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長阿含経 (長阿含經)


佛說長阿含經卷第四

仏説長阿含経 第四巻

後秦弘始年佛陀耶舍共竺佛念譯

後秦弘始年間、仏陀耶舎と竺仏念による共訳

遊行經第二後

遊行経 第二 後篇

爾時,佛告阿難:「時王自念:『我本積何功德,修何善本,今獲果報,巍巍如是?』復自思念:『以三因緣,致此福報。何謂三?一曰布施,二曰持戒,三曰禪思,以是因緣,今獲大報。』王復自念:『我今已受人間福報,當復進修天福之業,宜自抑損,去離憒閙,隱處閑居,以崇道術。』時,王即命善賢寶女,而告之曰:『我今已受人間福報,當復進修天福之業,宜自抑損,去離憒閙,隱處閑居,以崇道術。』女言:『唯諾!如大王教。』即勑內外,絕於侍覲。

その時、仏は阿難に告げられた。 「時に王は心に思った。 『私はかつてどのような功徳を積み、どのような善根を修めたので、今このような崇高な果報を得たのだろうか』と。 さらに考えた。 『三つの因縁によって、この福報を得たのだ。三つとは何か。一つは布施、二つは戒律を守ること、三つは禅定である。この因縁によって、今大きな報いを得たのだ』と。 王はさらに思った。 『私はすでに人間の福報を受けた。今こそ天界の福報を得るための修行を進めよう。自らを慎み、喧騒を離れ、静かな場所に身を置き、道を深めなければならない』と。 そこで王は善賢宝女を呼び寄せて告げた。 『私はすでに人間の福報を受けた。今こそ天界の福報を得るための修行を進めよう。自らを慎み、喧騒を離れ、静かな場所に身を置き、道を深めなければならない』と。 女は言った。 『承知いたしました。大王のお言葉のとおりに』。 そして内外に命じて、側近の者たちとの面会を絶ったのでした。」

「時,王即昇法殿,入金樓觀,坐銀御牀,思惟貪婬欲、惡不善,有覺、有觀,離生喜、樂,得第一禪;除滅覺、觀,內信歡悅,撿心專一,無覺、無觀,定生喜、樂,得第二禪;捨喜守護,專念不亂,自知身樂,賢聖所求,護念樂行,得第三禪;捨滅苦、樂,先除憂、喜,不苦不樂,護念清淨,得第四禪。時,善見王起銀御牀,出金樓觀,詣大正樓,坐琉璃牀,修習慈心,遍滿一方,餘方亦爾,周遍廣普無二無量,除眾結恨,心無嫉惡,靜默慈柔以自娛樂,悲、喜、捨心,亦復如是。

その時、王はただちに法殿に昇り、金の楼閣に入り、銀の御床に坐して、貪りや淫欲などの悪しき不善の心を思惟し、覚と観を有する状態を離れ、喜びと楽しみが生じ、第一禅を得た。次に覚と観を除き去り、内に信心と歓喜が満ち、心を一つに収め、覚も観もなく、定のなかから喜びと楽しみが生じ、第二禅を得た。さらに喜びを捨てて守りを保ち、専心して乱れず、自ら身の楽しみを知り、聖者が求める護念の楽行を実践し、第三禅を得た。最後に苦と楽を捨て去り、先に憂いと喜びを除き、苦もなく楽もない、清らかな護念の境地に至り、第四禅を得た。

その後、善見王は銀の御床から立ち上がり、金の楼閣を出て、大正楼に赴き、瑠璃の床に坐して、慈しみの心を修習した。その慈しみは一方に満ち、他の方角にも同様に広がり、偏りなく広く普遍的に、限りなく広がった。すべての煩悩と恨みを除き、心に嫉みや悪意はなく、静かで慈愛に満ちた柔らかさをもって自らを楽しませた。同じように、悲しみの心、喜びの心、捨てる心も修めたのである。

「時,玉女寶默自念言:『久違顏色,思一侍覲,今者寧可奉現大王。』時,寶女善賢告八萬四千諸婇女曰:『汝等宜各沐浴香湯,嚴飾衣服,所以然者?我等久違顏色,宜一奉覲。』諸女聞已,各嚴衣服,沐浴澡潔。時,寶女善賢又告主兵寶臣集四種兵:『我等久違朝覲,宜一奉現。』時,主兵臣即集四兵,白寶女言:『四兵已集,宜知是時。』於是,寶女將八萬四千婇女,四兵導從,詣金多隣園,大眾震動,聲聞于王,王聞聲已,臨牕而觀,寶女即前,戶側而立。

その時、玉女寶はひそかに思いました。「久しくお顔を拝しておらず、一度おそばに侍りたい。今こそ大王にお目にかかるべき時だ」と。

すると、寶女の善賢は八万四千の侍女たちに告げました。「あなたがたはそれぞれ香湯で沐浴し、衣服を整えなさい。なぜなら、私たちは久しくお顔を拝しておらず、一度おそばに侍るべき時だからです」

侍女たちはこれを聞き、それぞれ衣服を整え、沐浴して清めました。

次に、寶女の善賢は主兵寶の臣に告げ、四種の兵を集めさせました。「私たちは久しく朝覲しておらず、一度お目にかかるべきです」

主兵の臣はすぐに四兵を集め、寶女に言いました。「四兵はすでに集まりました。今がその時です」

そこで、寶女は八万四千の侍女たちを率い、四兵が先導し、金多隣園に向かいました。大衆の動きは大きく、その声は王にまで届きました。

王はその声を聞き、窓に臨んで眺めました。寶女はすぐに進み出て、戸のそばに立ちました。

「時,王見女,尋告之曰:『汝止勿前,吾將出觀。』時,善見王起頗梨座,出大正樓,下正法殿,與玉女寶詣多隣園,就座而坐。時,善見王容顏光澤有踰於常,善賢寶女即自念言:『今者大王色勝於常,是何異瑞?』時,女尋白大王:『今者顏色異常,將非異瑞,欲捨壽耶?今此八萬四千象,白象寶為第一。金銀交飾,珞用寶珠,自王所有,願少留意,共相娛樂,勿便捨壽,孤棄萬民。又八萬四千馬,力馬王為第一;八萬四千車,輪寶為第一;八萬四千珠,神珠寶第一;八萬四千女,玉女寶第一;八萬四千居士,居士寶第一;八萬四千剎利,主兵寶第一;八萬四千城,拘尸城第一;八萬四千殿,正法殿第一;八萬四千樓,大正樓第一;八萬四千座,寶飾第一;八萬四千億衣,柔軟第一;八萬四千種食,味味珍異。凡此眾寶,皆王所有,願少留意,共相娛樂,勿便捨壽,孤棄萬民。』

その時、王は彼女を見て、すぐに告げました。「そこで待っていなさい。私が出て行くから」

善見王は水晶の座から立ち上がり、大正楼を出て、正法殿から降り、玉女宝と共に多隣園へ向かい、座に着きました。

善見王の顔色は光沢に満ち、普段よりも輝いていました。善賢宝女は心の中で思いました。「今、大王の顔色は普段より優れている。これは何か特別な吉兆なのだろうか?」

そこで、彼女はすぐに大王に申し上げました。「今、お顔色が普段と違います。これは特別な吉兆であり、まさか寿命を捨てようとなさっているのではありませんか? 今、八万四千の象がありますが、白象宝が第一です。金銀で飾り、宝珠で装飾されています。すべては王様のお持ち物です。どうか少し思いとどまり、共に楽しんでください。どうか寿命をお捨てにならず、万民を見捨てないでください。

また、八万四千の馬がありますが、力馬王が第一です。八万四千の車がありますが、輪宝が第一です。八万四千の珠がありますが、神珠宝が第一です。八万四千の女がありますが、玉女宝が第一です。八万四千の居士がありますが、居士宝が第一です。八万四千の刹利がありますが、主兵宝が第一です。八万四千の城がありますが、拘尸城が第一です。八万四千の殿がありますが、正法殿が第一です。八万四千の楼がありますが、大正楼が第一です。八万四千の座がありますが、宝飾が第一です。八万四千億の衣がありますが、柔軟なものが第一です。八万四千種の食べ物がありますが、どれも珍しい味わいです。

これらすべての宝物は、すべて王様のお持ち物です。どうか少し思いとどまり、共に楽しんでください。どうか寿命をお捨てにならず、万民を見捨てないでください。」

「時,善見王答寶女曰:『自汝昔來恭奉於我,慈柔敬順,言無麤漏今者何故,乃作此語?』女白王曰:『不審所白有何不順?』王告女曰:『汝向所言:象馬、寶車、金輪、宮觀、名服、餚饍,斯皆無常,不可久保,而勸我留,豈是順耶?』女白王言:『不審慈順當何以言?』王告女曰:『汝若能言:象馬、寶車、金輪、宮觀、名服、餚饍,斯皆無常,不可久保,願不戀著,以勞神思。所以然者?王命未幾當就後世,夫生有死,合會有離,何有生此而永壽者?宜割恩愛以存道意,斯乃名曰敬順言也。』

その時、善見王は宝女に答えられました。「あなたは昔からずっと私に仕え、慈しみ深く柔らかく、敬い慎んで、粗雑な言葉もなかった。今になってなぜ、このようなことを言うのか」

女は王に申し上げました。「何が慎みに反しているのか、よくわかりません」 王は女に告げられました。「あなたが今言ったこと、象や馬、宝の車、金輪、宮殿、名高い衣服、ごちそう、これらはすべて無常であり、長く保つことはできない。それなのに私に留まるよう勧めるのは、果たして慎みにかなっていると言えるだろうか」

女は王に申し上げました。「では、慈しみと慎みにかなう言葉とは、どのようなものなのでしょうか」 王は女に告げられました。「もしあなたがこう言うならば、それは慈順の言葉と言えよう。『象や馬、宝の車、金輪、宮殿、名高い衣服、ごちそう、これらはすべて無常であり、長く保つことはできません。どうかこれらに執着せず、心を煩わせませんように。なぜならば、王の命もまもなく尽き、来世に赴かねばならないからです。生あるものには死があり、会うものには別れがあります。この世に生を受けて永遠に生きる者などいるでしょうか。恩愛を断ち切り、道を求める心を保つべきです』と」

「阿難!時,玉女寶聞王此教,悲泣號啼,捫淚而言:『象馬、寶車、金輪、宮觀、名服、餚饍,斯皆無常,不可久保,願不戀著,以勞神思。所以然者?王壽未幾當就後世,夫生有死,合會有離,何有生此而永壽者?宜割恩愛以存道意。』

阿難よ、その時、玉女宝は王のこの教えを聞き、悲しみ泣き、涙をぬぐいながら言いました。「象や馬、宝の車、金の輪、宮殿、美しい衣、ごちそう、これらはすべて無常であり、長く保つことはできません。どうかこれらに執着せず、心を煩わせないでください。なぜなら、王の寿命は残りわずか、やがて来世へと向かわれるのです。生あるものには必ず死があり、出会いには別れがあります。この世に生まれたものが永遠に生きるなど、ありえません。どうか愛着を断ち切り、道を求める心を保ってください。」

「阿難!彼玉女寶撫此言頃,時,善見王忽然命終,猶如壯士美飯一飡,無有苦惱,魂神上生第七梵天。其王善見死七日後,輪寶、珠寶自然不現,象寶、馬寶、玉女寶、居士寶、主兵寶同日命終,城池、法殿、樓觀、寶飾、金多隣園,皆變為土木。」

