香嚴上樹
香厳、木に上る
香嚴和尚云。如人上樹。口啣樹枝。手不攀枝。脚不踏樹。樹下有人。問西來意。不對即違他所問。若對又喪身失命。正恁麼時。作麼生對。
香厳和尚が言われた。「例えば人が木に登っているようなものだ。口で枝をくわえ、手は枝を掴まず、足も木を踏んでいない。木の下に人がいて、『西来の意』について尋ねたら、答えなければその問いに背くことになリ、答えれば身を失い命を失う。まさにその時、どう答えるべきか。」
無門曰。縱有懸河之辨。總用不著。說得一大藏教。亦用不著。若向者裏對得著。活却從前死路頭。死却從前活路頭。其或未然。直待當來。問彌勒。
無門が言うには、たとえ言葉の川の如く弁舌が立っても、全く役に立たない。仏教の一切の経典を説き尽くしても、やはり役に立たない。もしここで本当に悟りを得ることができれば、これまでの迷いの道は生き返り、これまでの悟りの道は死ぬことになる。もしそうでなければ、未来の弥勒菩薩に問いなさい。
頌曰。
偈に曰く。
香嚴真杜撰 惡毒無盡限
啞却衲僧口 通身迸鬼眼
香厳(こうごん)は真にでたらめで、悪毒は限りなく広がる。 衲僧(のうそう)の口を塞ぎ、全身から鬼の眼が迸り出る。