度瓶沙王品第四
第4章 ビンビサーラ王の章
於時世尊,欲詣羅閱祇,度於君民。即日羅閱祇王遣使者,奉命詣佛,修敬盡恭,禮畢陳言:「國主瓶沙,稽首坐前!近承釋尊,道成號佛,天人雜類,慶賴遇時。伏惟世尊,興利康寧,願垂覆育,照臨鄙國,飢渴聖化,虛心踊逸,哀矜群庶,令得解脫。」佛勅比丘:「汝等速嚴,當就王請。」比丘受教,嚴畢翼從。
使者馳白:「世尊以顧,將千比丘僧,今頓須波羅致樹下,去城四十里。」王即案先王遺令:「若佛入國,當自出迎,迎之者,得福無量。」即便勅嚴車千乘,馬萬匹,從人七千,嚴畢升車,出宮趣城。城門自閉,車馬俱躓,王甚驚怖,懼有大災:「吾罪重矣!而有斯禍。」空中聲曰:「王宿願人,今繫在獄,誓要相連,是使門閉。」即便大赦解放囚人。門霍自開,得詣佛所。
王遙見如來相好光光,即便下車,却從解劍。佛知瓶沙性素憍豪剛強貢高,欲令速解化王從者儀式。若王瓶沙,顧視從者,似己無異,懼佛不識,頭面禮足,右繞三匝,禮畢自陳:「我是摩竭提王瓶沙身也。」如是至三。佛告王曰:「吾照卿心,何但卿形。」瓶沙大喜,即退就坐。群臣庶民,各盡其敬,中有作禮者,自名字者,直揖拜者,禮畢却住。佛命令坐,受教就席。
王は遠くから如来の相好の光り輝く御姿をご覧になり、すぐに車を降り、剣を解いてお辞儀をしました。仏は、瓶沙王が元来、誇り高く、剛毅で慢心しやすい性質であることをご存知でした。そこで、すぐに彼が理解できるように、王の従者の作法を示されました。瓶沙王が振り返って従者たちを見ると、まるで自分と同じであるかのようでした。王は仏が自分を見分けてくださらないのを恐れ、頭を御足に付けて礼拝し、右に三度繞ってから、礼を終えて自ら申し上げました。「私は摩竭提国の王、瓶沙と申します。」これを三度繰り返しました。仏は王に告げられました。「私はあなたの心を照らしている。ましてやあなたの姿などなおさらのことだ。」瓶沙王は大いに喜び、すぐに退いて席に着きました。群臣や民衆はそれぞれ敬意を尽くし、中には礼をする者、自分の名を名乗る者、ただ拱手して拝む者、礼を終えて立ち止まる者など、様々でした。仏は皆に座るようお命じになり、彼らはその教えに従って席に着きました。
佛告瓶沙:「宿福為王,今復增益,使王國界人民,忠孝富樂,無憂福護,有德吉,無不利。」眾會有疑:「欝俾迦葉,名聲先達,今與佛俱,誰應作師?」佛察眾念,便告迦葉:「其有殺生祠祀,欲望其福。寧能得不?入於山中,求道無師,能得道不?」迦葉白佛:「殺生祠祀,不得其福;天神不食,殺者得罪;學道無師,道終不成。」迦葉白佛:「我前事火,晝夜不懈,勤苦積年,好術弟子,凡有五百人,精銳燃火,不避寒暑,年耆根熟,永無髣髴,先人傳惑,以授後生,自稱是道,唐苦無報。今得佛教,洗浣心垢,已得羅漢。」佛告迦葉:「現汝羅漢神足。」迦葉受勅,即入靜定,身升虛空,去地數丈。從腰以上火、腰以下水;更從腰以上水、腰以下火,以水雨火,衣燥不軟。住空現變,出沒七反,從身出光,五色赫奕。飛從東來,沒佛坐前,四方上下,化現亦爾。變畢叉手,長跪白佛:「弟子迦葉,蒙佛慈恩,解脫罪縛,如來特尊,三界頂受。」佛為迦葉,而作頌曰:
仏、瓶沙に告げたまわく:「過去の福により王となったが、今さらにそれを増し加え、汝の国と民を、忠孝・富楽・憂いなし・福護あり・徳あり・吉あり・不利なしとせしめん。」
会衆のうちに疑いあり:「欝俾迦葉は、名聲かつて達せられたり。今仏とともに在りて、誰か師と為るべきや。」
仏、衆の念を察して、迦葉に告げたまわく:「殺生して祠祀し、その福を望むことあり。果たして得られるか。山に入りて道を求め、師なくして道を得られるか。」
迦葉、仏に白して言わく:「殺生して祠祀するも、その福を得ず。天神は食せず、殺す者は罪を得る。道を学びて師なき者は、道ついに成らず。」
