一切如來大勝金剛頂最勝真實大三昧耶品第八
第八章 一切如来大勝金剛頂最勝真実大三昧耶
爾時遍照薄伽梵復現種種光明,於頂上放金剛威怒光明照諸菩薩,金剛手等皆各默然。復現身手,具十二臂,持智拳印,復持五山峯、金剛、蓮華、摩尼、羯磨、鉤、索、鎖、鈴、智、劍、法輪十二大印,身住千葉大白蓮花,身色如日,五髻光明,其光無主遍於十方,面門微笑,即說大勝金剛頂最勝真實大三昧耶真言曰:
爾の時、遍照薄伽梵は再び種種の光明を現じ、頂上より金剛威怒の光を放ち菩薩たちを照らした。金剛手らは皆それぞれ黙然とした。さらに手身を現し、十二臂を具えて智拳印を結び、また五山峯、金剛、蓮華、摩尼、羯磨、鉤、索、鎖、鈴、智、剣、法輪の十二の大印を執り持った。身は千葉の大白蓮華の上に住し、身色は日の如く、五髻の光明は遍く十方に及んだ。その光に主はなく、面門に微笑みを浮かべ、即ち大勝金剛頂最勝真實大三昧耶の真言を説いた。
「唵摩訶引嚩日囉二合瑟抳二合灑吽怛𠸪二合紇哩二合噁吽引」
「オン・マカ・ハラ・ニチリン・サ・ウン・タラ・キリ・アク・ウン」
說此明已復說頌曰:
この教えを明らかにした後、さらに次の偈を説かれました。
「十方淨妙國, 三世及三界,
最尊獨無比, 此大轉輪王,
能摧諸佛頂, 能攝諸等覺,
親近為眷屬, 速成大悲地。
若末法世人, 長誦此真言,
刀兵不能害, 水火不焚漂,
蓮華金剛手, 翼從而侍衛。
若誦一百八, 能滅百劫罪,
若誦一千遍, 能成滿意願,
若誦一洛叉, 得大金剛身,
若誦一俱胝, 得成遍照尊,
千佛來共護, 決定無有疑。
我今更說印, 金剛最勝心,
內堅十度縛, 忍願屈如頂,
是名根本心, 最勝轉輪印。
若常結此印, 金剛薩埵尊,
蓮華摩尼王, 毘首羯磨尊,
一切諸聖尊, 咸來增覆護。
此人如金剛, 諸惡不能壞,
此身如光聚, 能破三界冥,
此人如蓮華, 諸塵不能染,
此身如羯磨, 大作諸佛事,
身如遍照尊, 諸佛不能捨,
身如妙吉祥, 能成無盡慧,
身如金剛輪, 能轉理趣輪,
持此真言印, 能成如是事。
如依觸淨處, 但結最勝印,
及誦根本心, 一切無不為,
隨作皆成就, 一切願皆滿。
成就最勝尊, 金剛頂明曰:
十方の浄妙なる国々、三世および三界において、 最も尊く、比べるものなく無比なる、この大転輪王は、 諸仏の頂をも摧き、すべての等覚の者をも摂し、 親しく眷属として近づき、速やかに大悲の境地を成就させる。 もし末法の世の人々が、この真言を長く誦するならば、 刀や兵器も害することができず、水や火も焼き漂わすことができない。 蓮華金剛手は、翼となって従い守護する。 もし百八遍誦せば、百劫の罪を滅することができる。 もし千遍誦せば、満足の願いを成就できる。 もし一洛叉(十万)誦せば、大金剛身を得る。 もし一倶胝(千万)誦せば、遍照尊となる。 千の仏が来て共に護る、これは決して疑いない。
我、今、さらに印を説く。金剛の最も勝れた心。 内に十度(指)を堅く縛り、忍願の指を屈して頂の如くする。 これを根本心と名づけ、最も勝れた転輪の印とする。 もし常にこの印を結べば、金剛薩埵尊、 蓮華摩尼王、毘首羯磨尊、 一切の諸聖尊が、皆来って覆い護りを増す。 この人は金剛の如く、諸々の悪は壊すことができない。 この身は光の集まりの如く、三界の闇を破ることができる。 この人は蓮華の如く、諸々の塵は染めることができない。 