阿難よ、その玉女寶がこの言葉を語り終えたその瞬間、善見王は突然に命を終えました。あたかも力強い者が美味しい食事を一膳とるかのように、何の苦しみもなく、魂は第七の梵天へと昇って行ったのです。

善見王が亡くなって七日後、輪寶と珠寶は自然と姿を消し、象寶、馬寶、玉女寶、居士寶、主兵寶も同じ日に命尽きました。城壁や宮殿、楼閣、宝石の装飾、金多隣園のすべては、土と木に戻ってしまったのです。

佛告阿難:「此有為法,無常變易,要歸磨滅,貪欲無厭,消散人命,戀著恩愛,無有知足。唯得聖智,諦見道者,爾乃知足。阿難!我自憶念,曾於此處六返,作轉輪聖王,終措骨於此。今我成無上正覺,復捨性命,措身於此,自今已後,生死永絕,無有方土,措吾身處,此最後邊,更不受有。」

仏は阿難に告げられた:「この有為の法は、無常であり、移り変わり、必ず滅びに帰する。貪欲には飽きることがなく、人の命を散らし、恩愛に執着して、満足を知ることがない。ただ聖なる智慧を得、真実の道を見極めた者だけが、はじめて足ることを知るのだ。阿難よ、私は思い起こす。かつてこの地で六度、転輪聖王となったが、ついにはこの地に骨を埋めた。今、私は無上の正覚を成し、再び命を捨て、この身をここに置く。今より後、生死は永遠に絶え、私の身を置くべき国土も方所もない。これが最後の境地であり、再び有を受けることはない。」

爾時,世尊在拘尸那竭城本所生處,娑羅園中雙樹間,臨將滅度,告阿難曰:「汝入拘尸那竭城,告諸末羅:『諸賢!當知如來夜半於娑羅園雙樹間當般涅槃,汝等可往諮問所疑,面受教誡,宜及是時,無從後悔。』」

その時、世尊はクシナガラの町、ご自身が生まれた土地の、沙羅双樹の園林にいらっしゃいました。まさに涅槃に入られようとする中で、阿難にこうおっしゃいました。

「そなたはクシナガラの町に入り、末羅族の人々に伝えなさい。『皆さま、知っておいてください。如来は今夜の半ば、沙羅双樹の園林で涅槃に入られます。どうかここへお越しになり、疑問を尋ね、直接お教えを受け取ってください。今がその時です。後になって悔やむことのないように』と」

是時,阿難受佛教已,即從座起,禮佛而去。與一比丘埀淚而行,入拘尸城,見五百末羅以少因緣,集在一處。

その時、阿難は仏の教えを受け、すぐに座から立ち上がり、仏に礼拝して去りました。一人の比丘と共に涙を流しながら歩き、拘尸城に入ると、五百人の末羅族が小さな縁で一か所に集まっているのを見ました。

時,諸末羅見阿難來,即起作禮,於一面立,白阿難言:「不審尊者今入此城,何甚晚暮,欲何作為?」

その時、末羅族の人々は阿難が来るのを見て、すぐに立ち上がって礼をし、傍らに立って阿難に言いました。「尊き方よ、なぜこんなに遅くにこの町に入られたのですか?何をなさるおつもりでしょうか?」

阿難垂淚言:「吾為汝等,欲相饒益,故來相告。卿等當知,如來夜半當般涅槃,汝等可往諮問所疑,面受教誡,宜及是時,無從後悔。」

阿難は涙を流しながら言いました。 「私はあなた方のために、少しでもお役に立ちたいと思い、このようにお伝えに参りました。 どうか覚えておいてください。如来は今夜の真夜中に般涅槃に入られます。 あなた方はどうかお会いして、疑問を尋ね、直接教えを授かってください。 今がその時です。後で悔やむことのないように。」

時,諸末羅聞是言已,舉聲悲號,宛轉躃地,絕而復甦,譬如大樹根拔,枝條摧折,同舉聲言:「佛取滅度,何其駛哉!佛取滅度,何其速哉!群生長衰,世間眼滅。」

その時、末羅族の人々はこの言葉を聞くと、声をあげて悲しみ泣き、もだえ苦しみ地面に倒れ、気を失ってはまた息を吹き返しました。まるで大樹が根こそぎ倒れ、枝葉が折れ砕かれるかのようでした。彼らは声を合わせて言いました。「仏陀が涅槃に入られるとは、なんと早いことか!仏陀が涅槃に入られるとは、なんと速いことか!生きとし生けるものは衰え、世を照らす眼が消えようとしている。」

是時,阿難慰勞諸末羅言:「止!止!勿悲!天地萬物,無生不終,欲使有為而常存者,無有是處。佛不云乎?合會有離,生必有盡。」

その時、阿難は末羅族の人々を慰めて言いました。「どうか、どうか、悲しまないでください。天地の万物、生まれたもので終わりを迎えないものはありません。形あるものが常に存続することを願うのは、道理に合わないことです。仏はこうおっしゃっていませんか?『出会いには別れがあり、生あるものには必ず終わりがある』と。」

時,諸末羅各相謂言:「吾等還歸,將諸家屬,并持五百張白疊,共詣雙樹。」

その時、末羅族の人々は互いに言い合いました。「さあ、我々は家に帰って家族を連れ、五百枚の白い布を持ち、共に沙羅双樹のもとへ参りましょう。」

時,諸末羅各歸舍已,將諸家屬,并持白疊,出拘尸城,詣雙樹間,至阿難所。阿難遙見,默自念言:「彼人眾多,若一一見佛,恐未周聞,佛先滅度。我今寧可使於前夜,同時見佛。」即將五百末羅及其家屬,至世尊所,頭面禮足,在一面立,阿難前白佛言:「某甲某甲諸末羅等及其家屬,問訊世尊起居增損。」

その時、諸々の末羅族の人々はそれぞれ家に帰ると、家族を連れ、白布を持って拘尸城を出て、沙羅双樹の間へと向かい、阿難のもとに至りました。阿難は遠くから彼らを見て、心の中でこう思いました。「あの人々は大勢だ。もし一人一人が順番に仏に会おうとすれば、全員が会う前に仏が入滅してしまうかもしれない。私は今、彼らを前夜のうちに一斉に仏に会わせるようにしよう。」そこで阿難は五百人の末羅族とその家族を連れて、世尊のもとへ行き、頭面礼足して一側に立ちました。阿難は進み出て仏に申し上げました。「これこれの末羅族の人々とその家族一同が、世尊のご安否とご健康をお尋ね申し上げます。」

佛報言:「勞汝等來,當使汝等壽命延長,無病無痛。」阿難乃能將諸末羅及其家屬,使見世尊。

仏はお答えになりました。「あなたがたが来てくれたことに感謝します。あなたがたの寿命が延び、病や痛みから解放されますように。」そこで阿難は、末羅たちとその家族を連れて、世尊にお会いすることができました。

時,諸末羅頭面禮足,於一面坐。爾時,世尊為說無常,示教利喜。時,諸末羅聞法歡喜,即以五百張疊,奉上世尊,佛為受之,諸末羅即從座起,禮佛而去。

その時、末羅族の人々は頭を地につけて仏足を礼拝し、傍らに座りました。すると、世尊は彼らに無常の法を説き、教えを示し、利益と喜びを与えられました。末羅族の人々は法を聞いて歓喜し、直ちに五百枚の布を世尊に捧げました。仏はそれを受け取られ、末羅族の人々は座から立ち上がり、仏を礼拝して去っていきました。

是時,拘尸城內,有一梵志,名曰須跋,年百二十,耆舊多智,聞沙門瞿曇今夜於雙樹間當取滅度,自念言:「吾於法有疑,唯有瞿曇能解我意,今當及時自力而行。」即於其夜,出拘尸城,詣雙樹間,至阿難所,問訊已,一面立,白阿難曰:「我聞瞿曇沙門今夜當取滅度,故來至此,求一相見。我於法有疑,願見瞿曇,一決我意,寧有閑暇得相見不?」

その時、拘尸城に一人の梵志がおり、名を須跋といった。齢は百二十、老いて賢く知恵深かった。沙門瞿曇が今夜、双樹の間で入滅されると聞き、彼は心に思った。「私は法について疑問がある。ただ瞿曇だけが私の思いを解き明かしてくださるだろう。今こそ自ら力を尽くして行かねばならない。」そこでその夜、彼は拘尸城を出て、双樹の間へと向かい、阿難のもとに至った。挨拶を交わした後、一歩進み出て、阿難に言った。「私は沙門瞿曇が今夜、入滅されると聞き、こうして参りました。お会いしてお話を伺いたいのです。私は法について疑問を抱いており、どうか瞿曇にお目にかかり、私の思いをはっきりとさせていただきたい。お暇がありましたら、お会いすることはできませんでしょうか。」

阿難報言:「止!止!須跋!佛身有疾,無勞擾也。」

阿難は答えて言った、「やめてください、やめてください、須跋よ。仏陀の御体はご不調です。お騒がせしないでください。」

須跋固請,乃至再三:「吾聞如來時一出世,如優曇鉢花時時乃出,故來求現,欲決所疑,寧有閑暇暫相見不?」

須跋は固く請い、三度までも繰り返しました。 「私は聞きました、如来は時折この世に現れると。優曇鉢華のように、稀にしか咲かない花のように。だから私はお会いし、疑問を解きたくて参りました。どうか、ほんの少しの間でも、お会いいただけませんでしょうか?」

阿難答如初:「佛身有疾,無勞擾也。」

阿難はまた同じように答えました。「仏陀はご病気でいらっしゃいます。どうかお騒がせなさいませんように。」

時,佛告阿難:「汝勿遮止!聽使來入,此欲決疑,無嬈亂也,設聞我法,必得開解。」

その時、仏は阿難に告げられた:「止めなくてよい。彼らを入らせなさい。彼らは疑問を解決したいのであって、混乱を起こすためではありません。もし私の教えを聞けば、必ず理解を得るでしょう。」

阿難乃告須跋:「汝欲覲佛,宜知是時。」

阿難は須跋に告げた:「あなたが仏に会いたいなら、今がちょうどよい時です。」

須跋即入,問訊已,一面坐,而白佛言:「我於法有疑,寧有閑暇一決所滯不?」

須跋はすぐに入り、挨拶を済ませると、一隅に座り、仏に申し上げた。「私は法について疑問があります。お時間をいただければ、滞っている疑問を解いていただけませんか?」

佛言:「恣汝所問。」

お釈迦様はおっしゃいました。「何でもお尋ねなさい。」

須跋即問:「云何?瞿曇!諸有別眾,自稱為師,不蘭迦葉、末伽梨憍舍利、阿浮陀翅舍金披羅、波浮迦旃、薩若毘耶梨弗、尼揵子,此諸師等,各有異法,瞿曇沙門能盡知耶?不盡知耶?」

須跋はすぐに尋ねました。 「瞿曇よ、どうでしょうか。世には様々な教団があり、それぞれが師と称しています。不蘭迦葉、末伽梨憍舍利、阿浮陀翅舍金披羅、波浮迦旃、薩若毘耶梨弗、尼揵子――これらの師たちは、それぞれ異なる教えを持っています。瞿曇沙門よ、あなたはそれらの教えをすべてご存知ですか? それとも、すべてはご存知ではないのですか?」

佛言:「止!止!用論此為,吾悉知耳。今當為汝說深妙法,諦聽!諦聽!善思念之。」

仏は言われた。「止めよ、止めよ。このことを論じるのは無用である。私はすべてを知っている。今、あなたがたのために深遠で微妙な法を説こう。よく聞きなさい、よく聞きなさい。善く思念しなさい。」