迦葉、さらに仏に白して言わく:「われ先に火を事とし、昼夜懈らず、勤苦積年、術を好む弟子、凡そ五百人あり。精鋭火を燃やし、寒暑を避けず。年老いて根熟するも、永に彷彿なし。先人の伝える惑いをもって、後生に授け、自ら是を道と称すれども、徒に苦しみて報いなし。今、仏の教えを得て、心の垢を洗い清め、すでに阿羅漢を得たり。」
仏、迦葉に告げたまわく:「汝の阿羅漢の神足を示せ。」
迦葉、勅を受け、即ち静定に入り、身虚空に昇り、地を去ること数丈。腰より上は火、腰より下は水となり、更に腰より上は水、腰より下は火となり、水を雨らしめ火を降らせども、衣乾かずして柔らかなり。空に住して変現し、出没すること七反、身より光を出だし、五色赫奕たり。東より飛来し、仏の坐前に没し、四方上下も、化現亦かくのごとし。変現畢りて、手を叉し、長跪して仏に白して言わく:「弟子迦葉、仏の慈恩を蒙り、罪の縛りを解脱せり。如来は特に尊く、三界の頂戴するところなり。」
仏、迦葉のために頌を作して曰く:
「若人壽百歲, 奉火修異術,
不如尊正諦, 其明照一切。
若人壽百歲, 學邪志不善,
不如生一日, 精進受正法。」
たとえ百年の長きにわたり、火を祀る異教の修行を積んでも、 真理を尊ぶことには及ばない。真理の明るさは全てを照らすからだ。
たとえ百年の長きにわたり、邪な考えや不善を学んでも、 一日であっても、精進して正しい法を受け入れることには及ばない。
王及群臣,乃知迦葉是佛弟子。佛告瓶沙:「天下人眼,不但視色;苦、樂無常,身不得久。天下人意,多惡少善。思想萬端,趣欲快意,能棄此志,亦可得道,功齊迦葉。無以豪貴,自恣其情;無以自在,貪婬無厭;無以豪強,侵陵弱者;無以瞋怒,抂殺無過。莫隨婬心、莫隨貪心、莫隨怒心。息惡令善,信守真言。當念死劇老病苦劇,思惟所行,亦復可得迦葉神足。若眼視色,心當抑却,好醜不動。耳聽眾聲,心當制持,無所喜怒。鼻嗅香臭,心當制伏,情無所著。口貪眾味,心當秉持,想無所起。身更所著,心當制止,識無綺可。五陰外來,制者由心,六情無主,陰衰無名。迦葉功德,修之便是。人生受形,多憂苦惱:飢渴寒熱,愚計為樂;智士見苦。妻子榮利,世人迷惑,凡此眾事,無不分散,千歲萬年,皆歸磨滅。」佛為瓶沙而作頌曰:
王と群臣は、そこで初めて迦葉が仏の弟子であることを知った。仏は瓶沙に告げられた。「世の人の目は、ただ色を見るだけのものではない。苦しみや楽しみも無常であり、この身は長くは保たない。世の人の心は、善より悪の方が多い。さまざまな思いを巡らせ、ただ快楽を追い求める。そのような心を捨てることができれば、道を得ることもでき、その功徳は迦葉と等しくなる。身分の高い者だからといって、自らの情欲に任せてはならない。思いのままに振る舞い、貪欲な愛欲に際限なくふけることのないように。力のある者が、弱い者を虐げてはならない。怒りに任せて、罪のない者を殺めてはならない。淫らな心に従ってはならない。貪りの心に従ってはならない。怒りの心に従ってはならない。悪を断ち善を行い、真実の言葉を信じて守りなさい。死が老いや病の苦しみよりも厳しいものであると常に心に留め、自らの行いをよく考えなさい。そうすれば、迦葉の持つ神通力を得ることもできるだろう。もし目が色を見たら、心で抑え制し、美しいものにも醜いものにも心を動かしてはならない。耳がさまざまな音を聞いても、心でしっかりと持ちこたえ、喜んだり怒ったりしないこと。鼻が香りを嗅いでも、心で制し伏せ、感情を執着させないこと。口が味を貪ろうとしても、心でしっかりと支え、様々な思いを起こさないこと。身体が触れるものがあっても、心で制止し、分別において飾り立てることがないようにすること。