この身は羯磨の如く、大いに諸仏の事業を行う。 身は遍照尊の如く、諸仏も捨てることができない。 身は妙吉祥の如く、尽きることのない智慧を成就する。 身は金剛輪の如く、理趣の輪を転ずることができる。 この真言と印を護持すれば、このような事を成就できる。 清浄な場所に依り触れるように、ただ最勝の印を結び、 根本の心を誦するだけで、一切のことができないことはない。 行うに従ってすべて成就し、すべての願いが満たされる。 最勝尊を成就する、金剛頂の明は曰く、
「唵嚩日囉二合薩怛嚩二合句捨吽引
唵 ヴァジュラ・サットヴァ・クシャ・フーン
「成就金剛手, 最勝摩尼曰:
成就した金剛手が、最も勝れた如意宝珠のように言いました。
「唵嚩日囉二合囉怛那二合句捨怛𠸪二合
唵 ヴァジュラ ラトナ グシヤ
「成就金剛手, 蓮華最勝心:
成就金剛手、蓮華最勝の心:
「唵嚩日囉二合達摩句舍紇哩二合
「オン・バ・ザラ・ダルマ・グ・シャ・キリ(フリ)」
「成就金剛手, 巧業最勝心:
成就した金剛手よ、 巧みな業(わざ)の最勝の心(こころ)よ。
「唵嚩日囉二合羯磨句舍噁入聲
唵、ヴァジュラ・カルマ・クシャ・アク
「成就金剛鉤, 最勝者能鉤:
金剛鉤を成就せし者は、 最勝の者を引き寄せることができる。
「唵嚩日囉二合薩怛鑁句捨惹入聲
オン、ヴァジュラ・サットヴァ・クシャヤ・ジャハ
「成就金剛索, 最勝者能引:
「金剛の索を成就し、最勝者は導き得る。
「唵嚩日囉二合囉怛那二合播捨吽引
オン、バザラ・ラトナ・ホー
「成就金剛鎖, 最勝者能縛:
「金剛の鎖を成就せし者、最勝の者は縛り得る。
「唵嚩日囉二合鉢納麼二合娑破二合吒鑁
おん あぼきゃ ばざら ぱな さば た ばん
「成就金剛鈴, 最勝者能喜:
金剛鈴(こんごうれい)を成就すれば、最勝の者は歓喜する。
「唵嚩日囉二合羯磨欠吒斛
オン、バザラカーマ、キャ、サラタ
「由持八大明, 能成百千事,
印如金剛界, 真言者當知,
一切難勝者, 應用此印明。
復次金剛劍, 密語應當知:
「この八つの大明を保つことにより、 百千の事を成し遂げることができる。 その印は金剛界の如くであり、 真言を唱える者は知るべきである。 あらゆる難敵に打ち勝つ者こそ、 この印と真言を用いるべきである。 さらに金剛剣(こんごうけん)については、 その密語(みつご)を知るべきである。」
「唵嚩日囉二合薩怛嚩二合底訖叉拏三合吽引
おん ヴァジラ サットヴァ アティ キツアナ フーン
「能壞無智城, 能生諸佛慧,
印同妙吉祥, 羯磨三昧耶。
復次金剛輪, 密語應當聽:
無明の城を打ち砕き、 諸仏の智慧を生み出す印は、 妙吉祥(文殊菩薩)と同じく、 羯磨(行い)の三昧耶である。
さらに金剛の輪よ、 密やかな言葉を聞くべきである。
「唵嚩日囉二合斫訖囉二合吽引惹吽引鑁斛吽
唵、バジュラ・チョークラ・フーン・ジャ・フーン・バン・コク・フーン
「二羽金剛拳, 檀慧與進力,
四度互鉤結, 是名彼密印。
若真言行者, 不作曼拏羅,
但持此印明, 即同大安立,
一切漫拏羅, 自身一切支,
悉成諸佛聚, 無比不思議,
更無過上味。 復次四攝明,
密語應當說:
両手で金剛拳を結び、 親指と小指、そして人差指と中指を 四度、互いに交差して結ぶ―― これを「彼の密印」と名付ける。
