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  1. 六度集経 (六度集經)
  2. 第二 (第二)
  3. 1 布施度無極章
  4. 11 波耶王経〔波耶王本生〕 (11 波耶王經〔波耶王本生〕)
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六度集経 (六度集經)


六度集經卷第二

六度集経 巻第二

吳康居國沙門康僧會譯

呉の康居国出身の沙門康僧会による漢訳

布施度無極章(此有四章)

布施波羅蜜章

(一一)波耶王經

波耶王経

「昔者波羅㮈國王名波耶,治國以仁,干戈廢,杖楚滅,囹圄毀,路無呼嗟,群生得所,國豐民熾,諸天歎仁。王城廣長四百里,圍千六百里,王日飯此中人,皆從其願。鄰國聞其國豐熟,災害消滅,與臣謀曰:『彼國豐熟兆民富樂,吾欲得之,往必剋矣。』臣妾僉曰:『喜從王願。』即興師之仁國。

昔々、バラーナシーの国に波耶という名の王がいました。王は慈しみの心で国を治め、武器を使う戦いはやめ、むちや罰もなくし、牢獄も取り壊しました。道で嘆き悲しむ声もなく、すべての生き物がそれぞれの居場所を得て、国は豊かに栄え、人々は幸せに暮らしていました。天の神々もその慈しみを称えました。

王都は東西・南北にそれぞれ400里、その周りは1,600里もありました。王は毎日都中の人々に食事を施し、みなの願いを叶えました。

隣国の王がこの国の豊かさと災いのない様子を聞き、家臣たちに相談しました。

「あの国は実り豊かで、多くの民が富み楽しんでいる。わたしはそれを手に入れたい。攻め込めば必ず勝てるだろう。」

家臣や后たちもみな口を揃えて言いました。

「喜んで王のご意志に従います。」

こうして、その慈しみの国に向けて軍を起こしました。

「仁國群臣以聞,欲距之矣。仁王慘然而曰:『以吾一人之身,戮兆民身,愛吾一人命,杌兆民之命,一口再食、一身數衣,與時何諍?而去春天之德,取豺狼之殘乎?吾寧去一世之命,不去大志,恕己安群生,蓋天之仁也。』權謂臣曰:『各退,明日更議。』夜則踰城,遁邁入山坐一樹下。

ある国で仁慈ある王が統治していた。その国の臣下たちが王に告げた。「他国が攻めて来ようとしております。我々はこれを防ぎ戦うべきです。」

これを聞いて仁王は悲しみの表情を浮かべ、こう言った。 「たった一人の私の身のために、万の民の命を奪うというのか。たった一人の私の命を大切にするために、万の民の命を危機にさらすというのか。私は一口で食べ、一着で身を包むだけで十分だ。時の流れと何を争う必要があるのか。それなのに、春の天の恵みのような大いなる徳を捨て、狼のような残酷さを選ぶというのか。 私はむしろ、この一度の命を捨てても、大きな志を捨てることはしない。己を犠牲にして全ての生きとし生けるものを安らかにすることこそ、天の仁愛というものだ。」

こうして王は臣下たちに告げた。 「皆、一度下がれ。明日、改めて話し合おう。」

その夜、王は城壁を越えて山へと姿を消した。そして山の中で一本の木の下に座った。

「有梵志來,其年六十,問王曰:『彼仁國王萬福無恙乎?』答曰:『彼王已喪命矣。』梵志聞之頓地哀慟。王問之曰:『汝哀何甚重乎?』答曰:『吾聞彼王,仁逮群生潤如帝釋,故馳歸命;而彼凋喪,吾老窮矣。』王曰:『彼仁王者,我則是也。隣國王聞吾國豐熟,民熾寶多,命其武士曰:「得吾首者,賞男女之使各千人,馬千疋、牛千頭,金銀各千斤。」今子取吾首,金冠及劒為明證,之彼王,所賞重多,可為傳世之資。吾心欣然也。』答曰:『不仁逆道,寧死不為也。』王曰:『斯翁恃吾以活,而令窮哉?吾今以首惠汝,令汝無罪。』起稽首十方,流涕誓曰:『群生危者,吾當安之;背真向邪者,吾當令歸命三尊。今以首拔子之窮,令子無罪矣。』引劒自毀,以濟彼難。