須跋受教,佛告之曰:「若諸法中,無八聖道者,則無第一沙門果,第二、第三、第四沙門果。須跋!以諸法中有八聖道故,便有第一沙門果,第二、第三、第四沙門果。須跋!今我法中有八聖道,有第一沙門果,第二、第三、第四沙門果,外道異眾無沙門果。」爾時,世尊為須跋而說頌曰:

須跋よ、よく聞きなさい。もし諸々の法の中に八聖道がなければ、第一の沙門果も、第二、第三、第四の沙門果も存在しない。須跋よ、諸々の法の中に八聖道があるからこそ、第一の沙門果、第二、第三、第四の沙門果があるのだ。須跋よ、今、私の教えの中には八聖道があり、第一の沙門果、第二、第三、第四の沙門果がある。外道の他の教えには沙門果はない。

その時、世尊は須跋のために次の偈を説かれた。

「我年二十九,出家求善道;
須跋我成佛,今已五十年。
戒定智慧行,獨處而思惟;
今說法之要,此外無沙門。」

私は二十九歳の時、出家して善き道を求めました。 須跋陀よ、私が仏となってから、今や五十年が過ぎました。 戒律と禅定と智慧の修行を、一人で行い深く思惟してきました。 今、私は説法の要諦を語ります。これ以外に真の沙門はありません。

佛告須跋:「若諸比丘皆能自攝者,則此世間羅漢不空。」

仏は須跋に告げた:「もしも比丘たちが皆、自らを律することができるならば、この世に阿羅漢が空しくあることはない。」

是時,須跋白阿難言:「諸有從沙門瞿曇已行梵行,今行、當行者,為得大利。阿難!汝於如來所修行梵行,亦得大利,我得面覲如來,諮問所疑,亦得大利。今者,如來則為以弟子莂而別我已。」

その時、須跋は阿難に言いました。「沙門瞿曇のもとで梵行を修め、今修め、これから修める者は、大いなる利益を得るのです。阿難よ、あなたは如来のもとで梵行を修め、大いなる利益を得ました。私も如来に直接お会いし、疑問を尋ねることができ、大いなる利益を得ました。今、如来は弟子としての印を私に与えてくださったのです。」

即白佛言:「我今寧得於如來法中出家受具戒不?」

私は今すぐに、如来の教えの中で出家し、具足戒を受けることはできますか?

佛告須跋:「若有異學梵志於我法中修梵行者,當試四月,觀其人行,察其志性,具諸威儀無漏失者,則於我法得受具戒。須跋!當知在人行耳。」

仏陀は須跋に告げられた:「もし他宗の修行者が我が教えの中で清らかな行いを修めるならば、まず四ヶ月の試行期間を設けなさい。その者の行いを観察し、志と性質を見極め、すべての威儀に漏れがなく整っているならば、我が教えにおいて正式な戒律を受けることができる。須跋よ、覚えておきなさい、結局はその人の実践次第なのだ。」

須跋復白言:「外道異學於佛法中當試四月,觀其人行,察其志性,具諸威儀無漏失者,乃得具戒。今我能於佛正法中四歲使役,具諸威儀,無有漏失,乃受具戒。」

須跋はまた申し上げました。 「外道や異なる学びを持つ者は、仏法に入る際、四か月間の試しの期間があり、その人の行いを観察し、志や性質を確かめ、すべての威儀に漏れや欠けがないことを確認してから、正式な戒律を受けることができます。 今、私は仏の正しい法の中で四年間、お仕えし、すべての威儀を整え、何一つ欠けることなく過ごした後に、正式な戒律を受けたいと思います。」

佛告須跋:「我先已說在人行耳。」

お釈迦様は須跋陀に仰せになりました。 「私はすでに、人々が実践するための教えを説いたのです。」

於是,須跋即於其夜,出家受戒,淨修梵行,於現法中,自身作證:生死已盡,梵行已立,所作已辦,得如實智,更不受有。時,夜未久,即成羅漢,是為如來最後弟子,便先滅度而佛後焉。

そこで、須跋はその夜のうちに出家して戒を受け、清らかな修行に励み、現世において自ら悟りを証得した。生死の輪廻はすでに尽き、清らかな修行は確立され、なすべきことは成し遂げられ、真実の智慧を得て、もはや再び迷いの世界に生を受けることはない。夜がまだ深くないうちに、彼は阿羅漢となった。これが如来の最後の弟子であり、彼は先に涅槃に入り、その後に仏が入滅されたのである。

是時,阿難在佛後立,撫牀悲泣,不能自勝,歔欷而言:「如來滅度,何其駛哉!世尊滅度,何其疾哉!大法淪曀,何其速哉!群生長衰,世間眼滅,所以者何?我蒙佛恩,得在學地,所業未成,而佛滅度。」

その時、阿難は仏陀の後ろに立ち、座に寄りかかって悲しみに暮れ、自らを抑えることができず、すすり泣きながら言いました。

「如来が入滅されるとは、なんと早いことでしょう! 世尊が入滅されるとは、なんと急なことでしょう! 大いなる教えが失われるとは、なんと速やかなことでしょう! 生きとし生けるものは長く衰え、世間の眼が消えようとしています。 なぜならば、私は仏陀のご恩を受けて学びの道にありながら、 なすべき業を成し遂げぬうちに、仏陀が入滅されるからです。」

爾時,世尊知而故問:「阿難比丘今為所在?」

その時、世尊は知りながらあえて尋ねられた。「阿難比丘は今どこにおられるか?」

時,諸比丘白如來曰:「阿難比丘今在佛後撫牀悲泣,不能自勝,歔欷而言:『如來滅度,何其駛哉!世尊滅度,何其疾哉!大法淪曀,何其速哉!群生長衰,世間眼滅,所以者何?我蒙佛恩,得在學地,所業未成,而佛滅度。』」

その時、諸比丘たちは如来に申し上げました。「阿難比丘は今、仏の後ろで床を撫でて悲しみ泣き、自らを抑えることができません。嗚咽しながらこう言っています。『如来の滅度は、なんと早いことか。世尊の滅度は、なんと速やかなことか。大いなる教えが曇り覆われるのは、なんと早いことか。衆生は長く衰え、世間の眼が滅びてしまう。なぜならば、私は仏のご恩に浴して学びの境地にありながら、なすべき業がまだ成就しないうちに、仏が滅度なさるからです。』」

佛告阿難:「止!止!勿憂莫悲泣也。汝侍我以來,身行有慈,無二無量;言行有慈,意行有慈,無二無量。阿難!汝供養我,功德甚大,若有供養諸天、魔、梵、沙門、婆羅門,無及汝者。汝但精進,成道不久。」

お釈迦様は阿難におっしゃいました。 「もうよい、もうよい。嘆き悲しむことはない。 あなたがわたしに仕えて以来、その行いはいつも慈しみに満ち、揺るぎなく限りないものだった。 言葉も、心も、慈しみに満ち、揺るぎなく限りない。 阿難よ、あなたがわたしを供養してくれた功徳は、たいへん大きなものだ。 もし天や魔、梵天、沙門、婆羅門を供養する者がいたとしても、あなたに及ぶ者はない。 ただひたすらに精進しなさい。まもなく悟りを開くことだろう。」

爾時,世尊告諸比丘:「過去諸佛給侍弟子亦如阿難,未來諸佛給侍弟子亦如阿難。然過去佛給侍弟子,語然後知;今我阿難,舉目即知:如來須是,世尊須是。此是阿難未曾有法,汝等持之。轉輪聖王有四奇特未曾有法,何等四?聖王行時,舉國民庶皆來奉迎,見已歡喜,聞教亦喜,瞻仰威顏,無有厭足。轉輪聖王若住、若坐,及與臥時,國內臣民盡來王所,見王歡喜,聞教亦喜,瞻仰威顏,無有厭足,是為轉輪聖王四奇特法。今我阿難亦有此四奇特之法,何等四?阿難默然入比丘眾,眾皆歡喜,為眾說法,聞亦歡喜,觀其儀容,聽其說法,無有厭足。復次,阿難默然至比丘尼眾中、優婆塞眾中、優婆夷眾中,見俱歡喜,若與說法,聞亦歡喜,觀其儀容,聽其說法,無有厭足,是為阿難四未曾有奇特之法。」

その時、世尊は比丘たちに告げられた。 「過去の諸仏に仕えた弟子たちも阿難のようであり、未来の諸仏に仕える弟子たちも阿難のようであろう。しかし、過去の仏に仕えた弟子たちは、言葉をかけて初めて察知した。今、私の阿難は、目を上げるだけで知るのである。如来にはこれが必要か、世尊にはあれが必要かと。これが阿難の未曾有の法である。あなたがたはこれを心に留めなさい。

転輪聖王には四つの珍しい未曾有の法がある。どの四つか。聖王が行く時、国中の民衆は皆迎えに出て、王を見て喜び、教えを聞いても喜び、威厳ある姿を仰ぎ見て、飽きることがない。転輪聖王が立ち止まっても、座っていても、横になっていても、国内の臣民は皆王のもとに来て、王を見て喜び、教えを聞いても喜び、威厳ある姿を仰ぎ見て、飽きることがない。これが転輪聖王の四つの奇特な法である。

今、私の阿難にもこの四つの奇特な法がある。どの四つか。阿難が黙って比丘の衆に入ると、衆は皆喜び、衆のために説法すれば、それを聞いても喜び、その姿を見て、その説法を聞いて、飽きることがない。さらに、阿難が黙って比丘尼の衆の中へ、優婆塞の衆の中へ、優婆夷の衆の中へ行っても、見る者は皆喜び、もし説法すれば、それを聞いても喜び、その姿を見て、その説法を聞いて、飽きることがない。これが阿難の四つの未曾有の奇特な法である。」

爾時,阿難偏露右肩,右膝著地,而白佛言:「世尊!現在四方沙門耆舊多智,明解經律,清德高行者來覲世尊,我因得禮敬,親覲問訊。佛滅度後,彼不復來,無所瞻對,當如之何?」

その時、阿難は右肩を露わにし、右膝を地につけて、仏に申し上げました。

「世尊よ、今は四方から多くのすぐれた修行僧、智恵深く年長の者、経典と戒律に明るく、清らかな徳行の高い方々が世尊にお会いに参じられます。そのおかげで私は彼らに礼拝し、直接お目にかかってご挨拶することができます。しかし、仏がお亡くなりになった後は、彼らはもう訪れてこなくなり、拝顔することもできません。私はどうすればよいのでしょうか?」

佛告阿難:「汝勿憂也。諸族姓子常有四念,何等四?一曰念佛生處,歡喜欲見,憶念不忘,生戀慕心。二曰念佛初得道處,歡喜欲見,憶念不忘,生戀慕心。三曰念佛轉法輪處,歡喜欲見,憶念不忘,生戀慕心。四曰念佛般泥洹處,歡喜欲見,憶念不忘,生戀慕心。阿難!我般泥洹後,族姓男女念佛生時,功德如是。佛得道時,神力如是。轉法輪時,度人如是。臨滅度時,遺法如是。各詣其處,遊行禮敬諸塔寺已,死皆生天,除得道者。」

