金剛薩埵菩提心內作業灌頂悉地品第十一
第十一品 金剛薩埵の菩提心内作業灌頂悉地
爾時世尊復告金剛手言:「我今更為汝說成就金剛薩埵一字心極密無上深勇智光密言。」而說頌曰:
その時、世尊は再び金剛手に告げた。 「今、私はあなたにさらに、金剛薩埵の一字心の極めて奥深く、無上にして勇猛な智慧の光を秘めた真言を説き明かそう。」 そして、次のように偈を唱えた。
「持真言行者, 觀身如佛形,
根本命金剛, 釋論以為虛,
多羅為二目, 毘俱胝為耳,
吉祥為口舌, 喜戲為鼻端,
金剛觀自在, 以成定慧臂,
三世不動尊, 以為兩膝脚,
心為遍照尊, 臍成虛空眼,
虛空寶為冠, 相好金剛日,
以此十五尊, 共成一佛身。
如世月團圓, 佛性亦如月,
從初作成就, 乃至成悉地,
心心不間斷, 成就十五尊,
是即極深密, 真言者當知。
金剛薩埵心, 菩提密言曰:
真言を修行する者は、自らの身を仏の姿として観ずる。 根本の命は金剛となり、論釈は虚ろと為す。 多羅は両の眼となり、毘倶胝は耳となる。 吉祥は口と舌となり、喜戯は鼻先となる。 金剛観自在は定と慧の腕を成し、 三世不動尊は両膝と両脚と為る。 心は遍照尊となり、臍は虚空眼を成す。 虚空宝は冠となり、相好は金剛日となる。 この十五の尊をもって、共に一つの仏身を成す。 世の月が満ちるように、仏性もまた月のごとし。 最初の成就を為すことから、悉地に至るまで、 心を絶え間なく持ち続けて、十五尊を成就する。 これこそ極めて深い密義であり、真言の修行者は知るべきである。 金剛薩埵の心、菩提の真言は次の通りである。
「吽(一)斫訖囉二合(二)多囉斫乞蒭二合渤哩二合(三)句胝(四)曼殊室利二合曳(五)嚩日囉攞細(六)𭍋唎二合吽(七)悉怛哩二合路枳也二合(八)左囉吽(九)鑁(十)欠(十一)室哩二合(十二)阿迦捨麼㘑(十三)帝惹(十四)吽(十五)
唵 フーム(一) タッキ キリ キャ(二) タ タラ タッキ キチャ ビリ(三) ク テイ(四) マンジュ シュリ エ(五) ハ ニチラ ラ サイ(六) キリ フーム(七) シ タリ ロ キヤ(八) チャラ フーム(九) ハン(十) ケン(十一) シリ(十二) ア カ シャ マ ライ(十三) テ ジャ(十四) フーム(十五)
「誦此成就明, 作法成尊身,
然後入薩埵, 一字心密語,
作薩埵業印, 安立自身分,
以十五尊句, 密語種子字,
一一布支分, 而成大悉地。
金剛薩埵心, 一字密言曰:
この成就の明(みょう)を誦し、作法して尊身を成したならば、 しかる後に薩埵(さった)に入る、一字心の密語(みつご)。 薩埵の業印(ごういん)を作し、自身の分(ぶん)を安立(あんりゅう)す。 十五の尊句(そんく)をもって、密語の種子字(しゅじじ)を、 一つ一つ支分(しぶん)に布(し)きて、大悉地(だいしっち)を成す。 金剛薩埵(こんごうさった)の心、一字の密言(みつごん)に曰く、
「吽引
「オン ウン ソワカ」
「金剛阿闍梨, 教授諸弟子,
以緋繒掩面, 與彼作加持。
令次阿闍梨, 教彼薩埵誓,
置華於印中, 令彼散支分,
隨華所墮處, 行人而尊奉,
教彼本明印, 令其作成就,
此名金剛手, 內作業灌頂,
極祕密中祕。 此名五部源,
金剛即寶光, 蓮華即羯磨,