五陰は外からやってくるが、それを制するのは心による。六情に主体はなく、陰や衰も名づけることができない。迦葉の功徳も、このように修行することで成就するのである。人はこの世に生まれ身体を得ると、多くの憂いや苦しみがある。飢えや渇き、寒さや暑さ。愚かな者はそれを楽しみと思うが、智慧ある者はそれを苦しみと見る。妻や子ども、名誉や利益に、世の人々は惑わされる。しかしこうしたものはすべて、やがては散り行き、千年、万年経つうちに、すべて消え去ってしまうものなのだ。」仏は瓶沙のために、この頌を説かれた。
「夫為世間將, 順正不阿抂,
矜導示禮儀, 如是為法王。
多愍善恕正, 仁愛好利人,
既利以平均, 如是眾附親。」
世の中の指導者たる者は、 正しき道に従い、曲がったことをせず、 思いやりを持って人々を導き、礼儀を示す。 これこそが法の王たる者の姿である。 多くの人を憐れみ、よく許し、正しくあり、 慈愛をもって人々を愛し、その利益を図る。 そして、利益を公平に分かち合うならば、 人々は自然と親しみ、集まってくるのである。
佛告瓶沙:「王作宮舍,從來幾歲?」王顧問傍臣,傍臣對曰:「造起宮舍,七八百年。」佛問諸臣:「凡更幾王?」臣即對曰:「二十餘王。」佛問瓶沙:「皆識諸王不?」瓶沙答曰:「唯識我父,不識先人。」
仏が瓶沙王に尋ねました。「王は宮殿を建てられてから、もう何年になりますか?」王は側近の臣に尋ねると、臣は答えました。「宮殿が建てられてから、七、八百年になります。」仏はさらに臣たちに尋ねました。「これまでに何人の王が代わりましたか?」臣は答えました。「二十人以上の王様です。」仏は瓶沙王に尋ねました。「それら全ての王様をご存じですか?」瓶沙王は答えました。「私は自分の父だけを知っており、それ以前の方々は存じ上げません。」
佛告瓶沙:「但地有常,人無常也。人自愛身者,不當殺害於命、不當誹謗有道。眾生生死皆由恩愛。父母自言:『是我所生,是我之子。』子非父母所致,皆是前世持戒完具,乃得作人。為惡行者,死墮地獄、畜生、餓鬼,自從行致,不由他生。罪福明正,王甚思之!」佛告王曰:「兒在胎中,若有盲聾,母豫知不耶?」王答佛言:「實不豫知。」佛言:「此兒宿命罪行使然,非父母過。兒在胎中,若其聖明,母不豫知。皆由履行清純,非父母力。此理明驗,王善惟之!世人得罪,其行有三:口言傷人、身行暴害、心專妬嫉。能撿此三,雖未便得泥洹,天上人中,豪貴自由。原於人本,從癡有形,從形生情,從情生識,從識生欲,從欲有父子,從父子生恩愛,從恩愛生憂悲,展轉五道無有休止。人亦不知,生所從來?死所趣向?不識其根,各相字名言。是父?是子?唯得道者,乃知其原。生、死因緣,本從癡起,一切無常。大王受持!」
仏、瓶沙に告げたまわく「ただ地には常ありて、人には常なし。自ら身を愛する者は、命を殺害すべからず、有道を誹謗すべからず。衆生の生死は、みな恩愛に由る。父母は自ら言う『是れ我が生む所、是れ我が子なり』と。子は父母の致す所にあらず、皆是れ前世に戒を持ち完具することをもって、乃ち人と作ることを得るなり。悪行を為す者は、死して地獄・畜生・餓鬼に堕つ、自ら行に従いて致し、他に由りて生まるるにあらず。罪福明らかに正し、王、よく思惟せよ!」仏、王に告げたまわく「児、胎中に在りて、もし盲聾あらば、母、予め知るや否や。」王、仏に答えていわく「実に予め知らず。」仏のたまわく「此の児の宿命の罪行、然らしむるなり、父母の過ちにあらず。児、胎中に在りて、もし其の聖明ならば、母、予め知らず。皆、履行の清純に由る、父母の力にあらず。此の理、明らかに験あり。王、よく思惟せよ!世人の罪を得る、其の行三あり:口言は人を傷つけ、身行は暴害をなし、心は専ら妬嫉す。