阿難よ、心配することはない。在家の善男善女たちには常に四つの心がけがある。どの四つかというと、

第一に、仏陀が生まれた場所を思い、喜びをもって拝みたいと願い、そのことを忘れずに慕い続ける心。

第二に、仏陀が悟りを開かれた場所を思い、喜びをもって拝みたいと願い、そのことを忘れずに慕い続ける心。

第三に、仏陀が初めて法の輪を回された場所を思い、喜びをもって拝みたいと願い、そのことを忘れずに慕い続ける心。

第四に、仏陀が涅槃に入られた場所を思い、喜びをもって拝みたいと願い、そのことを忘れずに慕い続ける心である。

阿難よ、私が涅槃に入った後、在家の男女が仏陀の誕生の功徳を思い、悟りを開かれた時の神力を思い、法の輪を回された時の人々の救いを思い、涅槃に入られる時に残された教えを思うならば、それぞれの聖地を巡礼し、塔や寺院を礼拝した者は、死後みな天に生まれ変わるであろう。ただし、すでに悟りを得た者は別である。

佛告阿難:「我般涅槃後,諸釋種來,求為道者,當聽出家,授具足戒,勿使留難。諸異學梵志來求為道,亦聽出家受具足戒,勿試四月。所以者何?彼有異論,若小稽留,則生本見。」

仏陀は阿難に告げられた:「私が涅槃に入った後、釈迦族の人々が来て、道を求め出家を願うならば、出家を許し、具足戒を授けなさい。妨げたり留めたりしてはならない。他の教えを学ぶバラモンたちが来て道を求め出家を願うならば、出家を許し、具足戒を授けなさい。四ヶ月の試練期間を設けてはならない。なぜなら、彼らは異なる教えを持っているので、少しでも引き留めれば、もとの見解に戻ってしまうからである。」

爾時,阿難長跪叉手,前白佛言:「闡怒比丘虜扈自用,佛滅度後,當如之何?」

その時、阿難はひざまずき、手を組み合わせて、仏に申し上げました。「闡怒比丘は傲慢で自分勝手です。仏が入滅された後、彼をどうすればよいでしょうか?」

佛告阿難:「我滅度後,若彼闡怒不順威儀,不受教誡,汝等當共行梵檀罰,勅諸比丘不得與語,亦勿往返教授從事。」

仏は阿難に告げられた:「私が入滅した後、もし彼らが怒りにまかせて威儀に従わず、教えと戒めを受け入れないならば、あなたたちは共に清らかな罰を与えなさい。すべての比丘たちに命じて彼らと語らせず、行き来して教えを授けたり、共に事を行ったりさせてはならない。」

是時,阿難復白佛言:「佛滅度後,諸女人輩未受誨者,當如之何?」

その時、阿難は再び仏に申し上げました。「仏が滅度された後、まだ教えを受けていない女性たちは、どうすればよいのでしょうか。」

佛告阿難:「莫與相見。」

仏は阿難に告げられた:「彼と会ってはならない。」

阿難又白:「設相見者,當如之何?」

阿難がまた尋ねました。「もし彼女に会ったら、どうすればよいのでしょうか?」

佛言:「莫與共語。」

仏は言われた。「共に語るな。」

阿難又白:「設與語者,當如之何?」

阿難はまた尋ねました:「もし彼らに話しかけるなら、どうすればよいのでしょうか?」

佛言:「當自撿心。阿難!汝謂佛滅度後,無復覆護,失所持耶?勿造斯觀,我成佛來所說經戒,即是汝護,是汝所持。阿難!自今日始,聽諸比丘捨小小戒,上下相呼,當順禮度,斯則出家敬順之法。」

仏は言われた。「自らの心をよく見つめなさい。阿難よ。あなたは、私が涅槃に入った後、守ってくれる者がいなくなり、頼るものを失うと思っているのか?そのような考えを抱いてはならない。私が悟りを開いて以来、説いてきた経典と戒律こそが、あなたの守りであり、あなたのよりどころなのだ。阿難よ。今日から、比丘たちが些細な戒律を捨てることを許そう。互いに敬い合い、礼儀と規律に従うこと。これこそが出家者の、敬い順うべき道である。」

佛告諸比丘:「汝等若於佛、法、眾有疑,於道有疑者,當速諮問,宜及是時,無從後悔,及吾現存,當為汝說。」時諸比丘默然無言。

仏は比丘たちに告げられた。「もしあなた方が仏・法・僧について疑いがあり、道について疑いがあるならば、速やかに尋ねなさい。今がその時です。後で後悔しないように。私がまだ生きている間に、あなた方のために説きましょう。」その時、比丘たちは黙って何も言わなかった。

佛又告曰:「汝等若於佛、法、眾有疑,於道有疑,當速諮問,宜及是時,無從後悔,及吾現存,當為汝說。」時,諸比丘又復默然。

仏はまた告げられました。「あなたがたがもし仏・法・僧に疑いがあり、道に疑いがあるならば、速やかに尋ねなさい。今のうちに尋ねるのがよい。後で後悔することのないように。私が今ここにいるうちに、あなたがたのために説いてあげよう。」その時、比丘たちはまた黙っていました。

佛復告曰:「汝等若自慚愧,不敢問者,當因知識,速來諮問,宜及是時,無從後悔。」時,諸比丘又復默然。

仏はさらに告げました。「もしあなたがたが自らを恥じて、質問する勇気がないならば、知恵ある人を通じて早く尋ねるべきです。今がその時であり、後悔しないようにしなさい。」すると、比丘たちはまた黙り込んでしまいました。

阿難白佛言:「我信此眾皆有淨信,無一比丘疑佛、法、眾,疑於道者。」

阿難は仏に申し上げました。「私はこの集いの皆が清らかな信心を持っていると信じております。仏、法、僧を疑い、道を疑う比丘は一人もおりません。」

佛告阿難:「我亦自知今此眾中最小比丘皆見道迹,不趣惡道,極七往返,必盡苦際。」爾時,世尊即記莂千二百弟子所得道果。

仏は阿難に告げられた:「私も知っている。今この集いの中の最も若い比丘でさえ、道の跡を見ており、悪しき道へ向かうことはない。七度の往復を極めれば、必ず苦の果てに至るだろう。」その時、世尊は千二百の弟子たちが得た道の果報を記された。

時,世尊披鬱多羅僧,出金色臂,告諸比丘:「汝等當觀如來時時出世,如優曇鉢花時一現耳。」爾時,世尊重觀此義,而說偈言:

その時、世尊は鬱多羅僧(うったらそう)をまとって、金色に輝く腕を出し、比丘たちに告げられました。 「あなたたちは、如来が時折この世に現れる様子を見るがよい。それは優曇鉢華(うどんばっけ)が稀にしか咲かないようなものだ。」 そして、世尊はこの意味を重ねて観じ、偈を説かれました。

「右臂紫金色,佛現如靈瑞;
去來行無常,現滅無放逸。

右の腕は紫金色に輝き、仏の現れは霊瑞の如し。 去り来たり行くは無常にして、現れ滅びるに放逸なし。

「是故,比丘!無為放逸,我以不放逸故,自致正覺,無量眾善,亦由不放逸得,一切萬物無常存者,此是如來末後所說。」於是,世尊即入初禪定,從初禪起,入第二禪;從第二禪起,入第三禪;從第三禪起,入第四禪;從四禪起,入空處定;從空處定起,入識處定;從識處定起,入不用定;從不用定起,入有想無想定;從有想無想定起,入滅想定。

それゆえ、比丘たちよ、怠けることなく精進しなさい。私は怠ることなく精進したことによって、自ら正しい悟りを得ました。無量の善いこともまた、怠ることなく精進することによって得られます。すべてのものは常に存続するものではないのです。これが如来の最後の言葉です。

かくして、世尊は初禅に入り、初禅から出て第二禅に入りました。第二禅から出て第三禅に入り、第三禅から出て第四禅に入りました。第四禅から出て空無辺処定に入り、空無辺処定から出て識無辺処定に入りました。識無辺処定から出て無所有処定に入り、無所有処定から出て非想非非想処定に入りました。非想非非想処定から出て、想受滅定に入られました。

是時,阿難問阿那律:「世尊已般涅槃耶?」

その時、阿難は阿那律に尋ねました。「世尊はすでに般涅槃に入られたのですか?」

阿那律言:「未也,阿難!世尊今者在滅想定。我昔親從佛聞,從四禪起,乃般涅槃。」

阿那律は言った。「まだです、阿難。世尊は今、滅想定に入っておられます。私はかつて、仏から直接こう聞きました。第四禅定から出られて、その後に涅槃に入られると。」

於時,世尊從滅想定起,入有想無想定;從有想無想定起,入不用定;從不用定起,入識處定;從識處定起,入空處定;從空處定起,入第四禪;從第四禪起,入第三禪;從三禪起,入第二禪;從二禪起,入第一禪;從第一禪起,入第二禪;從二禪起,入第三禪;從三禪起,入第四禪;從四禪起,佛般涅槃。當於爾時,地大震動,諸天、世人皆大驚怖。諸有幽冥日月光明所不照處,皆蒙大明,各得相見,迭相謂言:「彼人生此!彼人生此!」其光普遍,過諸天光。

その時、世尊は滅想定より起きて、有想無想定に入られた。有想無想定より起きて、不用定に入られた。不用定より起きて、識処定に入られた。識処定より起きて、空処定に入られた。空処定より起きて、第四禅に入られた。第四禅より起きて、第三禅に入られた。第三禅より起きて、第二禅に入られた。第二禅より起きて、第一禅に入られた。第一禅より起きて、第二禅に入られた。第二禅より起きて、第三禅に入られた。第三禅より起きて、第四禅に入られた。第四禅より起きて、仏は般涅槃に入られた。

その時、大地は震動し、諸天や人々はみな大いに驚き恐れた。闇に覆われ、日月の光すら届かないところも、すべて大いなる光明に照らされ、互いに顔を見ることができるようになった。彼らは互いに言い合った。「あの人はここに生まれた!あの人はここに生まれた!」その光はあまねく広がり、諸天の光をも超えていた。

時,忉利天於虛空中,以文陀羅花、優鉢羅、波頭摩、拘摩頭、分陀利花散如來上,及散眾會。又以天末栴檀而散佛上,及散大眾。佛滅度已,時,梵天王於虛空中以偈頌曰:

その時、忉利天の神々が虚空の中から、文陀羅華、優鉢羅華、波頭摩華、拘摩頭華、分陀利華を、如来の上に降り注ぎ、また会衆の上にも降り注ぎました。さらに、天界の栴檀の香木の粉を仏の上に降り注ぎ、また大衆の上にも降り注ぎました。

仏が涅槃に入られた後、梵天王が虚空の中から偈頌を唱えられました。

「一切昏萌類,皆當捨諸陰;
佛為無上尊,世間無等倫。
如來大聖雄,有無畏神力;
世尊應久住,而今般涅槃。」

あらゆる迷える生きとし生けるものは、すべての束縛を捨てるべきである。 仏は無上の尊き方、この世に比べるものもない。 如来は偉大な聖なる勇者、畏れを知らぬ神力を持つ。 世尊は長くこの世にとどまるべきなのに、今や涅槃に入られようとしている。

爾時,釋提桓因復作頌曰:

その時、帝釈天は再び偈を唱えた:

「陰行無有常,但為興衰法;
生者無不死,佛滅之為樂。」

陰の行いに常なるものはなく、ただ盛衰の法があるのみ。

生あるものに死なざるはなく、仏の滅こそが安楽である。

爾時,毘沙門王復作頌曰:

その時、毘沙門天王はさらに詩を詠んで言った。

「福樹大叢林,無上福娑羅;
受供之良田,雙樹間滅度。」

福徳の大樹が茂る林、無上の福の沙羅双樹。 供養を受ける最良の田、その双樹の間にて涅槃に入る。

爾時,阿那律復作頌曰:

