菩提)に向かわせた』とおっしゃいます。世尊が悟りを開かれて間もないとはいえ、これほどの大きな功徳の業をなされたのです。私たちは、仏がその時々に応じて説かれる教えを信じ、仏の言葉に虚偽はなく、仏のご認識はすべて的確であると理解しています。しかし、新たに発心した菩薩たちは、仏の滅後、この言葉を聞けば、あるいは信じ受け入れず、破法の罪業を起こす因縁となるかもしれません。どうか、世尊、私たちのために解説し、私たちの疑問を除いてください。また、未来世の善男子たちが、この事を聞いても疑いを生じないようにしてください。」
爾時彌勒菩薩欲重宣此義,而說偈言:
その時、弥勒菩薩はこの教えの意味を改めて伝えようとして、次のような偈を説かれました。
「佛昔從釋種, 出家近伽耶,
坐於菩提樹, 爾來尚未久。
此諸佛子等, 其數不可量,
久已行佛道, 住於神通力,
善學菩薩道, 不染世間法,
如蓮華在水, 從地而踊出。
皆起恭敬心, 住於世尊前。
是事難思議, 云何而可信?
佛得道甚近, 所成就甚多,
願為除眾疑, 如實分別說。
譬如少壯人, 年始二十五,
示人百歲子, 髮白而面皺,
是等我所生; 子亦說是父。
父少而子老, 舉世所不信。
世尊亦如是, 得道來甚近。
是諸菩薩等, 志固無怯弱,
從無量劫來, 而行菩薩道,
巧於難問答, 其心無所畏,
忍辱心決定, 端正有威德,
十方佛所讚。 善能分別說,
不樂在人眾, 常好在禪定,
為求佛道故, 於下空中住。
我等從佛聞, 於此事無疑,
願佛為未來, 演說令開解。
若有於此經, 生疑不信者,
即當墮惡道。 願今為解說,
是無量菩薩, 云何於少時,
教化令發心, 而住不退地?」
「かつて仏は釈迦の家系を出て、 伽耶の近くで出家なされ、 菩提樹の下にお座りになってから、 まだ日も浅いことでございます。
ところが、この菩薩たちの数は計り知れず、 長らく仏道を修行し、 神通力を備え、 菩薩の道をよく学び、 世間の汚れに染まることがありません。 それはまるで、水中の蓮の花が 泥から出て、清らかに咲くかのようです。 彼らは皆、敬いの心を起こし、 世尊の前に立っております。
このことは、思いもよらず不思議で、 どうして信じることができましょうか? 仏が悟りを得られたのはごく最近なのに、 成し遂げられたことは非常に多いのです。 どうか、私たちの疑問を取り除き、 ありのままに説き明かしてください。
たとえば、若くて元気な人が まだ二十五歳でありながら、 白髪で顔にしわのある百歳の子を見せて、 『この子は私が生んだ』と言い、 その子もまた『この方が父です』と言うとすれば、 父は若くて子は年老いており、 世の中の誰も信じないでしょう。
世尊もそのようなものです。 悟りを得られてからの期間はごく最近です。 それなのに、これらの菩薩たちは 志が堅く、弱気なところがなく、 無量の劫の昔から 菩薩の道を歩み、 難しい問答にも巧みで、 心に恐れるところがなく、 忍辱の心は確固としており、 端正で威徳を備え、 十方の仏に称賛されております。 また、よく分別して説き、 人々の集まりを好まず、 常に禅定を楽しまれ、 仏道を求めるがゆえに 空の住処に留まっておられます。
私たちは仏のお言葉を聞いて、 このことに疑いはありません。 どうか仏は、未来の衆生のためにも 説き明かして、理解させてください。 もしこの経に疑いを持ち信じない者がいれば、 すぐに悪道に堕ちるでしょう。 今こそお示しください。 この無量の菩薩たちを、 どうしてわずかな時間で 教え導き、心を起こさせ、 不退の位に留まらせることができたのかを。」