如和同一體, 即此身五佛。
右臂觀音部, 左臂金剛業,
頂上摩尼屬, 多羅毘俱胝,
並是羯磨部, 三世不動尊,
即名四攝智, 喜戲名供養,
虛空眼外持, 金剛光彼岸,
即名三十七, 最上極深密,
法佛密成就。 復次金剛手,
更說內火法, 息災月為爐,
各如本尊貌, 種智發光焰,
焚燒一切罪。 五佛波羅蜜,
名為息災事。 三世天人等,
並為護摩木, 擲諸忿怒天,
以為降伏業。 日月遊空天,
名為增益事。 那羅延自在,
俱摩羅釋王, 金剛尾近那,
名為逐他用。 水族諸天王,
金翅難陀龍, 名為吉祥業。
水天焰魔王, 七母八執曜,
名為勝他作。 皆用金剛手,
一字心密言, 及用本業印,
而用作加持。 但誦彼天明,
用金剛界鉤, 攝彼至空中,
擲彼而為事, 此名最勝尊,
心地極密法。 名稱阿闍梨,
彼覺成就近, 得如是光澤,
方可作此法, 而乃傳與人,
勿妄作諸過。
金剛阿闍梨が弟子たちを教える。 緋色の絹で顔を覆い、彼らに加持を行う。 次に阿闍梨は、彼らに薩埵の誓いを教える。 花を印の中央に置き、彼らに四肢に散らせる。 花が落ちた場所に従い、行者はそれを尊び奉る。 彼らに根本の真言と印を教え、成就させよ。 これを金剛手の内作業灌頂という。 極めて秘密の中の秘密である。これを五部の源という。 金剛は宝光、蓮華は羯磨、 和合して一体となるならば、この身体そのものが五仏である。 右腕は観音部、左腕は金剛の働き、 頭頂は摩尼宝珠に属し、多羅や毘俱胝は、 いずれも羯磨部に属する。三世の不動尊は、 四摂の智慧と呼ばれ、喜びや遊戯は供養である。 虚空眼は外に持ち、金剛光は彼岸に至る。 これを三十七尊といい、最上にして極めて深い秘密である。 法身仏の密なる成就である。さらに金剛手よ、 内火の法について説こう。息災には月を炉とせよ。 それぞれ本尊の姿に従い、種子の智慧が光炎を放ち、 一切の罪を焼き尽くす。五仏の波羅蜜は、 息災の行いと呼ばれる。三世の天人の等は、 すべて護摩の薪とし、諸々の忿怒の天に投げ入れて、 調伏の業とせよ。日月や空中を遊行する天は、 増益の行いである。那羅延や自在天、 俱摩羅や帝釈天、金剛尾近那は、 他者を調伏するために用いる。水の眷属である諸天の王、 金翅鳥や難陀龍は、吉祥の業である。 水天や焔魔王、七母や八曜星は、 他に勝る行いである。すべて金剛手の 一字心の密呪を用い、さらに本業の印を用いて 加持を行え。ただ彼ら(天)の真言を誦し、 金剛界の鉤を用いて彼らを空中に引き寄せ、 彼らを投げ打つことを業とせよ。これを最勝尊の 心の地における極めて秘密の法という。 阿闍梨と名乗る者は、 その覚りが成就に近づき、このような光沢を得たならば、 はじめてこの法を行うことができ、これを人に伝えよ。 誤って様々な過ちを起こしてはならない。
「次說遜婆明王根本真言曰:
次に、尊ばれる明王の根本真言を説きます。
「唵嚩日囉二合吽引羯囉吽短聲吽短聲吽短聲𩕳遜婆吽短聲
「先住菩提大印已, 羯磨四印作加持,
以成三世大誓身, 兩臂青色薩埵儀,
然後入忿怒王業, 二羽掙擲金剛杵,
至空却下承薩埵。 復次三旋金剛舞,
至空却下金剛王, 乃至善哉亦如是,
即能廣作諸事業, 是名最初吽迦囉。
如前所結誦心密, 方應作此護摩業。