能く此の三を検せば、未だ便ち泥洹を得ずとも、天上・人中に、豪貴・自在ならん。原ずれば人の本、癡より有形り、形より情を生じ、情より識を生じ、識より欲を生じ、欲より父子有り、父子より恩愛を生じ、恩愛より憂悲を生じ、展転して五道に、休止すること無し。人も亦た知らず、生れは何所より来たる、死して何所に趣く?其の根を識らず、各々字名を相い呼ぶ。是れ父、是れ子と。唯、道を得る者、乃ち其の原を知る。生死の因縁、本、癡より起こり、一切無常なり。大王、受持せよ!」
佛告瓶沙:「若國善人,謹順忠孝、廉貞敬讓、才博智遠、不犯王法,本非貴族,王何異待?」王答佛言:「姓名顯達,擇能授職。」佛告大王:「道法無親,唯善是輔。成持五戒,名清信士;精進直入,見諦不迴,便得須陀洹、斯陀含、阿那含、阿羅漢——各因本心,道位次敘。」佛說是時,王及國人一萬二千,諸天八萬,皆見道跡。
仏が瓶沙王に告げられた。「もし国の善人で、慎み深く従順で忠孝、廉潔で誠実、敬い譲り合い、才能があり智慧が広く、王の法に背かない者がいたとしましょう。たとえ生まれが貴族でなくても、王はどのように特別に遇しますか?」 王は仏に答えた。「名と姓が明らかで徳が高ければ、能力を選んで職を授けます。」 仏は王に告げられた。「道の法にはえこひいきがなく、ただ善を助けるのみです。五戒をよく保つ者を清信士といいます。努力してまっすぐに入り、真理を見て迷わなければ、須陀洹(すだおん)、斯陀含(しだごん)、阿那含(あなごん)、阿羅漢(あらかん)となります。それぞれが自らの心に従い、道の位が順序正しく進みます。」 仏がこの教えを説かれた時、王と国の人々一万二千、天の諸々の者八万が、みな道の境地を見た。
佛告瓶沙:「王來已久,宮遠早還,牛、馬、人從,停住勞疲,比於後日,吾當詣城。」王起禮佛,受戒而退。群臣從官,喜前受戒。當王群臣受五戒時,內外人馬,寂然無聲,諸婆羅門,感化心伏,皆前受戒,歡喜而退。王升車已,群臣跪賀:「大王功德!值佛出世,并令臣等沐浴清化。」瓶沙歸宮,教勅宮內奉齋持戒。國內一切,信解歡喜。
仏は瓶沙王に告げられた。「王は長くここにおられる。宮殿は遠く、早くお帰りになるがよい。牛、馬、従者たちも、立ち止まって疲れている。後日、私が都に参上しよう。」王は立ち上がり、仏に礼拝し、戒めを受け、退出した。群臣や従者たちは喜んで進み出て戒めを受けた。王と群臣たちが五戒を受けた時、宮殿の内外、人馬ともに静まり返り、物音一つしなかった。バラモンたちも感化されて心から伏し、皆進み出て戒めを受け、喜んで退出した。王が車に乗ると、群臣たちはひざまずいて祝った。「大王のご功徳です!仏がこの世に現れて、我々臣下までも清き教えに浴することができました。」瓶沙王は宮殿に戻り、宮中に斎戒を守り、戒めを保つよう命じた。国中の人々は皆、教えを信解し、喜びに満ちた。
忉利天帝,華散佛上,於時坐中,有豪長者,名迦蘭陀。心中念言:「可惜我園,施與尼揵。佛當先至奉佛及僧,悔恨前施,永為棄捐。」長者至心,臥不安席,先福追逮,福德應全。大鬼將軍名曰半師,承佛神旨,知其心念,即召閱叉,推逐尼揵,裸形無恥,不應止此。鬼師奉勅,撾打尼揵,拖拽器物。尼揵驚怖,馳走而言:「此何惡人?暴害乃爾!」鬼師答曰:「長者迦蘭陀,當持竹園,作佛精舍。大鬼將軍半師,見勅逐汝輩耳。」明日尼揵共詣長者,深責所以:「何故改施?令吾等類被乎委頓。」不謂長者見困如此,迦蘭陀心喜:「吾願遂矣!佛聖廣覆照我至心。」即答尼揵曰:「此諸鬼師,強暴含瞋,懼必作害,不如委去更求其安。」尼揵懟恨,即日恚去。長者歡喜,修立精舍、僧房坐具,眾嚴都畢,行詣樹王祠處,請佛及僧。眾祐受施止頓,一時大化普濟,靡不欣樂。