その時、阿那律はまた次のように偈を唱えました。

「佛以無為住,不用出入息;
本由寂滅來,靈曜於是沒。」

仏は無為に住まい、出入りの息を用いず。 本来、寂滅より来たり、霊曜ここに没す。

爾時,梵摩那比丘復作頌曰:

その時、梵摩那比丘はまた次の頌を述べました。

「不以懈慢心,約己修上慧;
無著無所染,離愛無上尊。」

怠け心や慢心に流されず、自らを律して最上の智慧を修めよ。 執着なく、汚れなく、愛着を離れた、無上の尊き境地に至れ。

爾時,阿難比丘復作頌曰:

その時、阿難比丘はさらに偈を唱えました。

「天人懷恐怖,衣毛為之竪;
一切皆成就,正覺取滅度。」

天人たちは恐怖に包まれ、身の毛がよだつほどに。 すべてが成就し、正覚は滅度を取られた。

爾時,金毘羅神復作頌曰:

その時、金毘羅神はまた頌を唱えて言いました。

「世間失覆護,群生永盲冥;
不復覩正覺,人雄釋師子。」

世に覆護を失い、衆生は永久に暗闇に沈む。 正覚の光を見ることもなく、人雄たる釈迦の獅子吼も聞こえない。

爾時,密迹力士復作頌曰:

その時、密迹力士は再び偈を唱えて言った。

「今世與後世,梵世諸天人;
更不復覩見,人雄釋師子。」

今世と来世、梵天界の天と人、 再び見ること叶わぬ、人雄たる釈迦の獅子を。

爾時,佛母摩耶復作頌曰:

その時、仏母摩耶はさらに頌を唱えて言いました。

「佛生樓毘園,其道廣流布;
還到本生處,永棄無常身。」

仏は楼毘園に生まれ、その教えは広く流布し、 再び生まれた故郷に戻り、無常の身を永遠に捨てられた。

爾時,雙樹神復作頌曰:

その時、双樹の神は再び頌を唱えて言いました。

「何時當復以,非時花散佛;
十力功德具,如來取滅度。」

「いつかまた、時ならぬ花を散らして仏に供えましょう。 十力の功徳を備えた如来が、涅槃に入られるその時に。」

爾時,娑羅園林神復作頌曰:

その時、沙羅園の林の神がまた頌を唱えました。

「此處最妙樂,佛於此生長;
即此轉法輪,又於此滅度。」

この地は最も素晴らしい喜びに満ち、仏はここで生まれ育たれた。

ここで法の輪を転じられ、またここで入滅された。

爾時,四天王復作頌曰:

その時、四天王は再び偈を唱えて言いました。

「如來無上智,常說無常論;
解群生苦縛,究竟入寂滅。」

如来の無上の智慧は、常に無常を説き、 衆生の苦しみの束縛を解き、究極の寂滅に入る。

爾時,忉利天王復作頌曰:

その時、忉利天の天王は再び偈を唱えて言いました。

「於億千萬劫,求成無上道;
解群生苦縛,究竟入寂滅。」

幾千万の劫を超えても、無上の道を求め続け、 あらゆる生きとし生けるものの苦しみの縛りを解き、 ついに静寂の境地へと入るのです。

爾時,焰天王復作頌曰:

その時、焔天王はさらに頌を唱えて言った。

「此是最後衣,纏裹如來身;
佛既滅度已,衣當何處施。」

「これが最後の衣、如来の身を包むもの。

仏が涅槃に入られた後、この衣はどこに施すべきか。」

爾時,兜率陀天王復作頌曰:

その時、兜率陀天王は再び偈を唱えて言った。

「此是末後身,陰、界於此滅;
無憂無喜想,無復老死患。」

これは最後の身なり、五陰と十八界ここに滅す。 憂いなく喜びなく、老いと死の患いも再びなし。

爾時,化自在天王復作頌曰:

その時、化自在天王はまた頌を唱えて言った:

「佛於今後夜,偃右脇而臥;
於此娑羅園,釋師子滅度。」

仏は今、夜の後半、右脇を下にして横たわり、

この沙羅双樹の園にて、釈迦の獅子は涅槃に入られた。

爾時,他化自在天王復作頌曰:

その時、他化自在天王は再び次の偈を唱えました。

「世間永衰冥,星王月奄墜;
無常之所覆,大智日永翳。」

世は常に衰え闇に覆われ、星の王たる月もついに墜ちる。 無常がすべてを覆い隠し、大いなる智恵の太陽も永遠に翳る。

爾時,異比丘而作頌曰:

その時、別の比丘が偈を唱えて言った。

「是身如泡沫,危脆誰當樂?
佛得金剛身,猶為無常壞。
諸佛金剛體,皆亦歸無常;
速滅如少雪,其餘復何冀?」

この身は泡のごとく、はかなく脆く、誰が楽しむことができようか。 仏は金剛の身を得たが、それでもなお無常によって壊れる。 諸仏の金剛の体も、皆また無常に帰する。 早く消える、わずかな雪のように。その他に何を望むことがあろうか。

佛般涅槃已。時,諸比丘悲慟殞絕,自投於地,宛轉號咷,不能自勝,歔欷而言:「如來滅度,何其駛哉!世尊滅度,何其疾哉!大法淪翳,何其速哉!群生長衰,世間眼滅。譬如大樹根拔,枝條摧折。又如斬蛇,宛轉迴遑,莫知所奉。」

仏陀が般涅槃に入られました。その時、比丘たちは悲しみのあまり気を失い、地に倒れ伏し、転げ回って慟哭し、自らを抑えることができませんでした。すすり泣きながら言いました。

「如来が滅度されたなんて、なんと早いことでしょう!世尊が滅度されたなんて、なんと急なことでしょう!大いなる教えが覆い隠されようとしているなんて、なんと速やかなことでしょう!生きとし生けるものは長く衰え、世間の眼が滅びてしまいました。

まるで大樹が根こそぎ抜かれ、枝葉が折れ砕かれるかのようです。また、蛇が斬りつけられ、もがき苦しみ、どこへ向かえばよいのかわからなくなるかのようです。」

時,諸比丘亦復如是,悲慟殞絕,自投於地,宛轉號咷,不能自勝,歔欷而言:「如來滅度,何其駛哉!世尊滅度,何其疾哉!大法淪翳,何其速哉!群生長衰,世間眼滅。」

その時、比丘たちもまた同じように、悲しみのあまり気を失い、地面に倒れ伏し、もだえ苦しみながら声をあげて泣き、自分を抑えることができず、すすり泣きながら言いました。「如来が入滅なさるとは、なんと早いことか!世尊が入滅なさるとは、なんと急なことか!大いなる教えが覆い隠されるとは、なんと速やかなことか!生きとし生けるものは長く衰え、世間の眼が消えようとしている。」

爾時,長老阿那律告諸比丘:「止!止!勿悲,諸天在上,儻有恠責。」

その時、長老アヌルッダは比丘たちに告げました。「やめなさい、やめなさい。悲しまないでください。天界の神々が上で見ています。もし彼らが不思議に思い、責めることがあってはなりません。」

時,諸比丘問阿那律:「上有幾天?」

その時、比丘たちが阿那律に尋ねました。「上にはいくつの天がありますか?」

阿那律言:「充滿虛空,豈可計量?皆於空中徘徊騷擾,悲號躃踊,埀淚而言:『如來滅度,何其駛哉?世尊滅度,何其疾哉?大法淪翳,何其速哉?群生長衰,世間眼滅。譬如大樹根拔,枝條摧折,又如斬蛇,宛轉迴遑,莫知所奉。』是時,諸天亦復如是,皆於空中徘徊騷擾,悲號躃踊,埀淚而言:『如來滅度,何其駛哉!世尊滅度,何其疾哉!大法淪翳,何其速哉!群生長衰,世間眼滅。』」

阿那律は言いました。「虚空に満ち溢れるほどの数です。どうして計り知れましょうか。皆、空中をさまよい、悲しみに乱れ、泣き叫び、地に伏して嘆き、涙を流して言うのです。『如来が滅度されるとは、なんと早いことか。世尊が滅度されるとは、なんと急なことか。大いなる法が覆い隠されるとは、なんと速やかなことか。衆生は長く衰え、世間の眼が消えようとしている。まるで大樹が根から抜かれ、枝葉が折れ砕かれるかのようだ。また、蛇が斬られてもがき苦しみ、どこに向かえばよいのかわからないかのようだ』と。その時、諸天もまた同じように、空中をさまよい、悲しみに乱れ、泣き叫び、地に伏して嘆き、涙を流して言うのです。『如来が滅度されるとは、なんと早いことか。世尊が滅度されるとは、なんと急なことか。大いなる法が覆い隠されるとは、なんと速やかなことか。衆生は長く衰え、世間の眼が消えようとしている』と。」

時,諸比丘竟夜達曉,講法語已,阿那律告阿難言:「汝可入城,語諸末羅:『佛已滅度,所欲施作,宜及時為。』」

その時、比丘たちは夜通し明け方まで法を語り合った後、アヌルッダはアーナンダに告げました。「そなたは町に入り、マッラ族の人々にこう伝えなさい。『仏陀はすでに涅槃に入られました。なすべき供養のことは、今すぐに行うのがよいでしょう』」

是時,阿難即起,禮佛足已,將一比丘,涕泣入城,遙見五百末羅以少因緣,集在一處。諸末羅見阿難來,皆起奉迎,禮足而立,白阿難言:「今來何早?」

その時、阿難は立ち上がり、仏の足を礼拝すると、一人の比丘を連れて涙を流しながら城に入った。遠くに五百人の末羅族が何かの用事で集まっているのが見えた。末羅族の人々は阿難が来るのを見ると、皆立ち上がって迎え、足を礼拝して立ったまま、阿難に言った。「今日はどうしてこんなに早くおいでになりましたか?」

阿難答言:「我今為欲饒益汝故,晨來至此。汝等當知:如來昨夜已取滅度,汝欲施作,宜及時為。」

阿難は答えました。「私はあなた方のためを思って、今朝ここに来ました。あなた方に知らせます。如来は昨夜、すでに涅槃に入られました。あなた方が何かを施そうとするなら、今がその時です。」

時,諸末羅聞是語已,莫不悲慟,捫淚而言:「一何駛哉!佛般涅槃。一何疾哉!世間眼滅。」

その時、末羅族の人々はこの言葉を聞くと、誰もが悲しみに打ちひしがれ、涙をぬぐいながら言った。「なんて速いことか! 仏陀が涅槃に入られるとは。なんて早いことか! 世の眼が消え去るとは。」

阿難報曰:「止!止!諸君勿為悲泣,欲使有為不變易者,無有是處。佛已先說:『生者有死,合會有離;一切恩愛,無常存者。』」

阿難は答えました。「おやめください、おやめください。皆さん、どうか悲しみ泣くことはおやめください。この世のすべてのものは、必ず変化するものであり、変わらないままであることはありえません。仏はすでにおっしゃいました。『生あるものには必ず死があり、出会いには必ず別れがある。すべての愛し合う縁も、永遠に続くものはない』と。」

時,諸末羅各相謂言:「宜各還歸,辦諸香花及眾伎樂,速詣雙樹,供養舍利。竟一日已,以佛舍利置於牀上,使末羅童子舉牀四角,擎持幡蓋,燒香散華,伎樂供養,入東城門,遍諸里巷,使國人民皆得供養;然後出西城門,詣高顯處而闍維之。」時,諸末羅作此論已,各自還家,供辦香華及眾伎樂,詣雙樹間,供養舍利。竟一日已,以佛舍利置於牀上,諸末羅等眾來舉牀,皆不能勝。