ある年の六十になるバラモンが王のもとを訪ねて尋ねた。「あの慈悲深い王はお元気でいらっしゃいますか?」王は答えた。「あの王はすでに亡くなられました。」バラモンはそれを聞くと、地面に倒れ込んで悲しみのあまり泣き叫んだ。王が尋ねた。「どうしてそれほどまでに深く悲しむのですか?」バラモンは答えた。「私はあの王が、帝釈天のように全ての生きとし生けるものを潤す慈しみ深い方だと聞き、駆けつけて帰依しようとしたのです。しかし、その方が亡くなられてしまい、私は年老いて何も望みを失ってしまいました。」

王は言った。「その慈悲深い王とは、私のことです。隣国の王が、我が国が豊かで民が多く、宝も豊かだと聞き、その武士たちに命じて言いました。『あの王の首を取ってきた者には、男女の使節をそれぞれ千人、馬千匹、牛千頭、金銀それぞれ千斤を与えよう。』さあ、今あなたが私の首を取ってください。この金の冠と刀を証拠として、あの王のもとへ行けば、豊かな褒美が与えられ、子々孫々まで財産となるでしょう。私は心から喜んで差し出します。」

バラモンは答えた。「不慈悲で道理に反する行いなど、たとえ死んでもしません。」王は言った。「この老翁は私に頼って生きているのに、私が困らせてしまったのだろうか。今、私は自らの首をあなたに与え、あなたに罪を負わせないようにしよう。」王は立ち上がり、十方に礼拝して涙を流しながら誓った。「苦しむ者たちを、私が安らかにしよう。真実に背き邪な方へ向かう者たちを、私が三宝に帰依させよう。今、この首をもってあなたの貧しさを救い、あなたを罪なき者としよう。」そう言って、王は剣を抜いて自らの命を絶ち、彼の苦難を救ったのである。

「梵志以首冠劒詣彼王所,王問舊臣:『仁王力當千人,而為此子所獲乎?』舊臣頓首躃地,哀慟痛莫能對。更問梵志,梵志本末陳之。兆民路踊巷哭,或吐血者,或息絕而尸視者。彼王逮臣武士,巨細靡不噢咿。王仰天長嘆曰:『吾無道哉!殘天仁子矣。』取仁王尸及首,連之以金薄,其身坐著殿上,三十二年為天子,後乃立其子為王。隣國靡不子愛之也。仁王壽終即生天上。」

梵志は、その子の首を冠に載せて敵王のもとへ行きました。王は旧臣に尋ねました。「仁王の力は千人にも匹敵するというのに、なぜこの若者に捕らえられてしまったのか?」旧臣たちは地にひれ伏し、悲しみのあまり声も出ず、答えることができませんでした。そこで王は梵志に問い質すと、梵志は一部始終を語りました。

民衆は道や路地で泣き叫び、中には血を吐く者、息を引き取って屍のようになる者もいました。敵王には家来や武士たちも含め、身分の上下を問わず、皆がひたすらに嘆き悲しみました。王は天を仰いで長く嘆息し、「私は道を誤った。天のような仁君のお子様を害してしまった」と言いました。

そして王は仁王の遺体と首を金の薄板でつなぎ合わせ、その体を宮殿の玉座に安置しました。その後三十二年もの間、自らは天子の位にあり、後にその子を王としました。隣国の人々もまた、その子をわが子のように慈しみました。仁王は寿命を終え、天に生まれ変わりました。

佛告諸比丘:「仁王者,我身是。隣國王者,目連是。其國群臣者,今諸比丘是。菩薩慈惠度無極行布施如是。」

仏は比丘たちに告げられた。「仁王として修行したのは、この私(釈迦)である。隣国の王は目連である。その国の家来たちは、今ここにいるあなたがた比丘たちである。菩薩が慈しみと施しの実践をどこまでも極めていく行いとは、このようなものなのです。」


10 〔長壽王本生〕
12 波羅奈國王經〔迦蘭王本生〕

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