もし真言行者が、 曼荼羅を描かずとも、 ただこの印と真言を保つならば、 それだけで大いなる安立と等しく、 すべての曼荼羅が、 自身のすべての肢体に、 ことごとく諸仏の集まりとなり、 比類なく、思議を超え、 これ以上ない至福の味わいとなる。 さらにまた、四摂の明(智慧)について、 その密なる言葉を、ここに説こう。
「唵薩嚩怛他引誐擔句始吽引惹入聲
唵、すべての如来様の鉤の種子の真言、フーン、ジャ。
「唵薩嚩怛他引誐多播舍吽引吽引
オン、サルヴァ・タターガタ・パンシェ・フーム、フーム
「唵薩嚩怛他引誐多引娑普二合致吽鑁
唵、あらゆる如来の清らかな声によって守られますように。フーム ヴァン
「唵薩嚩怛他引誐多引尾舍吽斛
おん さるば たたぎゃた びしゃ うん はく
「纔誦此密言, 十六大菩薩,
從法界出生, 各持本幖幟。
次誦八供養, 及以四攝明,
即成大圓壇。 次誦本尊句,
八供及四攝, 密言次當說:
この真言を唱えれば、 十六の大菩薩が 法界より現れ出で、 各々が自らの印契を結ぶ。
次に八供養 そして四摂の真言を唱えれば、 大いなる曼荼羅が成就する。 その後に本尊の真言を唱えよ。
八供養と四摂の 真言をこれより説こう。
「唵薩嚩布惹惹入聲吽引鑁斛
「おん、さるば、ぶだ、だ、じん、ふん、ばん、こく」
「復次祕密主, 我此心最心,
更說祕密法, 佛名五瑜伽,
當觀遍照主, 自身悉同等。
復當於自前, 觀勝金剛寶,
住於熾盛日, 執妙大寶幢。
次右復當觀, 金剛蓮花鉤,
住於黃色輪, 執鉤大微笑。
次左復當知, 金剛寶大庫,
住於綠色輪, 執持大圓鏡。
次當復於後, 金剛大染蓮,
住於紅色輪, 執妙大紅蓮。
是名五瑜伽, 祕密最上味,
一切所希願, 皆悉得圓滿。
常作此瑜伽, 誦前八大明,
及以密印力, 皆悉成所願。
不假請召印, 及誦香花明,
得最上成就, 現世速獲之。」
時會諸菩薩, 一切執金剛,
一心觀佛心, 歡喜而安住。
「さらに、秘主よ、 私の教えるこの最も核心の心(不動の智慧)について、 さらに秘密の教えを明かそう。 仏の名は五つの瑜伽(ヨーガ)であり、 遍照主(大日如来)を観じ、 自身と全く同じであると観ずるのだ。
さらに、自分の目の前に、 勝れた金剛の宝を観じなさい。 それは燃え盛る太陽の中にあり、 素晴らしい大宝幢(宝の旗)を抱いている。
次に、右側にはさらに、 金剛の蓮華の鉤(かぎ)を観じなさい。 それは黄色い輪の中にあり、 鉤を持ち、大きく微笑んでいる。
次に、左側にはさらに知りなさい、 金剛の宝の大庫を。 それは緑の輪の中にあり、 大きな円鏡を抱いている。
次に、さらに後ろには、 金剛の大いなる染め蓮華を観じなさい。 それは赤い輪の中にあり、 素晴らしい大紅蓮(大きな赤い蓮)を抱いている。
これを五つの瑜伽(ヨーガ)と呼び、 秘密の最も上の味わいである。 すべての望みが、 皆ことごとく叶えられる。
常にこの瑜伽を行い、 先に述べた八つの大明(マントラ)を唱え、 さらに秘密の印(印契)の力によって、 すべての願いが成就する。
請召の印や、 香華の明(マントラ)を唱えなくとも、 最も上の成就を得られ、 現世で速やかにそれを得るのだ。」
その時、会座の諸菩薩と、 すべての金剛手たちは、 一心に仏の心を観じ、 歓喜して安住した。
金剛峯樓閣一切瑜伽瑜祇經卷上
金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経 巻上