その時、末羅族の人々は互いに言い合いました。「それぞれ帰って、香や花、そして様々な楽器や音楽を準備し、急いで沙羅双樹のもとへ行き、お釈迦様のご遺骨を供養しましょう。一日中供養を終えたら、お釈迦様のご遺骨を台の上に安置し、末羅族の若者たちに台の四隅を持たせて担ぎ、幡や傘蓋を掲げ、香を焚き花を散らし、音楽で供養しながら、東の城門から入り、町の通りや路地を巡り、国の人々すべてが供養できるようにしましょう。それから西の城門を出て、高い見晴らしの良い場所で荼毘に付しましょう。」

末羅族の人々はこのように話し合うと、それぞれ家に帰り、香や花、そして様々な楽器や音楽を準備し、沙羅双樹のもとへ向かい、お釈迦様のご遺骨を供養しました。一日中供養を終えた後、お釈迦様のご遺骨を台の上に安置しましたが、末羅族の人々が集まって台を持ち上げようとしても、誰も持ち上げることができませんでした。

時,阿那律語諸末羅:「汝等且止!勿空疲勞,今者諸天欲來舉牀。」

その時、阿那律尊者は末羅族の人々に言われました。 「皆さん、どうかお待ちください。無駄に疲れることはありません。 今、諸天の神々がこの棺を運ぼうとしているのです。」

諸末羅曰:「天以何意,欲舉此牀?」

末羅族の人々は言いました。「天はどういうお考えで、この台を挙げようとされるのですか?」

阿那律曰:「汝等欲以香花伎樂供養舍利,竟一日已,以佛舍利置於牀上,使末羅童子舉牀四角,擎持幡蓋,燒香散花,伎樂供養,入東城門,遍諸里巷,使國人民皆得供養;然後出西城門,詣高顯處而闍維之。而諸天意欲留舍利七日之中,香花伎樂,禮敬供養;然後以佛舍利置於牀上,使末羅童子舉牀四角,擎持幡蓋,散花燒香,作眾伎樂,供養舍利。入東城門,遍諸里巷,使國人民皆得供養;然後出城北門,渡凞連禪河,到天冠寺而闍維之。是上天意,使牀不動。」

阿那律は言いました。「あなた方は香や花、音楽で舎利を供養し、一日が終わったら、仏舎利を寝台に安置し、末羅の童子たちに寝台の四隅を持たせ、幡や蓋を捧げ持ち、香を焚き花を散らし、音楽で供養しながら、東の城門から入り、町中の路地や通りを巡り、国の人々すべてが供養できるようにしなさい。それから西の城門から出て、高い見晴らしの良い場所で荼毘に付しなさい。しかし諸天の御心は、七日間のうちに舎利を留め置き、香や花、音楽で礼拝供養したいと願っています。その後、仏舎利を寝台に安置し、末羅の童子たちに寝台の四隅を持たせ、幡や蓋を捧げ持ち、花を散らし香を焚き、様々な音楽で舎利を供養し、東の城門から入り、町中の路地や通りを巡り、国の人々すべてが供養できるようにしなさい。それから城の北門から出て、凞連禅河を渡り、天冠寺へ行って荼毘に付しなさい。これが天上の御心であり、だから寝台は動かなかったのです。」

末羅曰:「諾!快哉斯言!隨諸天意。」

末羅は言った。「よろしい!なんとすばらしい言葉か。天のご意志に従いましょう。」

時,諸末羅自相謂言:「我等宜先入城,街里街里,平治道路,掃灑燒香,還來至此,於七日中供養舍利。」時,諸末羅即共入城,街里街里,平治道路,掃灑燒香,訖已出城,於雙樹間,以香花伎樂供養舍利。訖七日已,時日向暮,舉佛舍利置於牀上,末羅童子奉舉四角,擎持幡蓋,燒香散花,作眾伎樂,前後導從,安詳而行。

その時、末羅族の人々は互いに言い合いました。「我々はまず街に入り、通りごとに道路を整え、清掃し香を焚き、それからここに戻り、七日間かけて舎利を供養しましょう。」

そこで、末羅族の人々は共に街に入り、通りごとに道路を整え、清掃し香を焚きました。それを終えて街を出ると、沙羅双樹の間にて、香や花、音楽をもって舎利を供養しました。

七日間の供養が終わり、夕方になったとき、仏陀の舎利を寝台の上に安置しました。末羅族の若者たちが四隅を捧げ持ち、幡や天蓋を掲げ、香を焚き花を散らし、様々な音楽を奏でながら、前後に従って静かに行進しました。

時,忉利諸天以文陀羅花、優鉢羅花、波頭摩花、拘物頭花、分陀利花、天末栴檀散舍利上,充滿街路。諸天作樂,鬼神歌詠。時,諸末羅自相謂言:「且置人樂,請設天樂供養舍利。」

その時、忉利天の諸天は、文陀羅華、優鉢羅華、波頭摩華、拘物頭華、分陀利華、天末栴檀を、舎利の上に散らし、街路を満たしました。諸天は音楽を奏で、鬼神は歌を詠いました。その時、末羅族の人々は互いに言いました。「人の音楽はひとまず置き、天の音楽を供えて舎利を供養しましょう。」

於是,末羅奉牀漸進,入東城門,止諸街巷,燒香散花,伎樂供養。時,有路夷末羅女篤信佛道,手擎金花,大如車輪,供養舍利。時,有一老母舉聲讚曰:「此諸末羅為得大利,如來末後於此滅度,舉國士民快得供養。」

そこで、末羅たちは棺を捧げ持って少しずつ進み、東の城門から入り、あちこちの街路や巷に立ち止まっては、香を焚き、花を散らし、伎楽で供養しました。そのとき、路夷という末羅の女がおり、仏道を厚く信じて、金の花を手に捧げ持っていました。それは車輪ほどの大きさで、舎利を供養するためのものでした。そのとき、一人の老母が声をあげて讃えて言いました。「この末羅たちは大きな利益を得ました。如来が最後にここで滅度されたので、国中の士民はよく供養することができたのです。」

時,諸末羅設供養已,出城北門,渡凞連禪河,到天冠寺,置牀於地,告阿難曰:「我等當復以何供養?」

その時、末羅族の人々は供養を終えると、城の北門を出て、凞連禅河を渡り、天冠寺に着きました。彼らは床を地面に置き、阿難に尋ねました。「私たちはさらにどのような供養をすべきでしょうか?」

阿難報曰:「我親從佛聞,親受佛教,欲葬舍利者,當如轉輪聖王葬法。」

阿難は答えて申し上げました。「私は仏陀から直接お聞きし、仏陀のご教示を直接受けました。舎利を葬るには、転輪聖王の葬法に従うべきです。」

又問阿難:「轉輪聖王葬法云何?」

また阿難に問いました:「転輪聖王の葬儀の方法はどのようなものですか?」

答曰:「聖王葬法,先以香湯洗浴其身,以新劫貝周遍纏身,五百張疊次如纏之,內身金棺,灌以麻油畢,舉金棺置於第二大鐵槨中,栴檀香槨次重於外,積眾名香,厚衣其上而闍維之。收拾舍利,於四衢道起立塔廟,表剎懸繒,使國行人皆見王塔,思慕正化,多所饒益。『阿難!汝欲葬我,先以香湯洗浴,用新劫貝周匝纏身,以五百張疊次如纏之。內身金棺,灌以麻油畢,舉金棺置於第二大鐵槨中,栴檀香槨次重於外,積眾名香,厚衣其上而闍維之。收撿舍利,於四衢道起立塔廟,表剎懸繒,使諸行人皆見佛塔,思慕如來法王道化,生獲福利,死得上天,除得道者。』」

お答えします。「聖なる王の葬法は、まず香湯でその身を洗い清め、新しい劫貝で全身を包み、五百枚の畳を順に巻きつけます。その身を金の棺に納め、胡麻油を注ぎ終えたら、金の棺を第二の大きな鉄の外棺の中に置き、栴檀の香木の外棺をさらにその外に重ね、多くの名香を積み、厚くその上を覆って荼毘に付します。舎利を集め、四つ辻に塔廟を建て、幢を立て幡を懸けて、国を行く人々すべてが王の塔を見て、正しい教化を慕い、多くの利益を得られるようにします。『阿難よ、あなたがわたしを葬ろうとするなら、まず香湯で洗い清め、新しい劫貝でぐるぐると身を包み、五百枚の畳を順に巻きつけなさい。身を金の棺に納め、胡麻油を注ぎ終えたら、金の棺を第二の大きな鉄の外棺の中に置き、栴檀の香木の外棺をさらにその外に重ね、多くの名香を積み、厚くその上を覆って荼毘に付しなさい。舎利を集め、四つ辻に塔廟を建て、幢を立て幡を懸けて、すべての行く人々が仏塔を見て、如来の法王としての道と教化を慕い、生きては福利を得、死しては天に生まれ、悟りを得た者を除いては。』」

時,諸末羅各相謂言:「我等還城,供辦葬具、香花、劫貝、棺槨、香油及與白疊。」時,諸末羅即共入城,供辦葬具已,還到天冠寺,以淨香湯洗浴佛身,以新劫貝周匝纏身,五百張疊次如纏之。內身金棺,灌以香油,奉舉金棺置於第二大鐵槨中,栴檀木槨重衣其外,以眾名香而𧂐其上。

その時、末羅族の人々は互いに言いました。「我々は城に戻り、葬儀の道具、香花、木綿、棺、香油、そして白布を整えましょう」と。そこで末羅族の人々は共に城に入り、葬儀の道具を整えると、天冠寺に戻り、清らかな香湯で仏陀の身体を洗い、新しい木綿で身体を包み、五百枚の布を順に巻きつけました。身体を金の棺に納め、香油を注ぎ、金の棺を第二の大きな鉄の外棺の中に安置し、栴檀の木の外棺でさらに包み、多くの名香をその上に積み重ねました。

時,有末羅大臣名曰路夷,執大炬火,欲燃佛積,而火不燃。又有大末羅次前燃其積,火又不燃。時,阿那律語諸末羅言:「止!止!諸賢!非汝所能,火滅不燃,是諸天意。」

その時、末羅族の大臣で路夷という者がいて、たいまつをかかげ、仏の積み木に火をつけようとしたが、火はつかなかった。また、別の大末羅が次に進み出てその積み木に火をつけようとしたが、火はまたつかなかった。その時、阿那律が末羅族の人々に言った。「やめなさい、やめなさい、皆さん。あなた方にできることではありません。火が消えてつかないのは、天の意志によるものなのです。」

末羅又問:「諸天何故使火不燃?」

末羅はまた尋ねました。「諸天はなぜ火を燃えさせないのですか?」

阿那律言:「天以大迦葉將五百弟子從波婆國來,今在半道,及未闍維,欲見佛身,天知其意,故使火不燃。」

阿那律は言った。「天は大迦葉が五百人の弟子を連れて波婆国から来るのを知り、彼らが今、途中にいて、まだ荼毘に付される前に仏の御姿を見たいと願っていることをお察しになりました。それゆえ、天は火が燃え上がらないようにされたのです。」