まず、菩提(さとり)の大いなる印を結び、 四つの印の業(わざ)によって力を加える。
こうして三世(さんぜ)の大いなる誓いの身を成就し、 両腕は青色、サットヴァ(菩薩)の姿を示す。
その後、忿怒王(ふんぬおう)の業に入り、 両の手で金剛杵(こんごうしょ)を振りかざし投げる。
虚空に達してから下ろし、サットヴァを受け止める。 次に三回、金剛の舞を巡らせ、
虚空に至ってから金剛王を下ろす。 「善哉(ぜんさい)」の唱えも同様に行う。
これによって広くさまざまな業をなすことができる。 これを最初の「フーンカーラ(吽迦羅)」という。
先に述べたように、心の密呪(みつじゅ)を唱えたなら、 ここでこの護摩(ごま)の業を行うべきである。
「所用護摩物其體同,此明皆從心流出,各隨其本色傳之爾。
用いる護摩の供物は、その本質は同じです。この真言はすべて心から流れ出るものであり、それぞれの色に従って伝えられるのです。
「又取黑鹽護摩,能召一切天,隨名呼之,能滿所求事。又取以烏牛糞護摩,能召一切妙吉祥菩薩,能成般若波羅蜜。又法以黑沈香護摩,能令普賢菩薩受與一切持明法。
また、黒塩をホーマ(護摩)に用いると、あらゆる天を招くことができます。その名を呼べば、求めに応じて願い事を満たしてくれます。また、黒い牛の糞をホーマに用いると、あらゆる妙吉祥菩薩(文殊菩薩)を招き、般若波羅蜜を成就できます。また、黒沈香をホーマに用いると、普賢菩薩に一切の持明法を授けさせることができます。
「又法以黑華護摩,能令虛空庫菩薩受與一切雜事業。
また、黒い花を護摩(ごま)に用いる法(ほう)により、虚空庫菩薩(こくうくぼさつ)が一切のさまざまな事業を授けてくださるのである。
「又法以黑土而作護摩業,悉皆能召集一切地居天。
また、黒土を用いて護摩の行を修すれば、一切の地居天をことごとく召喚することができる。
「若以白色華, 護摩作供養,
一切吉祥天, 賜與金寶藏,
恣意而受用。 護摩白樹汁,
能令諸母天, 受與妙仙藥,
服壽命一劫。 若以檀香護,
驅使上界天, 護摩蘇合香,
住空亦如是。 以麝香護摩,
役使遊空天, 地居以牛黃,
地底用安息。 若常用沈香,
護摩而奉獻, 十六大菩薩,
各速疾授與, 本本三昧耶。
若常以龍腦, 而作護摩業,
八供養菩薩, 受與三昧耶,
令速疾成就。 黃檀常護摩,
五部四攝等, 菩薩為侍者,
隨意皆能辦。 護摩以欝金,
五方諸如來, 不壞應身故,
常來作加持。 丁香作護摩,
一切蓮華部, 曼拏羅皆集,
受與三摩地, 殊勝之灌頂。
護摩菩提葉, 一切金剛部,
曼拏羅皆集, 授降魔灌頂。
白蓮華護摩, 寶部曼拏羅,
雲集而授與, 法財灌頂位。
護以青蓮華, 能令如來部,
五部曼拏羅, 如是等聖眾,
授種種隨類, 所業之灌頂。
如上之所說, 最勝護摩法,
百八誦真言, 加持而作業,
所作業與物, 獲得如是報,
三業淨柔軟, 輕安受適悅,
大印三菩提, 速疾而成就。
又說息災法, 取蓮華智字,
及以虛空智, 合和為神線,
想繫右臂上, 即能離諸過。
或取羯磨智, 及金剛因字,
和合為神線, 即能利樂身。
又取金剛部, 四尊種智字,
和合為色線, 即能降伏業。
又取摩尼部, 四聖密智字,
和合為色線, 即能增益事。
又取蓮華部, 四聖種子字,
