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法界次第初門 (法界次第初門)


五戒初門第十四

第十四章 五戒の初歩

一不殺生戒 二不偷盜戒 三不邪婬戒四不妄語戒 五不飲酒戒

**五戒(ごかい)**

1. 生き物を殺さない 2. 盗まない 3. 不適切な性行為をしない 4. 嘘をつかない 5. 酒を飲まない

次三歸而辨五戒者。大智度論云。念佛如醫王。念法如服藥。念僧如瞻病人。念戒如藥禁忌。今所以次三歸而明諸戒品。意在此也。故佛為提謂等在家弟子。受三歸已。即授五戒。為優婆塞。若在家佛弟子。破此五戒則非清信士女。故經云。五戒者天下大禁忌。若犯五戒。在天則違五星。在地則違五嶽。在方則違五帝。在身則違五藏。如是等世間違犯無量。若約出世。犯五戒者。則破五分法身一切佛法。所以者何。五戒是一切大小乘尸羅根本。若犯五戒。則不得更受大小乘戒也。若能堅持。即是五大施也。此五通名戒者。以防止為義。能防惡律儀無作之非。止三業所起之惡。故名防止。

三帰の後に五戒を説く理由は、『大智度論』にこうあります。「仏を薬の師(医王)のように念じ、法を服薬のように念じ、僧を見舞う人のように念じ、戒を薬の禁忌のように念じる」と。今、三帰に次いで諸々の戒の品を明らかにする意図は、まさにここにあります。それゆえ、仏は提謂(たいい)などの在家の弟子たちに、三帰を受けた後、すぐに五戒を授け、優婆塞(うばそく)とされました。もし在家の仏弟子がこの五戒を破れば、清信士・清信女(清らかな信者)ではなくなります。ゆえに経典には「五戒とは、天下の大いなる禁忌である」と説かれています。もし五戒を犯せば、天においては五星に背き、地においては五岳に背き、方角においては五帝に背き、身においては五臓に背くことになります。このように世間的にも無量の違反があります。また、出世間の観点から言えば、五戒を犯す者は、五分法身(戒・定・慧・解脱・解脱知見)のすべての仏法を破ることになります。なぜなら、五戒は大小乗すべての戒律(屍羅)の根本だからです。もし五戒を犯せば、さらに大乗戒・小乗戒を受けることはできません。もし堅く持ちこたえることができれば、それは五大施(五つの大きな布施)となります。この五つを総じて「戒」と名づけるのは、「防ぐ」「止める」という意味によるものです。すなわち、悪い律儀や無作(意志を伴わない行為)の過ちを防ぎ、身・口・意の三業から起こる悪を止める。ゆえに「防止」と呼ぶのです。

一不殺生戒 云何名殺生。若實知是眾生。發心欲殺而奪其命。起身業有作已。是名殺罪。若不作是事。名不殺戒。其餘繫閉鞭打等。是殺方便非正罪。

一、不殺生の戒め 殺生とは何か。それが生きものであるとはっきり知りながら、殺そうという心を起こし、その命を奪うこと。そして、実際に体を使って殺しの行為を成し遂げた場合、これを殺生の罪という。 このようなことを行わないのが、不殺生の戒めである。 なお、縛ったり閉じ込めたり、鞭で打つといった行為は殺生への助走路であり、戒の根本的な罪にはならない。

二不偷盜戒 云何名盜。知他物生盜心。取物去離本處物屬我。是名盜。若不作是事。名不偷盜戒。其餘計校乃至手捉未離地等。是盜方便非正罪。

二、不盗む戒 盗みとは何か。相手のものであると知りながら、盗もうという心を起こし、その物を元の場所から取り去って「自分のものにした」と思うこと、これを盗みという。 もしこのようなことをしなければ、それが不盗む戒である。 なお、考えを巡らせたり、手で持っても地面から離さないなどの行為は、盗みの準備段階であり、本体の罪にはならない。