末羅又言:「願遂此意!」

末羅もまた言った。「どうかこの願いを叶えさせてください!」

爾時,大迦葉將五百弟子從波婆國來,在道而行,遇一尼乾子手執文陀羅花。時,大迦葉遙見尼乾子,就往問言:「汝從何來?」

その時、大迦葉は五百人の弟子たちを連れて波婆国からやって来た。道を歩いていると、一人の尼乾子が文陀羅の花を手に持っているのに出会った。大迦葉は遠くから尼乾子を見つけると、近づいて尋ねた。「あなたはどこから来たのですか?」

報言:「吾從拘尸城來。」

「私は拘尸城から参りました。」

迦葉又言:「汝知我師乎?」

迦葉はまた言いました。「あなたは私の師を知っていますか?」

答曰:「知。」

お答えになりました。「知っています。」

又問:「我師存耶?」

また尋ねました:「私の師はまだ生きていますか?」

答曰:「滅度已來,已經七日,吾從彼來,得此天華。」迦葉聞之,悵然不悅。時,五百比丘聞佛滅度,皆大悲泣,宛轉號咷,不能自勝,捫淚而言:「如來滅度,何其駛哉!世尊滅度,何其疾哉!大法淪翳,何其速哉!群生長衰,世間眼滅。譬如大樹根拔,枝條摧折,又如斬蛇,宛轉迴遑,莫知所奉。」

答えて言った。「お釈迦様がお亡くなりになってから、すでに七日が経ちました。私はあちらから来て、この天の花を手に入れました。」迦葉はこれを聞くと、落胆して喜ばなかった。

その時、五百人の比丘たちが仏が亡くなられたと聞き、皆、大きな悲しみに泣き、もだえ苦しんで号泣し、自分を抑えることができなかった。涙をぬぐいながら言った。

「如来様がお亡くなりになるとは、なんと早いことか!世尊が亡くなられるとは、なんと急なことか!大いなる教えが覆い隠されるとは、なんと速やかなことか!生きとし生けるものは長く衰え、世の中の目が消えてしまう。まるで大樹の根が抜け、枝が折れ砕かれるようであり、また、蛇が斬られて、もだえ苦しみさまようように、誰も頼るべきものを知らない。」

時,彼眾中有釋種子,字拔難陀,止諸比丘言:「汝等勿憂,世尊滅度,我得自在。彼者常言:『當應行是,不應行是。』自今已後,隨我所為。」

その時、僧伽の中に釈迦族の出身で、バナンダという名の比丘がおり、他の比丘たちを制して言いました。「あなたがたは心配するには及びません。世尊が涅槃に入られた今、私は自由に振る舞うことができます。あの方はいつも『これはすべきであり、これはすべきではない』とおっしゃっていましたが、今からは私のしたいようにさせていただきます。」

迦葉聞已,悵然不悅,告諸比丘曰:「速嚴衣鉢,時詣雙樹,及未闍維,可得見佛。」

迦葉はこれを聞くと、心が沈み、喜ばず、諸比丘に告げて言った。「急いで衣と鉢を整えよ。今すぐ双樹のもとへ行こう。荼毘にふされる前に、まだ仏陀にお会いすることができる。」

時,諸比丘聞大迦葉語已,即從座起,侍從迦葉,詣拘尸城,渡尼連禪河水,到天冠寺,至阿難所。問訊已,一面住,語阿難言:「我等欲一面覲舍利,及未闍維,寧可見不?」

その時、諸比丘たちは大迦葉の言葉を聞くと、すぐに座から立ち上がり、迦葉に従って拘尸城へ向かい、尼連禅河を渡り、天冠寺に到着し、阿難のもとにたどり着いた。挨拶を交わした後、一同は傍らに立ち、阿難に言った。「私たちは一度、お釈迦様のご遺体を拝見し、荼毘に付される前に、お目にかかることはできないでしょうか?」

阿難答言:「雖未闍維,難復可見。所以然者?佛身既洗以香湯纏以劫貝,五百張疊次如纏之。藏於金棺,置鐵槨中,栴檀香槨重衣其外,以為佛身難復可覩。」

阿難は答えて言いました。「まだ荼毘に付していませんが、もうお姿を拝見することは難しいでしょう。なぜなら、仏陀のお身体は香湯で清められ、劫貝衣で包まれ、五百枚の布が幾重にも巻かれているからです。金の棺に納められ、鉄の外棺の中に安置され、さらに栴檀香の外棺で覆われ、幾重にも衣で包まれています。ですから、仏陀のお身体を再び拝見することは難しいのです。」

迦葉請至三,阿難答如初:「以為佛身難復得見。」

迦葉は三度までお願いしましたが、阿難は最初と同じように答えました:「仏様のお姿を再び拝見することは難しいと思ったのです。」

時,大迦葉適向香𧂐,於時佛身從重槨內雙出兩足,足有異色,迦葉見已,怪問阿難:「佛身金色,足何故異?」

その時、大迦葉がちょうど香を焚きに来たところ、仏の御身体が二重の棺から突然両足を現されました。その足はいつもと違う色をしていました。迦葉はそれを見て驚き、阿難に尋ねました。「仏様の御身体は金色なのに、どうして足の色が違うのですか?」

阿難報曰:「向者,有一老母悲哀而前手撫佛足,淚墮其上,故色異耳。」

阿難は答えました。「さきほど、一人の老いた母が悲しげに近づき、手で仏の足を撫で、その上に涙を落としました。それで色が変わってしまったのです。」

迦葉聞已,又大不悅,即向香𧂐,禮佛舍利。時,四部眾及上諸天同時俱禮,於是佛足忽然不現。

迦葉はこれを聞くと、またも大いに不満を抱き、すぐに香を焚く場所に向かい、仏舎利を礼拝しました。その時、四部の大衆と天上の諸天たちが同時に共に礼拝すると、たちまち仏足は忽然と姿を消しました。

時,大迦葉繞𧂐三匝,而作頌曰:

その時、大迦葉は三度右繞し、偈を唱えて言った。

「諸佛無等等,聖智不可稱;
無等之聖智,我今稽首禮。
無等等沙門,最上無瑕穢;
牟尼絕愛枝,大仙天人尊;
人中第一雄,我今稽首禮。
苦行無等侶,離著而教人;
無染無垢塵,稽首無上尊。
三垢垢已盡,樂於空寂行;
無二無疇匹,稽首十力尊。
善逝為最上,二足尊中尊;
覺四諦止息,稽首安隱智。
沙門中無上,迴邪令入正;
世尊施寂滅,稽首湛然迹。
無熱無瑕郄,其心當寂定;
練除諸塵穢,稽首無垢尊。
慧眼無限量,甘露滅名稱;
希有難思議,稽首無等倫。
吼聲如師子,在林無所畏;
降魔越四姓,是故稽首禮。」

諸仏は比べるものなく、聖なる智慧は称え尽くせません。 その比類なき聖智に、私は今、深く頭を垂れ礼拝いたします。

比類なき修行者、最も高く一点の穢れもなく、 愛執の枝を断ち切られた牟尼、大仙にして天人の尊、 人々の中の第一の雄、私は今、深く頭を垂れ礼拝いたします。

苦行に並ぶ者なく、執着を離れて人を導き、 染まらず、垢や塵もない、無上の尊に礼拝いたします。

三つの煩悩の垢は尽き、空寂の行いを楽しみ、 二つなく、匹敵する者もない、十力の尊に頭を垂れます。

善逝は最も優れ、二足の尊の中の尊、 四諦を覚り、止滅に至る、安らかな智慧に礼拝いたします。

修行者の中の無上の方、邪を正に導き入れ、 世尊は寂滅を施し、澄みきった足跡に礼拝いたします。

熱悩なく、瑕穢もなく、その心は寂然と定まり、 すべての塵穢を練り除かれた、無垢の尊に礼拝いたします。

慧眼は限りなく、甘露の滅をもって称えられ、 稀有で思いはかれ難い、無等の方に礼拝いたします。

獅子の如き吼え声は、林の中でも畏れることなく、 魔を降し、四姓を超えられる、ゆえに頭を垂れ礼拝いたします。

大迦葉有大威德,四辯具足,說此偈已,時,彼佛𧂐不燒自燃,諸末羅等各相謂言:「今火猛熾,焰盛難止,闍維舍利,或能消盡,當於何所求水滅之?」時,佛𧂐側有娑羅樹神,篤信佛道,尋以神力滅佛𧂐火。

大迦葉尊者は大いなる威徳を備え、四つの弁才を具え、この偈を説き終えた時、その仏陀の棺は燃えずして自然に炎をあげた。諸々の末羅族の人々は互いに言い合った。「今、火は激しく燃え、炎は盛んで止め難い。荼毘にして舎利を得ようとしても、あるいは焼き尽くされてしまうかもしれない。どこで水を求めてこれを消そうか?」その時、仏陀の棺の側に娑羅樹の神がいた。この神は仏道を深く信じ、直ちに神通力をもって仏陀の棺の火を消した。

時,諸末羅復相謂言:「此拘尸城左右十二由旬,所有香花,盡當採取,供佛舍利。」尋詣城側,取諸香花,以用供養。

その時、末羅族の人々はまた互いに言い合いました。「この拘尸城の周辺十二由旬の範囲にある、すべての香り高い花を集めて、仏陀の舎利を供養しよう」と。すぐに城の周辺へと向かい、様々な香り高い花を集めて、供養に用いたのです。

時,波婆國末羅民眾,聞佛於雙樹滅度,皆自念言:「今我宜往,求舍利分,自於本土,起塔供養。」時,波婆國諸末羅即下國中,嚴四種兵——象兵、馬兵、車兵、步兵,到拘尸城,遣使者言:「聞佛眾祐,止此滅度,彼亦我師,敬慕之心,來請骨分,當於本國起塔供養。」

その時、波婆国の末羅族の人々は、仏陀が沙羅双樹の下で入滅されたと聞き、皆こう考えました。「今こそ我々は行き、仏舎利を分けていただき、自らの土地に塔を建てて供養すべきである。」そこで、波婆国の末羅族たちは直ちに国中から、四種の軍勢――象兵、馬兵、車兵、歩兵――を整え、拘尸城に到着し、使者を遣わして言いました。「仏陀がここで入滅されたと聞きました。彼は我々にとっても師です。敬慕の念から、仏舎利を分けていただき、我が国で塔を建てて供養したいと願っています。」

拘尸王答曰:「如是!如是!誠如所言,但為世尊垂降此土,於茲滅度,國內士民,當自供養,遠勞諸君,舍利分不可得。」

拘尸王は答えて言った。「その通りです。誠にその通りです。しかし、世尊がこの地に降臨され、ここで涅槃に入られた以上、わが国の民は自ら供養すべきであり、遠方からお越しいただいた皆様にご苦労をおかけして、舎利を分けることはできません。」

時,遮羅頗國諸跋離民眾,及羅摩伽國拘利民眾、毘留提國婆羅門眾、迦維羅衛國釋種民眾、毘舍離國離車民眾,及摩竭王阿闍世,聞如來於拘尸城雙樹間而取滅度,皆自念言:「今我宜往,求舍利分。」

その時、遮羅頗国の諸跋離の民衆、羅摩伽国の拘利の民衆、毘留提国の婆羅門衆、迦維羅衛国の釈種の民衆、毘舎離国の離車の民衆、そして摩竭王阿闍世は、如来が拘尸城の双樹の間で涅槃に入られたと聞き、皆こう考えました。「今こそ我々は行き、舎利を分けていただこう。」