和合為四線, 即能一切愛。
又取羯磨部, 四尊密智字,
和合為四線, 即能鉤召用。
此名內護摩, 依前火中作,
乃至三十七, 並依此法教,
金剛薩埵心, 及印爐光焰。
又法取青茅, 作一旋茅環,
釧於進力指, 能除眾不祥;
釧於忍願節, 能除一切苦;
釧於禪智度, 能奪那羅延;
釧於戒方指, 能令本尊悅,
授於一切願, 及成就一切;
釧於檀慧節, 親近諸悉地,
一切佛歡喜, 不違本誓力。」
白い花で護摩を捧げれば、 一切の吉祥天が金の宝を授け、 思うままに使い果たせる。 白い木の汁で護摩をすれば、 諸々の母天に妙なる仙薬を授けられ、 それを飲めば寿命は一劫となる。 栴檀で護摩をすれば、 上界の天を使役できる。 蘇合香で護摩をすれば、 虚空に住む天も同じく従う。 麝香で護摩をすれば、 虚空を遊ぶ天を使役し、 牛黄(ごおう)では地に住む天を、 安息香では地底の天を使う。 常に沈香で護摩を捧げれば、 十六大菩薩がそれぞれ、 速やかに本来の三昧耶を授ける。 常に竜脳(りゅうのう)で護摩を行えば、 八供養菩薩が三昧耶を授け、 速やかに成就させる。 黄栴檀(きびゃくだん)で常に護摩をすれば、 五部や四摂等の菩薩が侍者となり、 思いのままに事を成す。 鬱金(うこん)で護摩をすれば、 五方の如來が、不壊の応身であるがゆえに、 常に来て加持する。 丁香(ちょうこう)で護摩をすれば、 一切の蓮華部の曼荼羅が集まり、 三摩地と殊勝な灌頂を授ける。 菩提葉で護摩をすれば、 一切の金剛部の曼荼羅が集まり、 降魔の灌頂を授ける。 白蓮華で護摩をすれば、 宝部の曼荼羅が雲集し、 法財の灌頂の位を授ける。 青蓮華で護摩をすれば、 如來部の五部曼荼羅等の聖衆が、 それぞれの業に応じた灌頂を授ける。 以上が最勝の護摩法である。 一百八度真言を唱えて加持し、業を行い、 物を捧げれば、このような果報を得る。 三業は清らかに柔らかくなり、 軽安(きょうあん)と適悦を受け、 大印(だいいん)の三菩提を速やかに成就する。
また息災法を説く。 蓮華智の字と虚空智の字を取り、 合わせて神線とし、 右腕に結ぶと思い、 諸々の過ちを離れることができる。 あるいは羯磨智と金剛因の字を取り、 合わせて神線とすれば、 身を利楽させる。 また金剛部の四尊の種智の字を取り、 合わせて色線とすれば、 業を降伏させる。 また摩尼部の四聖の密智の字を取り、 合わせて色線とすれば、 增益の事を成す。 また蓮華部の四聖の種子字を取り、 合わせて四線とすれば、 一切の愛を得る。 また羯磨部の四尊の密智の字を取り、 合わせて四線とすれば、 召請(しょうじょう)に用いる。 これを内護摩と名づけ、 先に説いた火中で行う。 三十七尊に至るまで、 すべてこの教えに従う。 金剛薩埵の心と印、炉、光、焔もまた同じ。
また青茅を取り、一つの茅環を作り、 進力の指(人差し指)に付けば、 あらゆる不祥を除き、 忍願の指(中指)の節に付けば、 一切の苦を除き、 禅智の指(親指)に付けば、 那羅延(天の力)を奪い、 戒方の指(薬指)に付けば、 本尊を喜ばせ、一切の願いを授け、 すべてを成就させる。 檀慧の指(小指)の節に付けば、 諸々の悉地に親しみ、 一切の仏が喜び、本誓の力を違えない。