運夷
第9章 控えめに保つ
持而盈之,不如其已。(盈,滿也。已,止也。持滿必傾,不如止也。)揣而銳之,不可長保。(揣,治也。先揣之,後必棄捐。)金玉滿堂,莫之能守。(嗜慾傷神,財多累身。)富貴而驕,自遺其咎。(夫富當賑貧,貴當憐賤,而反驕恣,必被禍患也。)功成、名遂、身退,天之道。(言人所為,功成事立,名蹟稱遂,不退身避位,則遇於害,此乃天之常道也。譬如日中則移,月滿則虧,物盛則衰,樂極則哀。)
持ち満たそうとするより、むしろ止めるほうがよい。(「盈」は満ちるという意味、「已」は止めるという意味。器を満たしきれば必ず傾く、だから止めるのがよい。)研ぎ澄まして鋭くするのは、長く保てない。(「揣」は磨くという意味。鋭く磨いたものは、いずれ必ず捨てられる。)金や玉を家に満ち満ちさせても、それを守り通すことはできない。(欲望は心を傷つけ、財産が多ければ体を疲れさせる。)富や地位を得て傲慢になれば、自ら災いを招くことになる。(富める者は貧しい者を助け、身分の高い者は低い者を慈しむべきなのに、それに反して傲慢になれば、必ず災難に遭う。)功績が成り、名声が確立したなら、身を引くのが天の道である。(人が成し遂げることは、功績が成り、事が整い、名声が確立しても、身を引いて地位を譲らなければ、害に遭うことになる。これが天の常なる道である。たとえば、太陽は天の真ん中に来れば傾き、月は満ちれば欠け、物事は盛んになれば衰え、喜びが極まれば悲しみに変わるように。)