時,諸國王阿闍世等,即下國中,嚴四種兵——象兵、馬兵、車兵、步兵,進渡恒水,即勅婆羅門香姓:「汝持我名,入拘尸城,致問諸末羅等:『起居輕利,遊步強耶?吾於諸賢,每相宗敬,鄰境義和,曾無諍訟。我聞如來於君國內而取滅度,唯無上尊,實我所天,故從遠來,求請骨分,欲還本土,起塔供養。設與我者,舉國重寶,與君共之。』」

その時、諸国の王であるアジャータシャトルたちは、ただちに自国に命じて四種の兵隊――象兵、馬兵、車兵、歩兵――を整えさせ、ガンジス川を渡って進軍しました。そして、バラモンの香姓にこう命じました。

「そなたは我が名をもって、クシナガラの町に入り、諸々のマッラ族の人々に伝えよ。『ご機嫌いかがでしょうか、お元気でお過ごしでしょうか。私は皆様を常に尊敬し、隣国としての和合を大切にし、これまで争いなど一度もありませんでした。しかし、私は如来があなた方の国で涅槃に入られたと聞きました。この無上の尊き方は、まさに私の敬うべき方です。ですから、遠くからやって来て、仏舎利の一部をいただき、自国に持ち帰り、塔を建てて供養したいと願っています。もし私に分け与えてくださるならば、国中の貴重な宝物を、あなた方と分かち合いましょう』と。」

時,香姓婆羅門受王教已,即詣彼城,語諸末羅曰:「摩竭大王致問無量:『起居輕利,遊步強耶?吾於諸君,每相宗敬,鄰境義和,曾無諍訟。我聞如來於君國內而取滅度,唯無上尊,實我所天,故從遠來,求請骨分,欲還本土,起塔供養。設與我者,舉國重寶,與君共之。』」

その時、香姓婆羅門は王の命を受け、すぐにその町へ行き、諸々の末羅族に告げました。「摩竭大王が心を込めてお尋ねになります:『ご無事で、お元気にお過ごしでしょうか?私は諸君を常に敬い、隣国としての情誼を大切にし、これまで争いはありませんでした。私は、如来が君たちの国で涅槃に入られたと聞きました。この無上の尊い方は、まさに私の天であります。それ故、遠くから来て、仏舎利を分けて頂き、故郷に持ち帰り、塔を建てて供養したいと願っています。もし私に下さるならば、国中の重宝を諸君と分かち合いましょう。』」

時,諸末羅報香姓曰:「如是!如是!誠如君言。但為世尊埀降此土,於茲滅度,國內士民自當供養,遠勞諸君,舍利分不可得。」

その時、諸末羅は香姓に答えて言った。「その通りです。まさにおっしゃるとおりです。しかし、世尊がこの地に降臨され、ここで入滅されたのですから、国内の士民が自ら供養すべきであり、遠くからお越しいただいた皆様を煩わせるわけにはいきません。舎利をお分けすることはできません。」

時,諸國王即集群臣,眾共立議,作頌告曰:

その時、諸国の王たちはすぐに臣下たちを集め、皆で話し合い、次のような頌を詠んで宣言しました。

「吾等和議,遠來拜首,
遜言求分,如不見與,
四兵在此,不惜身命,
義而弗獲,當以力取。」

「我々は和議のために遠路はるばる参り、頭を下げてお願い申し上げます。譲歩の言葉をもって分け前を求めますが、もし与えていただけないならば、ここに四つの兵が控えております。命を惜しむことなく、道理によって得られないものは、力ずくで奪い取る覚悟でございます。」

時,拘尸國即集群臣,眾共立議,以偈答曰:

その時、拘尸国ではすぐに家臣たちを集め、皆で協議し、次の偈をもって答えました。

「遠勞諸君,屈辱拜首,
如來遺形,不敢相許,
彼欲舉兵,吾斯亦有,
畢命相抵,未之有畏。」

「遠路はるばるお越しいただき、わざわざ頭を下げてくださり、ありがとうございます。

しかし、如来のご遺体をお譲りすることはできません。

もし戦いをお望みなら、こちらにも覚悟はあります。

命をかけてお相手いたします。恐れることなどありません。」

時,香姓婆羅門曉眾人曰:「諸賢!長夜受佛教誡,口誦法言,心服仁化,一切眾生常念欲安,寧可諍佛舍利共相殘害?如來遺形欲以廣益,舍利現在但當分取。」

時に、香姓婆羅門が皆に呼びかけました。 「皆さん、私たちは長い間、仏陀の教えを受け、教えを口ずさみ、慈しみの心に親しんできました。 すべての生きとし生けるものを安らかにしたいと願ってきたのです。 どうして仏陀の舎利をめぐって争い、傷つけ合うことがありましょうか。 如来が御遺骨を残されたのは、広く人々を益するためです。 舎利は今ここにあるのですから、分け合いましょう。」

眾咸稱善,尋復議言:「誰堪分者?」

一同に称賛し、すぐにまた話し合いました。「誰が担当を分けられるだろうか?」

皆言香姓婆羅門仁智平均,可使分也。

皆が言うには、香姓婆羅門は仁愛と知恵を兼ね備え、公平で、分配を任せられる人物だと。

時,諸國王即命香姓:「汝為我等分佛舍利,均作八分。」

その時、諸国の王たちは香姓に命じました。「あなたが我々のために仏の舎利を分けて、八等分にしてください。」

於時,香姓聞諸王語已,即詣舍利所,頭面禮畢,徐前取佛上牙,別置一面。尋遣使者,齎佛上牙,詣阿闍世王所,語使者言:「汝以我聲,上白大王:『起居輕利,遊步強耶?舍利未至,傾遲無量耶?今付使者如來上牙,竝可供養,以慰企望,明星出時,分舍利訖,當自奉送。』」

その時、香姓は諸王の言葉を聞き終えると、すぐに舎利の場所へと向かい、頭を地面につけて礼拝をした後、ゆっくりと前に進み、仏陀の上の歯をお取りになり、別の場所に安置されました。すぐに使者を遣わし、仏陀の上の歯を阿闍世王のもとへと届けさせ、使者にこう言われました。「そなたはわが言葉をもって、大王にこう申し上げよ。『ご機嫌いかがでしょうか、お歩きになるお力は健やかでしょうか。舎利はまだ届いておらず、どれほどお待ちのことでしょう。今、使者に如来の上の歯をお届けします。どうか共にお供養ください。お待ち望みの心を慰めるために。明星が出る頃には、舎利の分配を終え、自らお届けいたします。』」

時,彼使者受香姓語已,即詣阿闍世王所,白言:「香姓婆羅門致問無量:『起居輕利,遊步強耶?舍利未至,傾遲無量耶?今付使者如來上牙,竝可供養,以慰企望,明星出時,分舍利訖,當自奉送。』」

その時、使者は香姓の言葉を受け取ると、すぐに阿闍世王のもとへ赴き、こう申し上げました。 「香姓バラモンが心からお尋ね申し上げます。『ご機嫌いかがでしょうか、お元気でお過ごしでしょうか。舎利はまだお手元に届いておらず、大変お待たせして申し訳ございません。今、使者に如来の尊い歯をお預けいたします。どうか供養なさってください。お待ちになっているお気持ちを少しでも和らげるために。明星が出る頃には、舎利の分配を終え、必ずご自身でお届けいたします。』」

爾時,香姓以一瓶受一石許,即分舍利,均為八分已,告眾人言:「願以此瓶,眾議見與,自欲於舍起塔供養。」

その時、香姓は一瓶に一石ほどの量を受け取り、すぐに舎利を分けて、均等に八分に分けました。そして、皆に告げて言いました。「この瓶を、皆のご意見で私に与えてください。私は自ら舎利を納め、供養のための塔を建てたいのです。」

皆言:「智哉!是為知時,即共聽與。」

皆が言った。「なんと賢明なことか!これぞ時を知る者だ。さあ、共に聞こう。」

時,有畢鉢村人白眾人言:「乞地燋炭,起塔供養。」皆言:「與之。」

その時、畢鉢村の人が皆に申し出ました。「焼けた炭をいただいて、供養の塔を建てたいと思います。」皆が言いました。「どうぞ、お受け取りください。」

時,拘尸國人得舍利分,即於其土起塔供養。

その時、拘尸国(クシナガラ)の人々は舎利(お骨)を分け与えられ、すぐにその地に塔を建てて供養を行いました。

波婆國人、遮羅國、羅摩伽國、毘留提國、迦維羅衛國、毘舍離國、摩竭國阿闍世王等,得舍利分已,各歸其國,起塔供養。香姓婆羅門持舍利瓶歸起塔廟,畢鉢村人持地燋炭歸起塔廟。

波婆国の人々、遮羅国、羅摩伽国、毘留提国、迦維羅衛国、毘舍離国、摩竭国の阿闍世王らは、それぞれお釈迦様のご遺骨の分け前を受け取り、自らの国へ帰り、塔を建てて供養しました。香姓というバラモンは、ご遺骨を納めた瓶を持ち帰り、塔を建ててお祀りしました。また、畢鉢村の人々は、荼毘の跡の焦げた炭を持ち帰り、塔を建ててお祀りしました。

當於爾時,如來舍利起於八塔,第九瓶塔,第十炭塔,第十一生時髮塔。

その時、如来の舎利は八つの塔を建て、第九は瓶の塔、第十は炭の塔、第十一は生まれた時の髪の塔となりました。

何等時佛生?何等時成道?何等時滅度?沸星出時生,沸星出出家,沸星出成道,沸星出滅度(丹本注云問中應有何等時出家諸本並闕)。

仏陀はいつ生まれたのですか?いつ悟りを開いたのですか?いつ入滅したのですか?沸星が現れた時に生まれ、沸星が現れた時に出家し、沸星が現れた時に悟りを開き、沸星が現れた時に入滅しました。

何等生二足尊?何等出叢林苦?
何等得最上道?何等入涅槃城?
沸星生二足尊,沸星出叢林苦,
沸星得最上道,沸星入涅槃城。
八日如來生,八日佛出家,
八日成菩提,八日取滅度。
八日生二足尊,八日出叢林苦,
八日成最上道,八日入泥洹城。
二月如來生,二月佛出家,
二月成菩提,八日取涅槃。
二月生二足尊,二月出叢林苦,
二月得最上道,八日入涅槃城。
娑羅花熾盛,種種光相照;
於其本生處,如來取滅度。
大慈般涅槃,多人稱讚禮;
盡度諸恐畏,決定取滅度。

何が二足の尊(仏陀)を生み出したのか?何が煩悩の苦しみから抜け出させたのか? 何が最上の道を得させたのか?何が涅槃の城へと入らせたのか?

沸星が二足の尊を生み出し、沸星が煩悩の苦しみから抜け出させ、 沸星が最上の道を得させ、沸星が涅槃の城へと入らせた。

八日に如来は生まれ、八日に仏は出家し、 八日に菩提を成じ、八日に滅度を取られた。

八日に二足の尊は生まれ、八日に煩悩の苦しみから抜け出し、 八日に最上の道を成じ、八日に涅槃の城へ入られた。

二月に如来は生まれ、二月に仏は出家し、 二月に菩提を成じ、八日に涅槃を取られた。

二月に二足の尊は生まれ、二月に煩悩の苦しみから抜け出し、 二月に最上の道を得て、八日に涅槃の城へ入られた。

沙羅の花は盛んに咲き、様々な光が互いに照らし合う。 その生まれ故の地において、如来は滅度を取られた。

大いなる慈悲をもって涅槃に入り、多くの人々が称え礼拝する。 あらゆる恐れを完全に超え渡し、確固として滅度を取られた。

佛說長阿含經卷第四

仏説長阿含経 第四巻


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3 典尊經

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