三不邪婬戒 云何名邪婬。若女人為父母兄弟姊妹夫主兒子。世間法王法守護。若出家戒法護。乃至自婦受一日戒法。若有娠乳兒。及非道處。如是犯者。名為邪婬。若不作是事。名不邪婬戒其餘言戲。以物相要。乃至捉手觸身。未遂婬事。皆為邪婬方便非正罪。

三不邪婬戒(よこしまな男女の交わりをしてはいけないという戒め) 何をもって「邪婬」とするのか。 もし女性が、父母・兄弟・姉妹・夫・子どもによって保護されている場合、または社会の法律や国の決まりによって守られている場合、あるいは出家者としての戒律によって護られている場合—— たとえ自分の妻であっても、一日戒を受けている間、妊娠中や授乳中、また正常でない方法での交わりは、すべてこれを犯すことを「邪婬」という。 これらの行為を一切行わないことが、「不邪婬戒」である。 なお、言葉の冗談や、物をもって誘うこと、手を握ったり体に触れたりするなど、実際の婬行に至らなかったものは、すべて邪婬への「方便(準備行為・未遂)」であり、正しい罪(正式な戒律違反)とはしない。

四不妄語戒 云何名妄語。不淨心欲誑他。隱覆實事。出異語生口業。是名妄語。若不作是事。名不妄語戒。妄語之罪。從言聲相解生。若不相解。雖不實語。皆是妄語方便。不謂正罪。

四つの不妄語戒について。妄語とは何か。清らかでない心で、他人を欺こうとして、真実を隠し、事実と異なる言葉を発し、言葉による悪業を生むことである。これを妄語という。このようなことを行わないことが、不妄語戒である。妄語の罪は、言葉とその意味が相手に理解されることによって成立する。もし相手が理解しなければ、たとえ真実でない言葉を語っても、それは妄語を企てる方便(準備行為)であり、本来の罪そのものとはならない。

五不飲酒戒 云何名酒。酒有三種。一者穀酒。二者果酒。三者藥酒。若乾若濕。若濁若清。如是等能令人心動放逸。起三十六失。若不飲者。是名不飲酒戒也。

五つ目の不飲酒戒(飲酒を戒める戒律)について。まず「酒」とは何かというと、酒には三つの種類があります。第一に穀物から作る酒、第二に果物から作る酒、第三に薬草から作る酒です。乾いたものも湿ったものも、濁ったものも清らかなものも、これらはすべて人の心を乱し、放逸にさせます。三十六もの過失を引き起こします。もし飲まなければ、これが不飲酒戒と名付けられるのです。

次此應明在家優婆塞優婆夷。一日一夜八戒。出家沙彌沙彌尼十戒。式叉摩那尼六法戒。比丘比丘尼十種得戒。五篇七聚相。乃至菩薩十重四十八輕戒。及三千威儀。八萬律儀。是中皆應次第略出科目。辨大聖從麁至細制戒之意。事轉繁多具列(云云)。今欲且逐要出諸禪定智慧法門科目次第。此諸戒中事數。至下第六卷。別更隨要者出之。

次に、在家の優婆塞・優婆夷に対する一日一夜の八斎戒、出家の沙弥・沙弥尼に対する十戒、式叉摩那尼に対する六法戒、比丘・比丘尼に対する十種の得戒、五篇七聚の相、さらには菩薩の十重四十八軽戒、三千威儀、八万律儀について、これらを順に大まかな科目として挙げるべきです。大聖(仏陀)が粗いものから細かいものへと戒律を定められた意図を明らかにすると、事柄はますます多岐にわたり、詳細に列挙することになります(云云)。ここではひとまず、諸々の禅定・智慧の法門に関する科目の順序を、要点に沿って取り出したいと思います。これらの戒律に関する事柄や数字については、後に第六巻で、必要に応じて別途取り上げることとします。


13 三歸戒初門
15 四禪初門

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